著者
冬賀 史織 鈴木 亜紀子 吹越 悠子 赤松 利恵
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.306-313, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
14

目的:成人を対象に,1年間の自己申告の体重増減の妥当性を調べ,3 kg以上体重増減があった者において,自己申告と実測の一致・不一致による特徴を比較した.方法:1年目(2009年度)と2年目(2010年度)の両方に特定健診を受診したA健康保険組合員2,982名(男性1,492名,女性1,490名)を対象とした縦断研究である.標準的な質問票の項目「この1年間で体重の増減が±3 kg以上あった」の2年目の回答により,自己申告増減あり群・なし群に分けた後,1年間の実測の体重増減により各々で実測増減 3 kg以上と未満に分け,4群とし,自己申告の妥当性を検討した.その後,実測増,実測減に分け,8群とし,実測増減 3 kg以上の者において,自己申告と実測の一致・不一致による特徴を比較した.結果:不一致 3 kg未満増減は679名,不一致 3 kg以上増減は191名であり,全体の29.2%(870/2,982)の者が自己申告と実測が不一致だった.不一致 3 kg以上増加は,一致 3 kg以上増加よりも,男性が多かった(64.8%,p=0.012).また,男女ともに体重増加量,体重増加率に有意差がみられ,不一致 3 kg以上増加の方が小さかった(すべてp<0.05).結論:全体で約3割の者が体重変化を正しく認識できていなかった.また,実測で 3 kg以上増加していたにもかかわらず,認識できていなかった者には男性が多く,男女ともに体重増加は小さかった.