著者
本堂 毅 平田 光司 関根 勉 米村 滋人 尾内 隆之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-15)

本年度は,以下の項目を中心に研究活動を行った.① 公開シンポジウム「『科学の専門知を法廷でどう扱うか?』NSW土地環境裁判所長官プレストン判事を迎えて」 科学的不定性を前提とした社会的意思決定手法に必要な要件を明らかにするためには,海外の先行例の調査・研究は有効である.オーストラリアの科学裁判において,広く採用されている手法「コンカレント・エヴィデンス」は,科学的知識における不定性を前提とした社会的制度設計である.この手法発祥の地である,NSW州土地環境裁判所長官であるプレストン判事が来日する機会を捉え,東京霞ヶ関の弁護士会館を会場に,日本の第一線で活躍する裁判官らと共に,法学者や科学者を交えて国際シンポジウムを行った.本シンポジウムには,多くの現役裁判官,弁護士,法学者,科学らが集い,科学的不定性を前提とした意思決定手法の重要性や,手法の有用性や課題などについて意見を交換し,今後,本研究で解明すべき点が明らかになった.②環境医学の臨床と不定性調査 環境医学の最前線で活躍する臨床医らとともに,臨床研究の予備研究と臨床研究倫理委員会への申請準備を行う中で,不定性と臨床研究倫理との関係について整理を行った.③巨大技術の不定性の科学史的検証研究を行い,その成果を,科学技術社会論研究第11号において発表した(平田光司).④科学教育カリキュラム開発と実践研究 科学的不定性を伝える科学教育カリキュラム開発の実践研究を東北大学の全学教育,および大学院教育の授業において行い,その成果を全学教育テキスト「自然科学総合実験」の改訂等に反映させた.⑤科学論の諸概念と科学的不定性 科学的不定性と従来の科学論との関係について,科学技術社会論研究第11号に論文発表を行った.⑥公開研究会 ①に述べたシンポジウムを公開で行うことにより行った.
著者
佐藤 洋之 倉元 直樹
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.25-33, 2006-03

大学のユニバーサル化に伴い,大学入学者選抜は受験者の「選抜」から志願者の「募集」へと大きく比重を移している.名称の工夫によるイメージ戦略もその一環と言えよう.本研究では「学部」を単位として高校生が大学に抱くイメージを調査した.対応分析によって19のイメージ語と81の実在の学部名の布置を2次元で描いたところ,総じて伝統的な名称の学部のイメージが良く,新奇な学部名称は総じて芳しく受け取られていない傾向が見られた.
著者
林 久美子 丹羽 伸介 池田 一穂 岡田 康志
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-07-18 (Released:2014-09-09)

真核細胞内では、細胞小器官はモータータンパク質キネシン、ダイニンによって輸送される。細胞小器官は様々な物質を含んでおり、細胞小器官の輸送によって生命活動の維持に必要な物質が細胞の隅々に行き渡る。細胞小器官にはミトコンドリア、メラニン色素顆粒、シナプス小胞などを含み、細胞小器官の輸送のメカニズム解明は医療や美容分野にとっても重要である。本研究では、非平衡確率過程模型の恒等式を細胞小器官の運動の解析に応用する事を目指している。H27年度は、ゼブラフィッシュの色素細胞内のメラノソーム輸送について進展があった。魚類は環境に応じて体表の色を変化させるが、この変化は色素細胞内のメラノソームがモータータンパク質に輸送され凝集または拡散することで生じる。この輸送に関連して、メラノソームが何個のモーターによって協同的に輸送されているか、を問題にした。ゼブラフィッシュのウロコから色素細胞を採取し、培養した。ホルモンを添加することで人工的にメラノソームを凝集させた。凝集時のメラノソームの運動を明視野観察で高速に録画し、運動のゆらぎを正確に測定することに成功した。このようにして得られたメラノソームのタイムコースを非平衡確率過程模型の恒等式を利用して解析した。この解析より、1つのメラノソームを輸送するモーターの力を測定することが可能になり、力分布から1つのメラノソームが複数のモータータンパク質に輸送されていることが示唆された。今後は力-速度関係から輸送メカニズムの詳細を調べたい。
著者
三村 均 木村 仁宣 秋葉 健一 小野寺 嘉郎
出版者
東北大学
雑誌
東北大学素材工学研究所彙報 (ISSN:09194827)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-8, 1998
被引用文献数
1

Potassium nickel hexacyanoferrate (II) (KNiFC)-loaded silica gels were prepared by successive impregnation of macro pores with Ni(NO_3)_2 and K_4Fe(CN)_6 solutions. The loading precentage of KNiFC increased with impregnation cycles, and the KNiFC precipitates uniformly dispersed in macro pores of the matrix. The uptake of Cs^+ on KNiFC-loaded silica gels attained equilibrium within 7d at batch factor of 700(cm)^3/g, and relatively large distribution coefficients of Cs^+, K_<d.Cs>, above (10)^4(cm)^3/g, were obtained even in the presence of 5M NaNO_3. The KNiFC particles were thermally decomposed above 300℃, resulting in lowering of uptake ability for Cs^+. This exchanger proved to be effective for the selective removal of radioactive cesium from waste solutions containing highly concentrated NaNO_3.insoluble ferrocyanidespotassium nickel hexacyanoferrate (II)loadingsilica gelimpregnationmacro poreuptakeadsorptioncesiumdistribution coefficient
著者
坂巻 康司 寺本 成彦 森本 淳生 大出 敦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

本研究において、近代日本文学におけるフランス象徴主義の影響について私たちは精査した。その結果、日本文学の歴史のなかで、この影響はあまりにも強大であったため、明治から昭和後期に到る100年以上のあいだ決して消滅することがなかった、ということが分かった。この事実は、近代日本におけるフランス文化の位置・状況とその意味を考えようと望むあらゆる者にとって非常に重要である。
著者
黒木 和人
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.13-24, 1998-11-20

山本有三の「ふりがな廢止論」によって、近代の振仮名は「廢止」の方向にむかった。しかし、その理念のみで「ふりがな廢止」となったのではない。その陰には、やさしくわかりやすい文章を目指そうという有三の努力があった。その努力は、振仮名の機能に頼らない新しいかたちの口語文として結実していった。
著者
高橋 紀子 島田 義弘
出版者
東北大学
雑誌
東北大学歯学雑誌 (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.19-27, 1989-06-30
被引用文献数
1

年一回の視診型定期歯科検診を実施している某高専校において, 年齢15歳から21歳の学生664名(男子577名, 女子87名)を対象に舌疾患の有病状況について調査し, 以下の成績を得た。同一年齢の男女間の有病率は, 19歳群の男女間を除く他の年齢群では性差を認めなかった。男女合計の年齢群別有病状況は, 19歳群が最も高く56.1%, 20歳が最も低く40.0%であり, この範囲の高低はあるが, 各年齢群間には統計学的有意差を認めなかった。被検者全体における有病者は331名, 49.8%であった。検出された舌疾患は9種類で, それぞれの被検者全体に対して占める割合は, 舌苔32.4%, 毛舌症19.4%, 地図状舌4.2%, 溝状舌2.6%, 舌強直症2.3%, 圧痕舌1.7%, 赤色平滑舌0.6%, 舌裂と正中菱形舌炎がそれぞれ0.2%であった。なお, 舌苔と白毛舌, 地図状舌と溝状舌等のように, 二つの別な疾患が併存する例も多く, 89例に見られた。これらの舌疾患は痛み等の自覚症状に乏しく, 治療処置を必要としないため, 定期歯科検診の際には一般に軽視されがちであるが, 今回の調査では9種類の舌疾患を検出し, 従来の類似した年齢集団を対象とした調査成績と比較して, 舌苔, 毛舌症, 地図状舌はかなり高い有病率であった。
著者
大槻 勤
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000 (Released:2000-04-01)

本研究では、フラーレンに核反応の反跳エネルギーを利用してEC崩壊核種である^7Beをフラーレンケージ内に導入し、^7Beの半減期を精密に測定する実験を行った。^7Be@C60フラーレンは^<12>C(γ,αn)^7Beや^7Li(p, n)^7Be反応を用いて製造し、ラジオクロマトグラフ装置を用いて精製した。精製された^7Be@C60フラーレンはヘリウム冷凍機で6Kに冷却され、Ge検出器を用いてその478keVのγ線を測定した。系統的誤差をできるだけ少なくするために常温測定と冷却測定は同じ装置(Ge検出器、MCAシステム、コンピュータ等)を用いて8時間ごとにRunが切られて行われた。また、系統的誤差を少なくするために自動サンプル交換装置を作成して常温及び低温において交互に測定した。結果として常温と冷却時では2%程度の変化が観測された。MCAによる不感時間は非常に少なく半減期測定にはそれほど影響しないことも確認された。6Kの温度では52.98±0.05、常温では51.97±0.05という結果が与えられた。この値は天然に存在する40Kの半減期の観測値が統計内で一定であることから信頼できる値と考えられる。本測定の結果では化学形によるHyperfine coupling constantの違いが観測されているのかもしれない。今までの最も大きな変化の報告(^7BeF_2では53.12と報告されている)に比較するとかなり大きいものと言える。
著者
坂井 信之 中村 真 飯塚 由美 長谷川 智子 山中 祥子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究は、孤食の心理学的問題を明らかにするため、孤食と共食(誰かと一緒に食べること)間で食物のおいしさなどがどのように変化するかということを調べた。その結果、孤食と共食では食物のおいしさ自体に差はみられなかったが、共食時には食事状況に対するポジティブな感情の生起がみられることが明らかとなった。この結果から、共食は、単に食卓を同一にするという物理的なことではなく、一緒に何かを成し遂げる(coaction effect)という心理学的なことであることが示唆された。
著者
大橋 純一
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-26, 1997-12-31

東北方言の/ki/の発音実相を、音響学的手法により、客観的に明らかにする。と同時に、その地理的・年代的状況に基づき、発音実相の通時的展開を追究する。なお、それに際しては、/k/子音の二重調音的発音と/i/母音の中舌的発音との関連性に着目し、展開上、両者が密接に関わっていると考えられることを述べる。
著者
清田 洋正
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

生物活性天然有機化合物に関して、探索および合成研究、生物検定を行った。全合成達成:抗生物質ポリナクチン類アナログ、植物毒素T-β-L、ピリキュオール類、海洋忌避物質プテロエノン、植物ホルモンジャスモン酸類、鶏胃潰瘍形成物質ジゼロシン。部分合成:気菌糸誘導物質パママイシン類、スピロファンジン類、抗生物質エナシロキシン類、血管新生阻害物質コルチスタチン。単離・構造決定:エナシロキシン類、タキサン類、リモノイド類、新規骨格エチノピン。
著者
山本 裕朗 谷口 宏充
出版者
東北大学
雑誌
東北アジア研究 (ISSN:13439332)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.201-232, 1999-03-31

Numerous cinder cones from Ojikajima monogenetic volcanic group are well-exposed by marine erosion that allows a detailed investigation of the proximal products. Observation of the exposures at sea cliffs and petrological study of the volcanic rocks revealed the formation process and the internal structure of cinder cones. These cones are divided into three types in terms of evolution: 1) scoria cone+lava flow, 2) spatter cone+lava flow, 3) maar,tuff-ring (phreato-magmatic phases)+scoria cones+lava flow. Four eruption styles of lava flow are found: 1) over flow from crater edge, 2) outflow from middle part of scoria cone with horseshoe-shaped collapse (intrusion of dike oblige from fissure), 3) without collapse, 4) outflow from middle part or basement (intrusion of dike parallel to fissure).論文Article
著者
菊地 史倫
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

本研究は、日常生活で使用されるウソやユーモアが社会的に機能するときに、聞き手の心的機構(認知・感情過程)に与える影響について明らかにすることを目的としている。過失により他者に不利益を与えてしまった状況(e.g.,遅刻)において、人は他者からの罰(e.g.,叱責)を避けるために弁解をすることがある。本年度は弁解としてのユーモアが聞き手の認知(おもしろさの程度)を媒介して感情調整(ネガティブ感情の抑制・ポジティブ感情の促進)を行っている可能性に着目し、ユーモアに関わる立場(ユーモアの話し手・聞き手)とユーモアの聞き手の状況(聞き手の不利益が大きい状況・不利益が小さい状況)を考慮した実験を行った。その結果、ユーモアに関わる立場に関係なく、弁解としてのユーモアは聞き手のおもしろさの認知を媒介することで過失に対するネガティブ感情を抑制し、聞き手からの罰を避けていることが明らかになった。また、ユーモアは聞き手のおもしろさの認知を媒介することでポジティブ感情を促進するが、罰の回避に与える影響は小さいことが明らかになった。そして、聞き手の不利益が大きい状況では不利益が小さい状況に比べて、ユーモアのおもしろさの程度が低く認知されることが明らかになった。ただし、ユーモアの聞き手の不利益が大きい状況においても、おもしろさが高く認知されれば、感情調整が行われ、聞き手からの罰を回避できることが明らかになった。これらの結果から、ユーモアに関わる立場に関係なく、弁解としてのユーモアは聞き手の認知を媒介し感情調整を行うことで社会的に機能することが示された。また、聞き手の状況(e.g.,不利益の大きさ)によっておもしろさの認知は影響を受けるが、この認知を聞き手に生じさせることができれば感情調整が行われ、ユーモアは社会的潤滑油として機能することが示された。