著者
出相 泰裕
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.145-163, 2016-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
27

近年,社会人院生の数は停滞しているが,職業人が大学院に進学するにあたっては阻害要因が存在している.そこで専門職大学院に在籍する職業人学生にインタビュー調査を行い,阻害要因をどう克服し,進学への決断に至ったのかを,成人の教育機会参加に関する概念モデルを検証しつつ,考察した.その結果,今進学しないとチャンスはないというタイミングや他者の影響,大学院の取組により,進学が後押しされていたり,また学習が好きという学習志向性などによって動機が阻害を乗り越えるまでに強化されていたり,さらには人間行為力の強さから自ら阻害を軽減したりして,進学に至っていた.大学院は短期セミナーの提供などにより,受講者の進学動機を強化したり,教員が受講者と信頼関係を築いたりすることなどが肝要となる.