著者
高木 静代 小林 康江
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.227-237, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
25

目 的 本研究の目的は,助産師が中期中絶を受ける女性のケアに携わることに対して感じる困難を明らかにし,記述することである。対象と方法 胎児異常を理由とした中期中絶ケアの経験のある2年目以上10年目未満の助産師9名から,半構成的面接によってデータを得た。データを逐語録に起こしデータを理解した上で,困難についての語りの内容を抽出し,コード化を行った。さらに,コード間の類似性と相違性の比較や,データとの比較を行いながらサブカテゴリー,カテゴリーへと抽象化した。結 果 助産師が中期中絶のケアに携わることに対して感じる困難は,4つのカテゴリーから構成されていた。助産師にとって中期中絶は,人工的に命が淘汰されることであり,亡くなりゆく命を目の当たりにするという受け入れがたい体験であり《絶たれる命に対する苦悩》を感じていた。また,助産師は母親がどのようなケアを望んでいるかが分からず,ケアに迷いが生じていた。これは,十分なケアが行えていないもどかしさを感じるが,一方では十分なケアを行えるだけの余裕もなく,《ケアに対する不全感》を招いていた。また,母親への違和感や,母親から感じ取る近づきにくさは,母親と関わることへのためらいとなり,《母親との関係性の築きにくさ》となった。助産師である自分が,子どもの人工的な死に加担することを役割として認めることができず,助産師自身がどう対応するべきかという戸惑いとなり《ケア提供者になりきれない》と感じ,ケア役割を遂行できないと認識していた。結 論 中期中絶のケアに携わる助産師の困難は,人工的に命が絶たれることへの苦悩や,ケアすることに対して感じる不全感,さらには母親へのケアを行うという関係性の築きにくさや,助産師としてケアを行うという役割に徹することができないという4つから構成されていることが明らかとなった。
著者
廣瀬 直紀 白石 三恵 春名 めぐみ 松崎 政代 吉田 穂波
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.342-349, 2016 (Released:2017-03-08)
参考文献数
30

目 的 震災が妊婦及び児の身体に与える影響は明らかになっていない。本研究の目的は系統的文献レビューを行い,震災が妊婦や児の身体に与える影響を個々の妊娠転帰別,及び対象者の特性別に明らかにすることである。方 法 震災後の妊娠転帰をアウトカムとした論文を集約するため,キーワードを用いて英語及び日本語文献を対象に電子データベース検索(PubMed, CINAHL, CiNii,医中誌)及びハンドサーチを行った。抽出された論文から包含基準,除外基準に基づき論文を選択した後,Risk of Bias Assessment Tool for Nonrandomized Studies(RoBANS)による評価を行い,包含する論文を決定した。全過程は2名の独立したレビュアーにより行われた。結 果 最終的に6編の論文が包含された。アウトカムとされた主たる妊娠転帰は早産,子宮内胎児発育遅延,低出生体重児の3つであった。震災後の妊娠転帰として4編の論文で早産率の増加,1編の論文で子宮内胎児発育遅延率の増加,2編の論文で低出生体重児率の増加が報告されていた。また,対象者の特性別に分析したところ,妊娠初期に被災した群において有意に在胎週数および出生体重が減少,早期早産率および低出生体重児率が増加し,そして児が女児の群において有意に早産率および低出生体重児率が増加するなど,強い妊娠転帰の悪化が報告されていた。結 論 震災が妊婦の早産,低出生体重児の増加につながる可能性が示唆された。また,被災した妊娠週数や児の性別によって震災への脆弱性に差がある可能性が示唆されたことから,こうした要因については今後の災害対応において考慮する必要がある。
著者
小川 久貴子 安達 久美子 恵美須 文枝
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_50-2_63, 2006 (Released:2008-06-30)
参考文献数
53
被引用文献数
2 1

目 的 本研究では,1990年から2005年の10代妊婦に関する国内文献の内容を分析し,今後の課題を明らかにすることである。対象と方法 「医中誌WEB:」及び,「最新看護検索」を用い,キーワードを,『未成年者妊娠,若年初産婦,10代妊娠,思春期妊娠』として検索し,得られた106件の文献内容を分析し,それを分類して検討した。結 果 文献内容を分析した結果,10代妊婦の背景や妊娠から育児に関する実態と今後の課題の合計5項目が明らかになった。その中で,既存文献では,10代妊婦の実態やケア実践への提言は比較的多くなされているが,ケアの効果を実証する研究や10代の年齢による特性の違いを論じる研究は少ないことが明らかになった。さらに,10代女性にとっての妊娠の受容過程や,10代で妊娠することや子育てを経験することが,その社会のなかでその人にどのような意味をもち,健康面にどのように影響するかという心理・社会的状況についても十分には明らかになっていないことが判明した。結 論 今後の10代妊婦の研究では,実践のエビデンスを提供する質の高い研究を目指して,対象者の特性をより明らかにする主観的体験を探求する研究などが重要である。
著者
今野 友美 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.83-93, 2013 (Released:2013-09-18)
参考文献数
22

目 的 出産後の女性の健康増進を目指す出産後プログラムに参加した母親の参加前後の精神的,身体的健康の変化からプログラムの評価を行った。研究方法 対象はA団体の出産後プログラムに参加する産後2か月~6か月の母親135人である。プログラムの内容は,有酸素運動,コミュニケーションスキル向上のためのワーク,セルフケアであり,週に1回2時間,4週継続して行った。測定用具は精神的健康増進の指標として日本版エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS),主観的幸福感尺度,身体的健康増進の指標として研究者作成の身体的不調,参加動機等である。調査はプログラム初回,プログラム4回目,終了後1か月の3時点で行った。3時点での変化についてはrepeated ANOVAを行った。結 果 プログラム4回目まで進んだ者は112人(有効回答率83.0%),終了後1か月までフォローできた者は90人(回収率80.4%)であった。 身体的不調の総合得点の変化には有意差がみられ(p<.001),プログラム4回目で改善し,その効果は終了後1か月まで持続していた。主観的幸福感の総合得点の変化に有意差がみられ(p=.002),調査時期毎に得点が上昇した。抑うつ度を示すEPDS得点の変化に有意差がみられ(p<.001),プログラム4回目で抑うつ度は軽減し,その状態は終了後1か月まで続いていた。EPDS9点以上の割合は,プログラム初回では23人(20.5%)であったのに対し,プログラム4回目では11人(9.8%)であり,有意に割合は減少していた(p=.025)。結 論 プログラムの参加により,身体の不調は改善し,主観的幸福感は高まり,抑うつ度は軽減されており,それはプログラム終了後1か月でも持続していた。今後の課題として,対照群をおいたプログラムの評価が必要である。
著者
馬場 香里
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.207-218, 2015

<b>目 的</b><br> 児童虐待防止への介入の必要性の判断や介入の評価指標とする児童虐待の本質を捉えた尺度の開発につなげ,さらに将来的な周産期における児童虐待防止への支援の発展と,児童虐待予防活動の基盤づくりへの示唆を得ることを目的とした。<br><b>方 法</b><br> Rodgers(2000)の提唱する概念分析のアプローチ法を用いた。9つのデータベースとして,医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINHAL,PsycINFO,SocINDEX,Minds,National Guideline clearing-house,trip databaseを使用し,検索用語は「児童虐待(child abuse),妊娠(pregnant women),産後(postnatal),育児(child care)」とした。最終的に,英語文献26件,日本語文献32件の計58件と,日本小児科学会の発行している「子ども虐待診療手引き(2014)」を分析対象とした。<br><b>結 果</b><br> 5つの属性【養育者から子どもへの一方的な支配関係】【養育者の自覚の有無に関係しない行為】【子どものwell-beingを害する行為】【子どものwell-beingを保つ行為の欠如】【子どもの状況】,5つの先行要件【養育者の要因】【子どもの要因】【社会環境の要因】【複数要因の重なり】【適切な介入の不足】,5つの帰結【子どもの保護】【養育者の否認と孤独】【サバイバーの健康への影響】【母になったサバイバーの苦悩】【世代間伝播】が抽出された。代用語に「child maltreatment」が抽出され,関連概念に「しつけ」「shaken baby syndrome(揺さぶられっこ症候群)」「Munchhausen Syndrome by proxy(代理ミュンヒハウゼン症候群)」が抽出された。分析の結果,本概念を「養育者から子どもへの一方的な支配関係から成る,養育者の自覚の有無に関係しない行為による子どもの状況を基盤とした,子どものwell-beingを害する行為,及び子どものwell-beingを保つ行為の欠如である」と再定義した。<br><b>結 論</b><br> 本概念分析の結果は,児童虐待の本質を捉えることにつながり,今後の研究において児童虐待を測る尺度を開発する基盤となりうる。また本概念分析により,児童虐待による子どもへの長期的な健康への影響や,次世代への児童虐待の繰り返しの可能性が示され,児童虐待発生前の妊娠期からの予防の必要性,特に周産期で主な支援対象となる母がサバイバーであった場合の母に対する介入の必要性が示唆された。さらに周産期における児童虐待防止への支援については,妊婦のみならず,そのパートナーや子ども,社会環境も含めて支援対象であると認識し,それらの要因に対する適切な介入が必要である。
著者
板谷 裕美 北川 眞理子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.2_58-2_70, 2007 (Released:2008-07-07)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

目 的 人工乳がまだ手に入りにくい,昭和の戦後復興期時代に子育てをした女性の母乳哺育体験が,どのようなものであったのかについて明らかにし,記述すること。対象と方法 第1子を1955年以前に出産し母乳哺育体験をもつ健康な高齢女性13名を対象に,自身の母乳哺育体験に関する半構成的面接法を中心としたデータ収集を行った。インタビューは本人の許可を得て録音し,逐語録作成後エスノグラフィーの手法を参考に質的帰納的に分析した。結 果 13人の女性の母乳哺育体験に関する記述データから,4つのカテゴリー;【良好な乳汁分泌と身体性】,【授乳継続への積極的思考と行動】,【他者による母乳哺育への心理社会的関与】,【母親としての肯定的な自己概念の再形成】と,16のサブカテゴリー;〈良好な乳汁分泌状態の継続〉,〈自然な乳汁分泌促進につながるライフスタイル〉,〈授乳継続と避妊効果〉,〈母乳哺育に関する知識や情報の入手〉,〈自律授乳を当たり前とする授乳慣習〉,〈授乳がもたらす快感情の経験〉,〈離乳時期の延長〉,〈母乳哺育に対するゆるぎない価値信念〉,〈自由な授乳を束縛される苦痛と苦悩〉,〈断乳の他者決定〉,〈実母による強力な支援と信頼〉,〈産婆による差異ある授乳支援〉,〈母乳代替を通じた近隣社会の中での助け合い〉,〈母乳哺育に受け継がれる経験知の伝承と遵守〉,〈母乳哺育スキルのスムーズな獲得と母乳育児への自信〉,〈高い母親役割意識の形成発展〉が抽出された。結 論 人工乳がまだ手に入りにくい戦後復興期時代に子育てをした女性は,自身の良好な乳汁分泌を自覚し,他者による母乳哺育への心理社会的関与を受けつつ,授乳継続への積極的思考と行動をとっていた。そして母乳哺育を通して母親としての肯定的な自己概念の再形成をしていた。当時の女性とその家族には,“子どもを育てるには母乳しかない”という意思や信念が強く存在していたことが示唆された。
著者
北川 良子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.345-357, 2010 (Released:2011-04-07)
参考文献数
31
被引用文献数
4

目 的 本研究の目的は,病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために必要な要因について明らかにすることである。対象と方法 産科・産婦人科を標榜している336の病院に勤務する,妊娠中もしくは0歳から小学校卒業までの子どもを養育している助産師1,469名を対象に,郵送法による無記名自記式質問紙を用いた量的横断的記述研究である。調査内容は,属性,対象者の健康状態,家族・家庭環境,子ども・保育環境,職場環境,仕事意欲等である。分析方法は各調査項目と『今までの就業継続状況(就業継続群と一時離職群)』『今後の就業継続予定(継続希望群と退職考慮群)』との関連を検討した。結 果 調査票の回収数は986部(回収率は67.1%)であり,有効回答数は951(有効回答率96.5%)であった。対象者の平均年齢は36.8±5.2歳,子どもの平均人数は1.96人で2人が一番多かった。仕事意欲測定尺度得点の平均値は58.7±8.6であった。『今までの就業継続状況』と実父母・義父母の理解・協力の間に有意差が多く見られた。『今後の就業継続予定』では家族の協力・理解との間に有意差はほとんど認められず,職場環境要因の職場の働きやすさ・仕事と育児の両立しやすさ,上司の理解,モデルとなる助産師の存在において有意差が認められた。結 論 病院に勤務する助産師が,妊娠・出産・育児をしながら就業を継続していくために重要な要因は,助産師本人の高い仕事意欲と家族の理解・協力を前提に,育児と仕事の両立しやすい職場環境と上司の理解が就業継続を決定付ける上で重要な要因であることが示唆された。
著者
麓 杏奈 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.12-22, 2017-06-30 (Released:2017-06-30)
参考文献数
29

目 的喜ばしい体験と同時に不測の急変に直面することのある助産師の心的外傷体験の実態を明らかにし,その心的外傷体験後の心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder:PTSD)発症リスクやレジリエンス,外傷後成長(Posttraumatic Growth:PTG)との関連を探索することである。対象と方法全国の周産期関連施設と教育機関から,層別化無作為割り付け法で抽出した308施設1,198名の就業助産師に質問紙を郵送した。有効回答者681名(56.8%)のデータから混合研究法を用いて,量的データは統計学的分析を,質的データは自由記載の内容分析を行い,得られたカテゴリと各変数との関連を検討した。結 果心的外傷体験を記述した者は575名(84.4%)で,その内容は【分娩に関連した母子の不測な状態】【助産師の辛労を引き起こした状況】【対象者の悲しみとその光景】【自分に向けられた不本意な発言や苛酷な環境】の4つに分類された。【自分に向けられた不本意な発言や苛酷な環境】という直接外傷体験をした助産師の,日本語版改訂出来事インパクト尺度(Impact of Event Scale-Revised:IES-R)平均値が最も高く,またPTG平均値が最も低かった。さらに86名(15.0%)がその心的外傷体験を機に退職を検討していた。また,PTSDと就業継続意思(r=−.229),サポートと就業継続意思(r=−.181),PTSDとサポート得点(r=−.143),PTGとサポート(r=.148),PTGとレジリエンス(r=.314)は有意な関連を認めた(p<.001)。結 論直接外傷体験をした就業助産師はPTSD発症リスクが高かった。心的外傷体験をした助産師が職場内のサポートを得ることは,PTSD発症のリスクの低減,離職予防,さらにその助産師を成長させるポジティブな要素として働くことが示唆された。
著者
高畑 香織
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.251-261, 2015 (Released:2016-02-24)
参考文献数
23
被引用文献数
1

目 的 分娩前7日間に妊婦が行った陣痛発来への取り組みの実態と分娩誘発の関連を探索することを目的とした。対象と方法 2013年7月から10月に,病院,診療所,助産所20施設にて,正期産児を分娩し条件を満たした褥婦694名に質問紙調査を行った。有効回答を得られた530名(76.3%)について統計的に分析を行った。結 果1.何らかの陣痛発来への取り組みを実施したのは530名中491名(92.6%)で,その割合は重複回答にて,ウォーキング66%,乳頭刺激55%,スクワット44%,階段昇降42%,鍼灸指圧20%,下剤13%,性交9%であった。2.初産婦ローリスク群において,【ウォーキングを中等度の運動強度で1日最低50分以上7日間合計300分以上実施した】グループでは,分娩誘発を有意に減らしており,オッズ比は0.425(95%CI:0.208-0.866)であった。3.乳頭刺激は自然な陣痛発来を期待できる方法とされているが,研究で推奨されている方法で実行されていなかった。結 論 陣痛発来への取り組みとして運動が上位を占め,特に初産婦ローリスク群ではウォーキングの実施と誘発減少との関連が認められた。
著者
林 はるみ 佐山 光子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.83-92, 2009 (Released:2009-08-26)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

目 的 本研究は,生殖補助医療で妊娠した女性が,治療の成功から出産に至るまでどのような感情のプロセスをたどるのかを質的研究によって浮き彫りにすることである。対象と方法 研究の参加者は,生殖補助医療によって妊娠し,初めて出産した産後1~6ヶ月の女性で倫理的手続きを経て研究協力の承諾が得られた8名。半構成的面接を行い,その逐語記録をデータとし,現象学的アプローチによって質的記述的に分析した。本研究における感情とは,外界の刺激に応じて絶えず変化する,快・不快,喜び,怒り,悲しみなどの気持ちと定義する。結 果 妊娠から出産への通時的な流れの中で,主要テーマは,【妊娠したことによる使命感と重圧】,【嫉妬心を避けるための気遣い】,【不安に立ち向かうための知恵】,【母親の自覚】,【孤独感からの解放】,【自信の回復】,【不妊や治療経験の肯定的受容】,【成長した自己の確認】,【妊娠の喜びの実感】の9つに集約された。妊娠が判明すると,妊娠の喜びを感じる一方で,祝福されることによる重圧を感じていた。妊婦として受診する時は,不妊治療をしている人の嫉妬心を避けるために気遣いをしていた。妊娠早期から胎児の母親であることを自覚し,妊娠中の不安に立ち向かっていく中で孤独感から解放され,ひとりではないという感情をもつようになっていた。妊娠5ヶ月を転換期として自信が回復し,不妊や治療経験の肯定的受容と成長した自己の確認がみられた。胎児がいつ生まれてもよい状態になると妊娠の喜びを実感していた。以上のようなダイナミックな感情のプロセスが見出された。結 論 生殖補助医療によって妊娠した女性の感情のプロセスは,9つの主要テーマに集約された。妊娠4ヶ月まではARTによって妊娠した女性特有の感情がみられたが,妊娠5ヶ月が転換期となり,通常の妊婦と大きく変わらない感情をもっていた。
著者
中井 かをり 齋藤 いずみ 寺岡 歩
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.138-146, 2018-12-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
18

目 的現在,正常新生児は保険診療報酬の対象外であり,正常新生児への看護人員配置の基準はない。正常新生児への看護の安全性と質を上げるための看護人員配置を検討するための基礎的資料が求められている。本研究の目的は,出生直後から生後4日までの正常新生児に対し,産科の病棟内で実施している看護行為と看護時間を明らかにすることである。方 法産科の病棟を有する3施設において,マンツーマンタイムスタディ法により生後0日は出生直後からの8時間,生後1~4日は午前8:30~16:30までの8時間に看護者が正常新生児に対し実施した看護を111日間調査した。結 果対象は正常新生児64名と看護者122名であった。提供の多い看護行為には生後日数による変動がみられた。平均看護時間は,測定8時間のうち児1人当たりに約2時間を費やし,生後日数間に有意差はなかった。結 論本研究により,正常新生児への看護行為と看護時間が明らかになった。今後,さらに正常新生児への看護に専念できる人材の必要性を検討するためのデータの蓄積が望まれる。
著者
小笹 由香 松岡 恵
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1_37-1_47, 2006 (Released:2008-04-25)
参考文献数
23

目 的羊水検査を受ける女性の意思決定に影響を及ぼした価値判断とその根底にある価値体系(慣例規範・維持欲求,期待規範・適応欲求,統合規範・調和欲求の3段階)を明らかにすることを目的とした。対象と方法対象は,羊水検査の結果に異常がなかった女性16名で,研究デザインはインタビューガイドに基づく半構成面接による,質的後方視的記述研究とした。結 果義兄がダウン症であるもの以外の15名は,35歳以上であった。慣例規範・維持欲求の低次の段階を優先していた者は16名中12名だった。慣例規範は,精神的に弱く,高齢のため一生介護責任は持てず,障害児の養育は困難というもので,維持欲求は安定した生活の維持というものだった。夫婦の慣例規範・維持欲求の相違がある場合は,夫の期待に応え,受け入れられるという期待規範・適応欲求が得られず,心理的葛藤が起こっていた。また,羊水検査の受否を決めた,同じ立場の女性が,何を悩み,どう判断したかを知ることにより,自分の決定した行動を正当化し,心に調和を感じていたいという,統合規範・調和欲求があった。結 論羊水検査を受けることについての価値体系には,慣例規範・維持欲求,期待規範・適応欲求,統合規範・調和欲求の3段階があった。本研究の対象の多くは,十分に考慮できずに低次の慣例規範・維持欲求を優先させ,検査を受ける価値について判断していた。
著者
今村 美代子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.49-60, 2012 (Released:2012-08-31)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

目 的 死産または新生児死亡により子どもを亡くした父親が,妻の妊娠中から現在までにどのような体験をしてきたのかという語りを記述し,それを通して父親をより深く理解し,求められるケアの示唆を得ることである。対象と方法 死産または新生児死亡で子どもを亡くした6名の父親を対象に半構成的面接を行い,現象学的研究方法を参考に質的記述的に分析した。結 果 父親の体験は,以下の7つに分類された。1. 予期せぬ死に衝撃を受ける:子どもを突然に失ったという,驚きや混乱からもたらされた精神的衝撃,そして,その後に引き続く無力感,空虚感であった。2. 自分の悲しみをこらえ妻の心身を案じる:自分の悲しみよりも先に,心も身体も傷つけられたであろう妻の立場を気遣っていた。3. 辛さを隠し父親·夫としての役割を果たす:自分の辛さを押し隠し,子どもを送り出す為の諸々の手続きを引き受け,父親と夫の両方の役割を果たしていた。4. 社会に傷つけられながら生活を続ける:男性の備え持つ特性により,悲しみは内に抱え込まれたまま表出されず,更に子どもの死を嘆き悲しむことを認めない社会に傷つけられていた。5. 子どもの死因を知りたいと望む:子どもの死に対して何らかの意味付けを行い,死を受容してゆくきっかけとしていた。6. 父親として在り続ける:子どもが誕生する以前からその存在を愛しみ,子どもを亡くした後も父親として在ることに変わりなかった。7. 人間的な成長を遂げる:父親達は悲しみを抱えながらも「自分自身の力で乗り越えた」,死生観が変容した,人生観が変容した,自分の体験を他者に生かして「共有」したいと願った。結 論 死産·新生児死亡によって子どもを亡くした父親は,予期せぬ我が子の死に大きな衝撃を受け,悲しみを押し隠しながらも父親と夫の役割を果たしていた。表面化されない悲しみは社会からも見過ごされ,時に父親自身も気付き得ないほどであったが,亡き子どもの存在を忘れることはなく,父親として在り続けることで人間的な成長を遂げていた。
著者
眞嶋 ゆか 小林 康江
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.48-58, 2015 (Released:2015-08-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

目 的 本研究は,退院時と1か月健診の新生児のおむつかぶれの有無と推移,臀部の角層水分率および母親のおむつ交換方法との関連を明らかにすることである。対象と方法 2012年7月~10月に,X県の産婦人科医院1施設で出生した新生児と母親69組を対象に,生後4日と1か月健診時に調査した。新生児は外陰部,肛門周囲部,大腿部,臀部,下腹部について,紅斑,丘疹,腫脹,びらん,落屑の有無を観察し,モイスチャーチェッカー水分計MY-808S(スカラ社)を用いて臀部の角層水分率を測定した。母親にはおむつ交換方法(おむつ交換の目安,おむつ装着時の注意点,臀部の拭き方)を聞き取り調査した。分析は,SPSSVer.20を使用し,有意水準は5%とした。結 果 新生児は男児31名,女児38名だった。丘疹や紅斑が生後4日は18名(26.1%),1か月健診時30名(43.5%),2時点のいずれかは38名(55.1%)の大腿部や肛門周囲部に認められ,生後4日の男児(p=.03)と1か月健診時(p=.03)に有意に多く認めた。臀部の角層水分率は生後4日31.9±1.0%,1か月健診時32.2±1.0%であり,1か月健診時に有意に増加した(p=.04)。母親のおむつ交換方法は2時点とも変化がなく,交換の目安は「泣いた時」,おむつ装着時の注意点は「お腹がきつくない」,臀部の拭き方は「弱く拭く」が最も多かった。おむつかぶれの有無と臀部の角層水分率,排便回数,おむつ交換回数,母親のアトピー性皮膚炎既往の有無,入院中のおむつ交換指導の有無,栄養の種類別,臀部の拭き方は関連がなく,おむつ交換方法も特徴的な差はなかった。結 論 おむつかぶれの有無とおむつかぶれを生じさせると考えられる項目やおむつ交換方法に差がないため,どの児でもおむつかぶれを生じる可能性がある。母親は退院後も入院中とほぼ同じ方法でおむつ交換を行っており,入院中の指導の重要性が示唆された。
著者
小島 德子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.92-102, 2019 (Released:2019-06-30)
参考文献数
31

目 的産褥早期に直接授乳をしている褥婦への足湯を継続して行い,乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に及ぼす影響を定性的に評価し検討する。対象と方法対象は,産褥早期に直接授乳をする褥婦25名で,無作為割り付けによる足湯群14名とコントロール群11名の2群間比較を行った。評価指標は,ピンチテストによる乳頭形態の判別と触診による乳頭・乳輪の状態とした。本研究は,愛知医科大学看護学部倫理委員会の承認を得て実施した。結 果仮性陥没乳頭が正常乳頭に変化した日(中央値(範囲))は,足湯群2.0(2~3)日(n=5),コントロール群4.5(4~5)日(n=4)であり(p<.05),扁平乳頭が正常乳頭に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=6),コントロール群4.0(3~4)日(n=5)であった(p<.05)。乳頭「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群2.0(2~3)日(n=8),コントロール群4.5(3~5)日(n=6)であり(p<.01),乳輪「硬」が「軟」に変化した日は,足湯群3.0(2~4)日(n=3),コントロール群4.0(4~4)日(n=1)であった。乳輪浮腫の状態が消失した日は,足湯群3.0(3~3)日(n=2),コントロール群4.5(4~5)日(n=2)であった。乳頭形態・乳輪の状態が「問題なし」(n=5),乳頭「軟」(n=11),乳輪「軟」(n=21)の各該当者は,両群ともに産褥5日間その乳頭形態及び乳頭・乳輪の状態に変化はなかった。結 論産褥早期の褥婦への足湯により,仮性陥没乳頭・扁平乳頭は正常乳頭に,乳頭・乳輪は柔らかい状態へとコントロール群よりも早期に変化し,乳輪浮腫は早期に消失した。このことから,産褥早期の足湯は,褥婦の乳頭形態と乳頭・乳輪の状態に良い影響を及ぼすことが示唆された。
著者
盛山 幸子 島田 三惠子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.222-232, 2008

<B>目 的</B><br> 妊娠先行結婚をした夫婦の特性を明らかにし,妊娠先行結婚と,妊娠期における母親の対児感情,母親役割獲得,及び夫婦関係との関連を明らかにする。<br><B>対象と方法</B><br> 調査の同意を得られた妊娠末期の母親198名(有効回答率67.1%)とその夫173名(有効回答率58.6%)を対象とした。妊婦健診に来所した初産婦に調査票を配布し,留置法あるいは郵送法で回収した。調査項目は対象の属性及び背景等,対児感情,母親役割行動,夫婦関係である。<br><B>結 果</B><br> 妊娠先行群の母親は41名(20.7%),そのうち25歳未満は21名であった。妊娠先行群の母親(p<0.001)とその夫(p<0.01)の年齢は結婚後妊娠群よりも若く,学歴は中学卒業・高校中退者が多かった(p<0.01)。妊娠先行群の母親の結婚の契機は7割が「妊娠したため」,5割が「もともと結婚予定だった」。妊娠先行群の母親の児への接近感情は28.3±8.1点で結婚後妊娠群との差は認められなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群では児への愛着的な感情は有意に低かった(p<0.05)。児への回避感情は妊娠先行群の方が低かった(p<0.05)。母親役割行動の合計得点は結婚後妊娠群との差はなかったが,「規則正しい生活」(p<0.05),「母親学級等への積極的な参加」(p<0.05)は妊娠先行群の方が少なかった。25歳未満の妊娠先行群の母親は「児のことを考えると嬉しい」気持ち(p<0.05)や「児に話しかける」(p<0.01)ことが少なかった。妊娠先行群の夫婦の愛情は結婚後妊娠群との差は認められなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群の母親の夫への愛情は52.7±12.0点で結婚後妊娠群の母親よりも低かった(p<0.05)。<br><B>結 論</B><br> 妊娠先行群の母親の児への接近感情や母親役割行動は結婚後妊娠群との差がなかった。妊娠先行群の母親の児への回避感情は結婚後妊娠の母親よりも低かった。妊娠先行群の夫婦の愛情は結婚後妊娠群との差がなかった。しかし,25歳未満の妊娠先行群の母親は児への愛着的感情や夫への愛情が低かった。
著者
関塚 真美
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.2_19-2_27, 2005-12-31 (Released:2008-02-29)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

目的産後うつ傾向を早期に発見することの意義は, 心理的健康障害を阻止できることにある。産後うつ傾向の原因は一般に急激な内分泌変動と考えられているが, 出産満足度が低いと産後うつ傾向が高いことも指摘されている。本研究は産後うつ傾向を出産後ストレス反応と位置づけ, ストレス反応を産後うつ尺度およびストレス関連物質にて評価し, 出産満足度と出産後ストレス反応の関連を明らかにすることを目的とした。対象および方法調査期間は2004年4月から10月であった。対象者は54名で, 妊娠末期と産褥早期に質問紙調査とストレス関連物質の測定を実施した。質問紙では「基本的属性」, 「分娩経過」, 「出産時不安尺度」, 出産満足度として「出産体験の自己評価尺度」, ストレス反応の主観的指標として「産後うつ尺度」を調査し, ストレス関連物質として分泌型免疫グロブリンA (secretory Immunoglobrin A : 以下, s-IgA) を測定した。結果出産満足度の低い群は高い群に比較し, 産後うつ得点が高く (35.1±7.9点), s-IgAが低値 (23.8±13.4μg/ml) であったことから, 満足度の低い群ではストレス反応が高いことが示された。しかし, 産後うつ傾向が高い群はs-IgAが有意に低いということはなく, ストレス反応の評価には関連がなかった。結論出産満足度の低い群は, 高い群に比較し産後うつ傾向が高く免疫能が抑制されていることから, ストレス反応が高いことが示され, 出産満足度を高める意義が示唆された。
著者
加藤 佐知子 竹原 健二 新田 知恵子 大田 えりか
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.110-119, 2016 (Released:2016-09-01)
参考文献数
19

目 的 本研究では電子カルテを用いて,切迫流早産で入院した妊婦を対象に実施されてきた,「衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導」が早産のリスク低減にもたらす効果を検討することを目的とした。対象と方法 本研究のデザインは電子カルテのデータを用いた後ろ向き研究である。本研究の対象は2011年4月1日から2013年3月31日の時点で,調査協力施設に切迫流早産の診断を受けて入院をしていた妊婦230人のうち,対象基準を満たした208人とした。入院期間中に看護師や助産師が「衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導」を実施した者を保健指導実施群,実施されなかった者を対照群とした。すべてのデータは電子カルテから収集された。結 果 対象者の基本属性では,平均年齢が34.7歳(標準偏差(SD):5.0),経産婦が103人(49.8%)であった。保健指導が実施された保健指導実施群は150人(72.1%)であった。二変量解析の結果,保健指導の実施の有無は,妊娠34週未満の早産(p=0.077),妊娠37週未満の早産(p=0.875)のいずれとも統計学的に有意な関連は認められなかった。しかし,先行研究の知見をもとに,社会経済的な要因や過去の受診歴などの交絡因子の影響を調整した多変量解析では,保健指導実施群の妊娠34週未満の早産に対するAdjusted Odds Ratio(AOR)は0.15(95% Confidence Interval(CI):0.04-0.57)と妊娠34週未満の早産のリスクを低下させることが示された。妊娠37週未満の早産との関連は示されなかった(AOR:0.67(95%CI: 0.28-1.60))。結 論 衣服による体幹への締め付けを回避する保健指導が妊娠34週未満の早産のリスクを低下させる可能性が示唆された。本研究は探索的な研究であり,サンプルサイズが小さいことや,対象者の無作為割付をおこなっていないなどの限界がある。今後,無作為化比較試験のような,この保健指導の有効性をより強く証明するような研究の実施が求められる。
著者
加藤 千穂 片岡 弥恵子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.4-14, 2015 (Released:2015-08-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1

目 的 本研究の目的は,既存の文献より,産科に従事する医療者に対する産科救急シミュレーションの効果について明らかにすることである。方 法 PubMed,CINAHL Plus With full text,The Cochrane Library,Maternity and Infant Care,医学中央雑誌Ver.5にて検索を行い,Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づいて,文献の批判的吟味と分析を行った。結 果 RCT 5件を分析対象とし,採用文献のバイアスのリスクは低いと判断した。介入を高忠実度(high-fidelity)シミュレーションとし,対照群はシミュレーションを実施しない,低忠実度(low-fidelity)シミュレーション,レクチャーと設定した。パフォーマンスについては,高忠実度シミュレーションのほうが低忠実度シミュレーション,レクチャーと比較しパフォーマンスが向上した。また,高忠実度と低忠実度の比較では,肩甲難産の管理ついては高忠実度群のほうが,パフォーマンスが向上するが,子癇の管理については有意な差は見られなかった。知識については,高忠実度と低忠実度で差はなく,コミュニケーション技術は,シミュレーターの忠実度による差はない,もしくは低忠実度シミュレーションのほうが,コミュニケーション技術が向上するという結果であった。結 論 子癇,肩甲難産の管理に関する高忠実度シミュレーションは,トレーニングを実施しないことや,レクチャーと比較し,パフォーマンスを向上させる。しかし,シミュレーターの忠実度の違いによる知識,コミュニケーションへの明らかな効果は認められなかった。今後は,子癇,肩甲難産以外のプログラムや,産科合併症など長期的アウトカムの評価が求められる。