著者
田港 見布江 冨田 興一 矢野 健二 細川 亙
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery (ISSN:24324647)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1-2, pp.12-18, 2018-09-28 (Released:2018-09-30)
参考文献数
47

人工物を用いた乳房再建では, 一度感染を生じると再手術や抜去につながる可能性も高く, さらには最終的な整容面にも影響を及ぼす可能性がある。SSI予防のための標準的な清潔操作, 術前処置を講じ, 愛護的手技に留意する必要がある。危険因子としては, 喫煙, 肥満, 糖尿病, 大きな乳房, 放射線照射, 術後化学療法, 高齢, 一次再建, 両側再建, 腋窩郭清, MRSA保菌, 高血圧・高脂血症, 免疫不全状態などが知られている。感染の危険度が高い患者群においては, 自家組織再建を含めた適切な術式の選択, 合併症を含めた十分なインフォームドコンセント, および術前計画が重要であると考えられる。また, 感染症例に対する洗浄入れ替えによる救済率は比較的高いが, その後の再感染や被膜拘縮なども懸念され, 救済後の慎重なフォローアップは必要不可欠である。