著者
冨田 祐司 宮野 佐年 渡辺 修 大橋 正洋 片桐 伯真 久保 義郎
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.593-598, 1999-09-18 (Released:2009-09-04)
参考文献数
21
被引用文献数
3 4

脳外傷患者の社会復帰を検討する際の指標としてのWAIS-Rの有用性について検討した.対象は, 55歳以下, 実用的な屋外歩行が可能で, 失語症がない重症脳外傷患者60例である.社会復帰状況を, 就労群と福祉的就労を含む非就労群に分け, 各知能指数と11の下位検査について検討した.就労群で言語性知能指数 (VIQ) 90.4±14.6, 動作性知能指数 (PIQ) 80.5±14.2, 非就労群でVIQ82.3±14.2, PIQ62.3±13.0で, 非就労群のPIQの低下が顕著であった.判別分析を行うと, PIQとその下位検査の絵画配列と符号が両群の判別に有用であった.これらは社会的能力をよく反映し, 重症脳外傷患者の社会復帰を知的側面から検討する場合, 有用な指標になる.