著者
出口 晶子 出口 正登
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

今、日本の木造船が危ない。伝統技術をもった船大工のほとんどが70代後半から80代となり、後継者が育たないまま、腕のある作り手が急激にいなくなっている。日本は世界のなかでも特色ある木造船文化を継承しながら、今、その文化が消えようとしているのである。本研究プロジェクトでは、この終焉期にある日本の船大工の暮らしの民俗と木造船の技術の現実に正面から向き合ってきた。現役船大工による木造船の建造工程や、船造りにかかわる諸職の暮らしを詳細に調査記録し、日本の木造船の技と文化を保存継承するための諸条件について実地に考察した。