著者
佐藤 貴保 荒川 慎太郎 冨田 裕子
出版者
盛岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、13世紀初頭、モンゴル帝国軍が繰り返し侵攻していたころの西夏王国の防衛体制や、仏教信仰事業とモンゴル軍侵攻との関係を明らかにするため、西夏とモンゴルとの国境付近の遺跡から見つかった西夏の行政文書や仏典の奥書を調査、解読した。その結果、1210年時点で西夏は都を守る兵力が不足していたこと、政府が国境付近の兵力を正確に把握していなかったこと等が明らかになった。仏教信仰政策については、13世紀初頭に書かれた仏典群の奥書を見る限り、モンゴル軍侵攻を意識したものは発見できず、特別な仏教事業は行われなかった可能性が明らかになった。