著者
出口 徹
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は矯正歯科治療に伴う痛みに対するCO2レーザーの軽減効果のメカニズムを解明することである。本研究において、実験的歯の移動時におけるCO2レーザーの疼痛軽減の効果を中枢側(中脳路核)および末梢(歯髄、歯根幕)において検証を行った。その結果、歯の移動時に伴い、中枢側において増加した痛み発生物質(c-fos)の発現がCO2レーザー照射後に有意に減少する事が明らかとなった。一方、末梢側においては、実験的歯の移動後、末梢神経組織のマーカーとしても知られるカルシトニン遺伝子関連ペプチド: CGRPおよびPGP9. 5の発現はわずかに増加した。CO2レーザー照射後においては、CGRPおよびPGP9. 5の発現に全く変化を認めなかった。さらに、CO2レーザー照射後の温度変化を計測した結果、いずれの照射強度、時間においても40°を超えることはなく、人体に影響を与えることはないことが示唆された。以上よりCO2レーザー照射は、中枢に発現するc-fos蛋白の発現を抑制することにより、歯の移動時に認める痛みを末梢組織の損傷等を起こさずに軽減する可能性が示唆された。