著者
廣瀬 直紀 白石 三恵 春名 めぐみ 松崎 政代 吉田 穂波
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.342-349, 2016 (Released:2017-03-08)
参考文献数
30

目 的 震災が妊婦及び児の身体に与える影響は明らかになっていない。本研究の目的は系統的文献レビューを行い,震災が妊婦や児の身体に与える影響を個々の妊娠転帰別,及び対象者の特性別に明らかにすることである。方 法 震災後の妊娠転帰をアウトカムとした論文を集約するため,キーワードを用いて英語及び日本語文献を対象に電子データベース検索(PubMed, CINAHL, CiNii,医中誌)及びハンドサーチを行った。抽出された論文から包含基準,除外基準に基づき論文を選択した後,Risk of Bias Assessment Tool for Nonrandomized Studies(RoBANS)による評価を行い,包含する論文を決定した。全過程は2名の独立したレビュアーにより行われた。結 果 最終的に6編の論文が包含された。アウトカムとされた主たる妊娠転帰は早産,子宮内胎児発育遅延,低出生体重児の3つであった。震災後の妊娠転帰として4編の論文で早産率の増加,1編の論文で子宮内胎児発育遅延率の増加,2編の論文で低出生体重児率の増加が報告されていた。また,対象者の特性別に分析したところ,妊娠初期に被災した群において有意に在胎週数および出生体重が減少,早期早産率および低出生体重児率が増加し,そして児が女児の群において有意に早産率および低出生体重児率が増加するなど,強い妊娠転帰の悪化が報告されていた。結 論 震災が妊婦の早産,低出生体重児の増加につながる可能性が示唆された。また,被災した妊娠週数や児の性別によって震災への脆弱性に差がある可能性が示唆されたことから,こうした要因については今後の災害対応において考慮する必要がある。
著者
小川 久貴子 安達 久美子 恵美須 文枝
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_50-2_63, 2006 (Released:2008-06-30)
参考文献数
53
被引用文献数
2 1

目 的 本研究では,1990年から2005年の10代妊婦に関する国内文献の内容を分析し,今後の課題を明らかにすることである。対象と方法 「医中誌WEB:」及び,「最新看護検索」を用い,キーワードを,『未成年者妊娠,若年初産婦,10代妊娠,思春期妊娠』として検索し,得られた106件の文献内容を分析し,それを分類して検討した。結 果 文献内容を分析した結果,10代妊婦の背景や妊娠から育児に関する実態と今後の課題の合計5項目が明らかになった。その中で,既存文献では,10代妊婦の実態やケア実践への提言は比較的多くなされているが,ケアの効果を実証する研究や10代の年齢による特性の違いを論じる研究は少ないことが明らかになった。さらに,10代女性にとっての妊娠の受容過程や,10代で妊娠することや子育てを経験することが,その社会のなかでその人にどのような意味をもち,健康面にどのように影響するかという心理・社会的状況についても十分には明らかになっていないことが判明した。結 論 今後の10代妊婦の研究では,実践のエビデンスを提供する質の高い研究を目指して,対象者の特性をより明らかにする主観的体験を探求する研究などが重要である。
著者
今野 友美 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.83-93, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
22

目 的 出産後の女性の健康増進を目指す出産後プログラムに参加した母親の参加前後の精神的,身体的健康の変化からプログラムの評価を行った。研究方法 対象はA団体の出産後プログラムに参加する産後2か月~6か月の母親135人である。プログラムの内容は,有酸素運動,コミュニケーションスキル向上のためのワーク,セルフケアであり,週に1回2時間,4週継続して行った。測定用具は精神的健康増進の指標として日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS),主観的幸福感尺度,身体的健康増進の指標として研究者作成の身体的不調,参加動機等である。調査はプログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月の3時点で行った。3時点での変化についてはrepeated ANOVAを行った。結 果 プログラム4回目まで進んだ者は112人(有効回答率83.0%),終了後1か月までフォローできた者は90人(回収率80.4%)であった。 身体的不調の総合得点の変化には有意差がみられ(p<.001),プログラム4回目で改善し,その効果は終了後1か月まで持続していた。主観的幸福感の総合得点の変化に有意差がみられ(p=.002),調査時期毎に得点が上昇した。抑うつ度を示すEPDS得点の変化に有意差がみられ(p<.001),プログラム4回目で抑うつ度は軽減し,その状態は終了後1か月まで続いていた。EPDS9点以上の割合は,プログラム初回では23人(20.5%)であったのに対し,プログラム4回目では11人(9.8%)であり,有意に割合は減少していた(p=.025)。結 論 プログラムの参加により,身体の不調は改善し,主観的幸福感は高まり,抑うつ度は軽減されており,それはプログラム終了後1か月でも持続していた。今後の課題として,対照群をおいたプログラムの評価が必要である。
著者
馬場 香里
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.207-218, 2015

<b>目 的</b><br> 児童虐待防止への介入の必要性の判断や介入の評価指標とする児童虐待の本質を捉えた尺度の開発につなげ,さらに将来的な周産期における児童虐待防止への支援の発展と,児童虐待予防活動の基盤づくりへの示唆を得ることを目的とした。<br><b>方 法</b><br> Rodgers(2000)の提唱する概念分析のアプローチ法を用いた。9つのデータベースとして,医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINHAL,PsycINFO,SocINDEX,Minds,National Guideline clearing-house,trip databaseを使用し,検索用語は「児童虐待(child abuse),妊娠(pregnant women),産後(postnatal),育児(child care)」とした。最終的に,英語文献26件,日本語文献32件の計58件と,日本小児科学会の発行している「子ども虐待診療手引き(2014)」を分析対象とした。<br><b>結 果</b><br> 5つの属性【養育者から子どもへの一方的な支配関係】【養育者の自覚の有無に関係しない行為】【子どものwell-beingを害する行為】【子どものwell-beingを保つ行為の欠如】【子どもの状況】,5つの先行要件【養育者の要因】【子どもの要因】【社会環境の要因】【複数要因の重なり】【適切な介入の不足】,5つの帰結【子どもの保護】【養育者の否認と孤独】【サバイバーの健康への影響】【母になったサバイバーの苦悩】【世代間伝播】が抽出された。代用語に「child maltreatment」が抽出され,関連概念に「しつけ」「shaken baby syndrome(揺さぶられっこ症候群)」「Munchhausen Syndrome by proxy(代理ミュンヒハウゼン症候群)」が抽出された。分析の結果,本概念を「養育者から子どもへの一方的な支配関係から成る,養育者の自覚の有無に関係しない行為による子どもの状況を基盤とした,子どものwell-beingを害する行為,及び子どものwell-beingを保つ行為の欠如である」と再定義した。<br><b>結 論</b><br> 本概念分析の結果は,児童虐待の本質を捉えることにつながり,今後の研究において児童虐待を測る尺度を開発する基盤となりうる。また本概念分析により,児童虐待による子どもへの長期的な健康への影響や,次世代への児童虐待の繰り返しの可能性が示され,児童虐待発生前の妊娠期からの予防の必要性,特に周産期で主な支援対象となる母がサバイバーであった場合の母に対する介入の必要性が示唆された。さらに周産期における児童虐待防止への支援については,妊婦のみならず,そのパートナーや子ども,社会環境も含めて支援対象であると認識し,それらの要因に対する適切な介入が必要である。
著者
板谷 裕美 北川 眞理子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.2_58-2_70, 2007 (Released:2008-07-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

目 的 人工乳がまだ手に入りにくい,昭和の戦後復興期時代に子育てをした女性の母乳哺育体験が,どのようなものであったのかについて明らかにし,記述すること。対象と方法 第1子を1955年以前に出産し母乳哺育体験をもつ健康な高齢女性13名を対象に,自身の母乳哺育体験に関する半構成的面接法を中心としたデータ収集を行った。インタビューは本人の許可を得て録音し,逐語録作成後エスノグラフィーの手法を参考に質的帰納的に分析した。結 果 13人の女性の母乳哺育体験に関する記述データから,4つのカテゴリー;【良好な乳汁分泌と身体性】,【授乳継続への積極的思考と行動】,【他者による母乳哺育への心理社会的関与】,【母親としての肯定的な自己概念の再形成】と,16のサブカテゴリー;〈良好な乳汁分泌状態の継続〉,〈自然な乳汁分泌促進につながるライフスタイル〉,〈授乳継続と避妊効果〉,〈母乳哺育に関する知識や情報の入手〉,〈自律授乳を当たり前とする授乳慣習〉,〈授乳がもたらす快感情の経験〉,〈離乳時期の延長〉,〈母乳哺育に対するゆるぎない価値信念〉,〈自由な授乳を束縛される苦痛と苦悩〉,〈断乳の他者決定〉,〈実母による強力な支援と信頼〉,〈産婆による差異ある授乳支援〉,〈母乳代替を通じた近隣社会の中での助け合い〉,〈母乳哺育に受け継がれる経験知の伝承と遵守〉,〈母乳哺育スキルのスムーズな獲得と母乳育児への自信〉,〈高い母親役割意識の形成発展〉が抽出された。結 論 人工乳がまだ手に入りにくい戦後復興期時代に子育てをした女性は,自身の良好な乳汁分泌を自覚し,他者による母乳哺育への心理社会的関与を受けつつ,授乳継続への積極的思考と行動をとっていた。そして母乳哺育を通して母親としての肯定的な自己概念の再形成をしていた。当時の女性とその家族には,“子どもを育てるには母乳しかない”という意思や信念が強く存在していたことが示唆された。
著者
麓 杏奈 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.12-22, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
29

目 的喜ばしい体験と同時に不測の急変に直面することのある助産師の心的外傷体験の実態を明らかにし,その心的外傷体験後の心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)発症リスクやレジリエンス,外傷後成長(Posttraumatic Growth:PTG)との関連を探索することである。対象と方法全国の周産期関連施設と教育機関から,層別化無作為割り付け法で抽出した308施設1,198名の就業助産師に質問紙を郵送した。有効回答者681名(56.8%)のデータから混合研究法を用いて,量的データは統計学的分析を,質的データは自由記載の内容分析を行い,得られたカテゴリと各変数との関連を検討した。結 果心的外傷体験を記述した者は575名(84.4%)で,その内容は【分娩に関連した母子の不測な状態】【助産師の辛労を引き起こした状況】【対象者の悲しみとその光景】【自分に向けられた不本意な発言や苛酷な環境】の4つに分類された。【自分に向けられた不本意な発言や苛酷な環境】という直接外傷体験をした助産師の,日本語版改訂出来事インパクト尺度(Impact of Event Scale-Revised:IES-R)平均値が最も高く,またPTG平均値が最も低かった。さらに86名(15.0%)がその心的外傷体験を機に退職を検討していた。また,PTSDと就業継続意思(r=−.229),サポートと就業継続意思(r=−.181),PTSDとサポート得点(r=−.143),PTGとサポート(r=.148),PTGとレジリエンス(r=.314)は有意な関連を認めた(p<.001)。結 論直接外傷体験をした就業助産師はPTSD発症リスクが高かった。心的外傷体験をした助産師が職場内のサポートを得ることは,PTSD発症のリスクの低減,離職予防,さらにその助産師を成長させるポジティブな要素として働くことが示唆された。
著者
田淵 紀子
出版者
日本助産学会 = Japan Academy of Midwifery
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.32-44, 1999-01-20
被引用文献数
4 2

The present study is undertaken to investigate how mothers felt when they heard the cries of their babies (within one week and one month after birth) and what actions they took.The subjects of this study were 16 women who delivered normal neonates at a private clinic in Ishikawa Prefecture. How these mothers dealt with the cries of their babies was investigated by means of an interview, which was carried out in a semi-controlled method. The interviews were recorded on tape with each mother's consent. The interviews were performed twice (within one week and one month after birth). Qualitative analysis of the mothers' responses to their babies' cries yielded the following results.The responses of mothers to their babies' cries within one week after birth were found to contain the following six elements: emotional responses, cognitive responses, intellectual interpretation of the cries, concrete countermeasures, intuitive understanding of the cries, and evaluation of the baby's character and temperament.These emotional responses were affected by the mother's stability, the mother's awareness of her role as a mother, the babies' temperament reflected in their cries, and the time since the previous lactation.Mothers attempted to interpret the meaning of their babies' cries. This attempt involves two elements (time and features of the cry).This study revealed what mothers felt when hearing their baby's cries and what action they took to deal with their baby's cries at two points after delivery (within one week and one month after delivery). The findings of this study may be useful to nurses when supporting mothers in the care of babies within one week and one month after birth. 本研究の目的は, 出生後早期および生後1か月時点において, 児の泣き声を聞いたとき, 母親がどのように感じ, どのように考えて行動しているかという "児の泣き声に対する母親の反応" を明らかにすることである.石川県内の出産施設で出生した正常な新生児をもつ母親16名を調査対象とし, 児の泣き声に対する母親の受け止め方について, 半構成的に面接を行い質的に分析した.その結果, 新生児の泣き声に対する母親の反応には, 以下の6つのカテゴリーがあげられた.そのカテゴリーとは,【感情・情動反応】,【認知的反応】,【泣きの解釈】,【児の要求を満たすための行動】,【児の泣きに対する思い】,【児の性格・気質の感じ取り】であった.このうち,【感情・情動反応】には, 児の泣き声を聞いたときの『母親の気持ちの安定性』,『母親役割意識』,『泣きの特徴からみた児の気質』,『前回の授乳時間からの時間経過』が関与していた.また【泣きの解釈】には『時間経過』と『泣きの特徴』が関与していた.本研究の結果より, 出生後1か月ごろまでの児をもつ母親の心理的な状況と母親を支援する方向示唆された.
著者
高木 静代 小林 康江
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.227-237, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
25

目 的 本研究の目的は,助産師が中期中絶を受ける女性のケアに携わることに対して感じる困難を明らかにし,記述することである。対象と方法 胎児異常を理由とした中期中絶ケアの経験のある2年目以上10年目未満の助産師9名から,半構成的面接によってデータを得た。データを逐語録に起こしデータを理解した上で,困難についての語りの内容を抽出し,コード化を行った。さらに,コード間の類似性と相違性の比較や,データとの比較を行いながらサブカテゴリー,カテゴリーへと抽象化した。結 果 助産師が中期中絶のケアに携わることに対して感じる困難は,4つのカテゴリーから構成されていた。助産師にとって中期中絶は,人工的に命が淘汰されることであり,亡くなりゆく命を目の当たりにするという受け入れがたい体験であり《絶たれる命に対する苦悩》を感じていた。また,助産師は母親がどのようなケアを望んでいるかが分からず,ケアに迷いが生じていた。これは,十分なケアが行えていないもどかしさを感じるが,一方では十分なケアを行えるだけの余裕もなく,《ケアに対する不全感》を招いていた。また,母親への違和感や,母親から感じ取る近づきにくさは,母親と関わることへのためらいとなり,《母親との関係性の築きにくさ》となった。助産師である自分が,子どもの人工的な死に加担することを役割として認めることができず,助産師自身がどう対応するべきかという戸惑いとなり《ケア提供者になりきれない》と感じ,ケア役割を遂行できないと認識していた。結 論 中期中絶のケアに携わる助産師の困難は,人工的に命が絶たれることへの苦悩や,ケアすることに対して感じる不全感,さらには母親へのケアを行うという関係性の築きにくさや,助産師としてケアを行うという役割に徹することができないという4つから構成されていることが明らかとなった。
著者
林 はるみ 佐山 光子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.83-92, 2009 (Released:2009-08-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

目 的 本研究は,生殖補助医療で妊娠した女性が,治療の成功から出産に至るまでどのような感情のプロセスをたどるのかを質的研究によって浮き彫りにすることである。対象と方法 研究の参加者は,生殖補助医療によって妊娠し,初めて出産した産後1~6ヶ月の女性で倫理的手続きを経て研究協力の承諾が得られた8名。半構成的面接を行い,その逐語記録をデータとし,現象学的アプローチによって質的記述的に分析した。本研究における感情とは,外界の刺激に応じて絶えず変化する,快・不快,喜び,怒り,悲しみなどの気持ちと定義する。結 果 妊娠から出産への通時的な流れの中で,主要テーマは,【妊娠したことによる使命感と重圧】,【嫉妬心を避けるための気遣い】,【不安に立ち向かうための知恵】,【母親の自覚】,【孤独感からの解放】,【自信の回復】,【不妊や治療経験の肯定的受容】,【成長した自己の確認】,【妊娠の喜びの実感】の9つに集約された。妊娠が判明すると,妊娠の喜びを感じる一方で,祝福されることによる重圧を感じていた。妊婦として受診する時は,不妊治療をしている人の嫉妬心を避けるために気遣いをしていた。妊娠早期から胎児の母親であることを自覚し,妊娠中の不安に立ち向かっていく中で孤独感から解放され,ひとりではないという感情をもつようになっていた。妊娠5ヶ月を転換期として自信が回復し,不妊や治療経験の肯定的受容と成長した自己の確認がみられた。胎児がいつ生まれてもよい状態になると妊娠の喜びを実感していた。以上のようなダイナミックな感情のプロセスが見出された。結 論 生殖補助医療によって妊娠した女性の感情のプロセスは,9つの主要テーマに集約された。妊娠4ヶ月まではARTによって妊娠した女性特有の感情がみられたが,妊娠5ヶ月が転換期となり,通常の妊婦と大きく変わらない感情をもっていた。
著者
中井 かをり 齋藤 いずみ 寺岡 歩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-146, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
18

目 的現在,正常新生児は保険診療報酬の対象外であり,正常新生児への看護人員配置の基準はない。正常新生児への看護の安全性と質を上げるための看護人員配置を検討するための基礎的資料が求められている。本研究の目的は,出生直後から生後4日までの正常新生児に対し,産科の病棟内で実施している看護行為と看護時間を明らかにすることである。方 法産科の病棟を有する3施設において,マンツーマンタイムスタディ法により生後0日は出生直後からの8時間,生後1~4日は午前8:30~16:30までの8時間に看護者が正常新生児に対し実施した看護を111日間調査した。結 果対象は正常新生児64名と看護者122名であった。提供の多い看護行為には生後日数による変動がみられた。平均看護時間は,測定8時間のうち児1人当たりに約2時間を費やし,生後日数間に有意差はなかった。結 論本研究により,正常新生児への看護行為と看護時間が明らかになった。今後,さらに正常新生児への看護に専念できる人材の必要性を検討するためのデータの蓄積が望まれる。
著者
小笹 由香 松岡 恵
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_37-1_47, 2006 (Released:2008-04-25)
参考文献数
23

目 的羊水検査を受ける女性の意思決定に影響を及ぼした価値判断とその根底にある価値体系(慣例規範・維持欲求,期待規範・適応欲求,統合規範・調和欲求の3段階)を明らかにすることを目的とした。対象と方法対象は,羊水検査の結果に異常がなかった女性16名で,研究デザインはインタビューガイドに基づく半構成面接による,質的後方視的記述研究とした。結 果義兄がダウン症であるもの以外の15名は,35歳以上であった。慣例規範・維持欲求の低次の段階を優先していた者は16名中12名だった。慣例規範は,精神的に弱く,高齢のため一生介護責任は持てず,障害児の養育は困難というもので,維持欲求は安定した生活の維持というものだった。夫婦の慣例規範・維持欲求の相違がある場合は,夫の期待に応え,受け入れられるという期待規範・適応欲求が得られず,心理的葛藤が起こっていた。また,羊水検査の受否を決めた,同じ立場の女性が,何を悩み,どう判断したかを知ることにより,自分の決定した行動を正当化し,心に調和を感じていたいという,統合規範・調和欲求があった。結 論羊水検査を受けることについての価値体系には,慣例規範・維持欲求,期待規範・適応欲求,統合規範・調和欲求の3段階があった。本研究の対象の多くは,十分に考慮できずに低次の慣例規範・維持欲求を優先させ,検査を受ける価値について判断していた。
著者
今村 美代子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.49-60, 2012 (Released:2012-08-31)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

目 的 死産または新生児死亡により子どもを亡くした父親が,妻の妊娠中から現在までにどのような体験をしてきたのかという語りを記述し,それを通して父親をより深く理解し,求められるケアの示唆を得ることである。対象と方法 死産または新生児死亡で子どもを亡くした6名の父親を対象に半構成的面接を行い,現象学的研究方法を参考に質的記述的に分析した。結 果 父親の体験は,以下の7つに分類された。1. 予期せぬ死に衝撃を受ける:子どもを突然に失ったという,驚きや混乱からもたらされた精神的衝撃,そして,その後に引き続く無力感,空虚感であった。2. 自分の悲しみをこらえ妻の心身を案じる:自分の悲しみよりも先に,心も身体も傷つけられたであろう妻の立場を気遣っていた。3. 辛さを隠し父親·夫としての役割を果たす:自分の辛さを押し隠し,子どもを送り出す為の諸々の手続きを引き受け,父親と夫の両方の役割を果たしていた。4. 社会に傷つけられながら生活を続ける:男性の備え持つ特性により,悲しみは内に抱え込まれたまま表出されず,更に子どもの死を嘆き悲しむことを認めない社会に傷つけられていた。5. 子どもの死因を知りたいと望む:子どもの死に対して何らかの意味付けを行い,死を受容してゆくきっかけとしていた。6. 父親として在り続ける:子どもが誕生する以前からその存在を愛しみ,子どもを亡くした後も父親として在ることに変わりなかった。7. 人間的な成長を遂げる:父親達は悲しみを抱えながらも「自分自身の力で乗り越えた」,死生観が変容した,人生観が変容した,自分の体験を他者に生かして「共有」したいと願った。結 論 死産·新生児死亡によって子どもを亡くした父親は,予期せぬ我が子の死に大きな衝撃を受け,悲しみを押し隠しながらも父親と夫の役割を果たしていた。表面化されない悲しみは社会からも見過ごされ,時に父親自身も気付き得ないほどであったが,亡き子どもの存在を忘れることはなく,父親として在り続けることで人間的な成長を遂げていた。
著者
高畑 香織
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.251-261, 2015 (Released:2016-02-24)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目 的 分娩前7日間に妊婦が行った陣痛発来への取り組みの実態と分娩誘発の関連を探索することを目的とした。対象と方法 2013年7月から10月に,病院,診療所,助産所20施設にて,正期産児を分娩し条件を満たした褥婦694名に質問紙調査を行った。有効回答を得られた530名(76.3%)について統計的に分析を行った。結 果1.何らかの陣痛発来への取り組みを実施したのは530名中491名(92.6%)で,その割合は重複回答にて,ウォーキング66%,乳頭刺激55%,スクワット44%,階段昇降42%,鍼灸指圧20%,下剤13%,性交9%であった。2.初産婦ローリスク群において,【ウォーキングを中等度の運動強度で1日最低50分以上7日間合計300分以上実施した】グループでは,分娩誘発を有意に減らしており,オッズ比は0.425(95%CI:0.208-0.866)であった。3.乳頭刺激は自然な陣痛発来を期待できる方法とされているが,研究で推奨されている方法で実行されていなかった。結 論 陣痛発来への取り組みとして運動が上位を占め,特に初産婦ローリスク群ではウォーキングの実施と誘発減少との関連が認められた。
著者
小島 德子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.92-102, 2019 (Released:2019-06-30)
参考文献数
31

目 的産褥早期に直接授乳をしている褥婦への足湯を継続して行い,乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響を定性的に評価し検討する。対象と方法対象は,産褥早期に直接授乳をする褥婦25名で,無作為割り付けによる足湯群14名とコントロール群11名の2群間比較を行った。評価指標は,ピンチテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳輪の状態とした。本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した。結 果仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範囲))は,足湯群2.0(2~3)日(n=5),コントロール群4.5(4~5)日(n=4)であり(p<.05),扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=6),コントロール群4.0(3~4)日(n=5)であった(p<.05)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=8),コントロール群4.5(3~5)日(n=6)であり(p<.01),乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群3.0(2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1)であった。乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群3.0(3~3)日(n=2),コントロール群4.5(4~5)日(n=2)であった。乳頭形態・乳輪の状態が「問題なし」(n=5),乳頭「軟」(n=11),乳輪「軟」(n=21)の各該当者は,両群ともに産褥5日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。結 論産褥早期の褥婦への足湯により,仮性陥没乳頭・扁平乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態へとコントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に消失した。このことから,産褥早期の足湯は,褥婦の乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすことが示唆された。
著者
盛山 幸子 島田 三惠子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.222-232, 2008

<B>目 的</B><br> 妊娠先行結婚をした夫婦の特性を明らかにし,妊娠先行結婚と,妊娠期における母親の対児感情,母親役割獲得,及び夫婦関係との関連を明らかにする。<br><B>対象と方法</B><br> 調査の同意を得られた妊娠末期の母親198名(有効回答率67.1%)とその夫173名(有効回答率58.6%)を対象とした。妊婦健診に来所した初産婦に調査票を配布し,留置法あるいは郵送法で回収した。調査項目は対象の属性及び背景等,対児感情,母親役割行動,夫婦関係である。<br><B>結 果</B><br> 妊娠先行群の母親は41名(20.7%),そのうち25歳未満は21名であった。妊娠先行群の母親(p<0.001)とその夫(p<0.01)の年齢は結婚後妊娠群よりも若く,学歴は中学卒業・高校中退者が多かった(p<0.01)。妊娠先行群の母親の結婚の契機は7割が「妊娠したため」,5割が「もともと結婚予定だった」。妊娠先行群の母親の児への接近感情は28.3±8.1点で結婚後妊娠群との差は認められなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群では児への愛着的な感情は有意に低かった(p<0.05)。児への回避感情は妊娠先行群の方が低かった(p<0.05)。母親役割行動の合計得点は結婚後妊娠群との差はなかったが,「規則正しい生活」(p<0.05),「母親学級等への積極的な参加」(p<0.05)は妊娠先行群の方が少なかった。25歳未満の妊娠先行群の母親は「児のことを考えると嬉しい」気持ち(p<0.05)や「児に話しかける」(p<0.01)ことが少なかった。妊娠先行群の夫婦の愛情は結婚後妊娠群との差は認められなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群の母親の夫への愛情は52.7±12.0点で結婚後妊娠群の母親よりも低かった(p<0.05)。<br><B>結 論</B><br> 妊娠先行群の母親の児への接近感情や母親役割行動は結婚後妊娠群との差がなかった。妊娠先行群の母親の児への回避感情は結婚後妊娠の母親よりも低かった。妊娠先行群の夫婦の愛情は結婚後妊娠群との差がなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群の母親は児への愛着的感情や夫への愛情が低かった。
著者
関塚 真美
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_19-2_27, 2005-12-31 (Released:2008-02-29)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

目的産後うつ傾向を早期に発見することの意義は, 心理的健康障害を阻止できることにある。産後うつ傾向の原因は一般に急激な内分泌変動と考えられているが, 出産満足度が低いと産後うつ傾向が高いことも指摘されている。本研究は産後うつ傾向を出産後ストレス反応と位置づけ, ストレス反応を産後うつ尺度およびストレス関連物質にて評価し, 出産満足度と出産後ストレス反応の関連を明らかにすることを目的とした。対象および方法調査期間は2004年4月から10月であった。対象者は54名で, 妊娠末期と産褥早期に質問紙調査とストレス関連物質の測定を実施した。質問紙では「基本的属性」, 「分娩経過」, 「出産時不安尺度」, 出産満足度として「出産体験の自己評価尺度」, ストレス反応の主観的指標として「産後うつ尺度」を調査し, ストレス関連物質として分泌型免疫グロブリンA (secretory Immunoglobrin A : 以下, s-IgA) を測定した。結果出産満足度の低い群は高い群に比較し, 産後うつ得点が高く (35.1±7.9点), s-IgAが低値 (23.8±13.4μg/ml) であったことから, 満足度の低い群ではストレス反応が高いことが示された。しかし, 産後うつ傾向が高い群はs-IgAが有意に低いということはなく, ストレス反応の評価には関連がなかった。結論出産満足度の低い群は, 高い群に比較し産後うつ傾向が高く免疫能が抑制されていることから, ストレス反応が高いことが示され, 出産満足度を高める意義が示唆された。
著者
荒木 奈緒
出版者
日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.89-98, 2006-06-02
被引用文献数
1 1

目的:羊水検査を受けるか否かを検討する妊婦はどのようなプロセスを辿って意思決定をするのか,その際の意思決定プロセスには一般的な意思決定プロセスとの差異があるのかを知ることにより,どのような援助が意思決定を行う妊婦の支援となるのかを明らかにすることを目的とする。対象と方法:対象は,研究参加の同意が得られ,今回の妊娠において羊水検査を受けるか否かを検討した体験を持つ妊婦5名。データ収集には半構造化面接法を用い,妊娠26週~30週の時期の1時点で実施した。得られたデータは面接内容を逐語録としてデータ化した後,内容を質的帰納的に分析した。結果:羊水検査を受けるか否かを決定する際の妊婦の意思決定プロセスを構成するカテゴリーは,≪妊娠の継続を自分に問う≫≪人工妊娠中絶に対する思いを自問する≫≪周囲の意見との照らし合わせ≫≪障害児育児を想像する≫の4つのカテゴリーが抽出された。意思決定プロセスの起点は,≪妊娠の継続を自分に問う≫という形で命に関する自己の価値観を明確化し妊娠の継続を検討することであった。このカテゴリーを起点とし≪人工妊娠中絶に対する思いを自問する≫ことによって自分の人工妊娠中絶に対する考え方を確認し,自分の価値観が周囲の身近な社会で受け入れられるのかを≪周囲の意見との照らし合わせ≫で十分に観察し,障害という視点から≪障害児育児を想像する≫し,育児の可能性を測った上で,検査を受けるか否かの最終意思決定を行うというプロセスが見出された。このプロセス中で羊水検査を受けた妊婦には,胎児に感じる愛着と五体満足でなければいけないという価値観との間で「揺れ」を感じ,検査結果がでるまで妊娠継続に関する決定を保留とし,検査を受ける決定を行なう過程が存在した。結論:羊水検査を受けるか否かを検討する妊婦は,検査結果による妊娠の継続に関することを最初に問題認識し検査を受けるか否かの検討を行なっていた。このプロセスの中で妊婦は,妊娠の継続から導き出された命の価値観と,胎児に対する感情や障害児育児に対する感情が相反した場合に「揺れ」を感じていた。特に検査結果で異常が指摘された場合に,人工妊娠中絶を受けることを考えている妊婦は,心理的重圧という問題を抱えており細心の配慮が必要である。Purpose: The purpose of this study is to understand the decision making process of pregnant women who have to consider whether to undergo amniocentesis or not. Methods: The subjects, who all gave their consent to be interviewed, were 5 women in their 26th to 30th week of pregnancy. The women were interviewed in a semi-structured manner and interviews were recorded and transcribed. A qualitative method was used for an in-depth analysis of the interviews. Units of meaningful descriptions were classified into various main categories. The categories were determined by making small changes after each interview. Results: Three of the 5 women refused to undergo amniocentesis and 2 agreed to it. As regards the process of decision making about whether to go through with the birth or have an abortion, four key categories to be pondered by the pregnant women were identified. These are as follows: 1) ask yourself whether to go ahead with the birth or not, 2) confirm your own sense of value about abortion, 3) judge your own opinion by comparing with that of others, 4) envisage what rearing a disabled infant would be like. The starting point of the process is that pregnant women ask yourself whether to go ahead with the birth or not. The process is not one-way to the determination. While the women are wavering mentally about whether or not to continue the pregnancy, they consider the ramifications of these four categories. Conclusion: The results suggest that this process of mental reflection and wavering over a period of time before the final decision is made is extremely important as it alleviates the pregnant woman's emotional conflict. The pregnant women feel wavering when they have the clash of their sense of values and their emotion. And an important matter is affirms the pregnant woman's emotional conflict and their sense of values.
著者
加藤 佐知子 竹原 健二 新田 知恵子 大田 えりか
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.110-119, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
19

目 的 本研究では電子カルテを用いて,切迫流早産で入院した妊婦を対象に実施されてきた,「衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導」が早産のリスク低減にもたらす効果を検討することを目的とした。対象と方法 本研究のデザインは電子カルテのデータを用いた後ろ向き研究である。本研究の対象は2011年4月1日から2013年3月31日の時点で,調査協力施設に切迫流早産の診断を受けて入院をしていた妊婦230人のうち,対象基準を満たした208人とした。入院期間中に看護師や助産師が「衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導」を実施した者を保健指導実施群,実施されなかった者を対照群とした。すべてのデータは電子カルテから収集された。結 果 対象者の基本属性では,平均年齢が34.7歳(標準偏差(SD):5.0),経産婦が103人(49.8%)であった。保健指導が実施された保健指導実施群は150人(72.1%)であった。二変量解析の結果,保健指導の実施の有無は,妊娠34週未満の早産(p=0.077),妊娠37週未満の早産(p=0.875)のいずれとも統計学的に有意な関連は認められなかった。しかし,先行研究の知見をもとに,社会経済的な要因や過去の受診歴などの交絡因子の影響を調整した多変量解析では,保健指導実施群の妊娠34週未満の早産に対するAdjusted Odds Ratio(AOR)は0.15(95% Confidence Interval(CI):0.04-0.57)と妊娠34週未満の早産のリスクを低下させることが示された。妊娠37週未満の早産との関連は示されなかった(AOR:0.67(95%CI: 0.28-1.60))。結 論 衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導が妊娠34週未満の早産のリスクを低下させる可能性が示唆された。本研究は探索的な研究であり,サンプルサイズが小さいことや,対象者の無作為割付をおこなっていないなどの限界がある。今後,無作為化比較試験のような,この保健指導の有効性をより強く証明するような研究の実施が求められる。