著者
端 憲二 石川 雅也 鈴木 光剛
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.339-344,a1, 1996-04-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

農村で総合的に水質を保全するためのひとつの方法として湿地利用がある。本報では, 湿地が有する窒素除去機能および利用方法やその基本的な考え方について述べるとともに, 湿地模型を利用した窒素除去試験の結果を紹介しつつ, 浄化作用に影響する主な要因について解説した。湿地模型を用いた試験では, 滞留時間の増加に伴い, アンモニア態窒素除去率が上昇すること, 除去速度は濃度に依存することなどを明らかにした。一方で, 水温と日射量が水生植物の窒素吸収に影響を与えていることが示唆された。そこで, 日射および水温を加えた簡単な数理モデルを作成し, シミュレーションを行った結果, 現象を比較的精度良く再現できることがわかった。
著者
山岡 賢 端 憲二 小松 康人
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.184, pp.587-601,a1, 1996-08-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
33

農業集落排水施設における窒素除去のための最適曝気条件を得るため, 実施設規模の回分式活性汚泥方式の実験プラントでの調査結果を基に, 回分槽内のDO, ORP, pH等の硝化速度への影響を検討した. 本調査結果では, 回分槽内のDO, ORP, アンモニア態窒素濃度の硝化速度への影響はほとんど見られなかった. 硝化速度は酸素供給速度が律速となっていた. このため, 一般にいわれている水温が10℃上昇で硝化速度が2倍となる. 硝化速度がMLSS濃度と比例するといった関係は見られなかった. 試算によると水温上昇に対して曝気条件が同じであっても硝化速度を維持することが可能との結果を得た.
著者
端 憲二 多田 敦 冨永 隆志
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.169-174,a2, 2001-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

地域固有の生態系に配慮した農業水路の計画を考える一例として, 近年その減少が危惧されている陸封型イトヨの生息地である湧水地帯で環境調査を行った。生息地の調査で, DO, pH, COD, 窒素, リン等の水質条件とともに, イトヨは日中の最高水温が20℃を上回らない水路では生息可能なことなどを明らかにした。これらの条件と植生, 流速等の諸条件を小流域としてまとまっている6本の水路 (総延長23.1km) について調査した結果, イトヨが生息している, または生息できる可能性が高い潜在的な生息可能区域は, 総延長にして5.4kmに相当した。また, この区域は年間を通じ枯渇しない湧水の影響下の1~2kmであった。