著者
冨永 美穂子 冨永 眞美 湯浅 正洋
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

<b>【目的】</b>近年,分子調理と呼ばれる物理や化学の原理や実験機器・機具類を使用して新たな食感,外観の料理を開発する試みが欧米諸国を中心に広まってきている.亜酸化窒素や二酸化炭素を使用し,食材を泡状にすることは「エスプーマ」と呼ばれ,スペイン語で泡を意味する.このエスプーマは料理業界においては日本国内でも取り上げられ,一般的になりつつあるが,泡の特性,持続性や食感などに関するデータはほとんど見当たらない.そこで本研究では,料理で使用されることが多い牛乳,豆乳およびそれらの発酵乳をエスプーマに調製し,注入ガスの違いが泡の物性や持続性に及ぼす影響について明らかにすることとした.<br /><b>【方法】</b>試料は成分無調整牛乳,豆乳およびそれらのみを原料とする生乳100%ヨーグルト(発酵乳),発酵豆乳食品(発酵豆乳)を使用した.専用ボトルに各試料200 gを入れ,亜酸化窒素(N<sub>2</sub>O)あるいはソーダカートリッジ(CO<sub>2</sub>)を注入し,ボトルを上下に10回振り,4℃で3時間保冷後,ノズルを取り付け,絞り出したものをエスプーマとした.各試料エスプーマの安定性(経時的な体積変化),気泡性(オーバーラン),最大荷重(クリープメータ)を測定した.実体顕微鏡により各試料の気泡の様子を観察し,写真撮影後,気泡数および気泡面積をImage Jを使用して数値化し,各試料エスプーマの経時的変化を比較した.<br /><b>【結果】</b>牛乳エスプーマの安定性は低く,CO<sub>2,</sub>N<sub>2</sub>Oともに調製後5分で体積が液体と同等となった.一方,豆乳エスプーマの場合は注入ガスの影響がみられ,CO<sub>2</sub>の方がN<sub>2</sub>Oよりも体積変化が緩やかで安定性は高かった.牛乳,豆乳ともに発酵品をエスプーマにした方が安定性は高かった.オーバーランはすべての試料でCO<sub>2</sub>エスプーマの方がN<sub>2</sub>Oよりも高かった.エスプーマの最大荷重に注入ガスによる差はほとんどなかったが,牛乳,豆乳いずれも発酵品の方が高値を示した.発酵乳エスプーマにおいて,N<sub>2</sub>Oの方がCO<sub>2</sub>よりも気泡数の減少,気泡面積の拡大が遅く形状を維持できることが示唆された.