著者
端 憲二 多田 敦 冨永 隆志
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.169-174,a2, 2001-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

地域固有の生態系に配慮した農業水路の計画を考える一例として, 近年その減少が危惧されている陸封型イトヨの生息地である湧水地帯で環境調査を行った。生息地の調査で, DO, pH, COD, 窒素, リン等の水質条件とともに, イトヨは日中の最高水温が20℃を上回らない水路では生息可能なことなどを明らかにした。これらの条件と植生, 流速等の諸条件を小流域としてまとまっている6本の水路 (総延長23.1km) について調査した結果, イトヨが生息している, または生息できる可能性が高い潜在的な生息可能区域は, 総延長にして5.4kmに相当した。また, この区域は年間を通じ枯渇しない湧水の影響下の1~2kmであった。