著者
出口 博久
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.37-54, 2016-03-01

平成12年に介護保険制度がスタートし、介護老人福祉施設は身体拘束が全面禁止となったが、一定の条件を満たし家族等の同意を得た場合は、「緊急やむを得ない場合」の身体拘束として認められている。「緊急やむを得ない場合」の身体拘束であっても、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援に関する法律」の中に示された虐待に関する5つの定義の1つであり、身体的虐待である。そこで、「緊急やむを得ない場合」の身体拘束の実態調査はもとより、無くす為に必要な項目として抽出した「職員の意識」「研修・知識・介護技術」「施設組織・体制、連携」「利用者の理解」「家族の理解・協力」の5つの項目が、「緊急やむを得ない場合」の身体拘束を無くすことに成功した施設の取り組み実績と比較検証し、身体拘束をしない介護を重視した「質の高いサービス」を提供する為の組織や体制の整備に必要なことについての手がかりを得ることができた。高齢者施設身体拘束虐待施設介護質の高いサービス