著者
永井 章夫 長沢 峰子 河村 泰仁 児玉 卓也 前花 淳子 南 新三郎 渡辺 泰雄 成田 弘和 清水 喜八郎
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.200-206, 1995-02-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
15

Vancomycin (VCM) とarbekacin (ABK) 誘発性の腎毒性に対するpiperacillin (PIPC) の軽減作用についてラットを用いて検討した。ラットにVCM 160mg/kg (iv), ABK 16mg/kg (im) をそれぞれ4日間連続投与して腎毒性を誘発させた。VCMの160mg/kg単独群では腎尿細管腔の拡張などの軽度腎障害がみられた。ABKの16mg/kg単独群でも尿細管上皮の硝子滴変性が軽度にみられた。これらの変化はPIPCの320mg/kg投与により軽減された。また, VCMにABKを併用するとBUN, 血中クレアチニンの上昇, 尿中NAG, 尿中蛋白量, 尿中β2-マイクログロブリンの増加, 腎重量の増加がみられ, 組織学的には尿細管上皮の壊死などの腎障害像が観察され, 各単独群に比べ腎毒性は著しく増強された。これらの変化に対してもPIPCは軽減作用を示した。