著者
島 章 冨田 幸雄
出版者
一般社団法人 ターボ機械協会
雑誌
ターボ機械 (ISSN:03858839)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.252-259, 1974 (Released:2011-03-18)
参考文献数
45
著者
冨田 幸雄
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

水滴の大きさと落下高さを広範囲に変えて水面に衝突させ、その後の水面変形と空気泡の取り込みパターンを検討した。特に、「水琴窟」の音発生条件と密接に関わっているものの、これまで知見が少ない「気泡のイレギュラー取り込み」領域について詳細な実験を行った。その結果、次の事柄が明らかとなった:(1)イレギュラー領域には少なくとも3種類の空気泡形成のパターンがある。一つ目は収縮する変形水面に衛星滴が衝突して空気泡が分離する場合。二つ目は発達した水柱が沈降して水中に完全に沈み込む直前、水柱底部の空気層が閉鎖する際の不安定によって微細な気泡群が発生し、これらが合体してより大きな複数の空気泡になる場合。三つ目は最初の原因で発生した空気泡が水柱の中に取り込まれ、それが再び水中に戻る場合である。第三の原因で発生する空気泡は微弱な圧力変動にさらされるだけであるため強い音響は発生しない。これに対して最初の二つの原因で生じる空気泡は、その際の圧力変動(表面張力+水圧ヘッド)によって適度な振動を練り返して水中に過渡音響を放射する。(2)従来、安定的に音が発生しないとされてきた「イレギュラー領域」の中にも、衛星滴の衝突に起因して非常に再現性良く気泡音が発生する条件があることを明らかにした。これに対して第二の原因による空気泡の形成は極めてランダムであり、その結果発生する音域の範囲は広い。この第二の空気泡の生成機構については更に高い時間分解能による光学観察が必要であり、今後の課題となった。