著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
岩室 紳也
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.154-159, 2007

ティーンエイジャーは中学卒業時に1割, 高校卒業時には4割の生徒が性体験を持つ一方で, セックスの時にコンドームを積極的に使用する人が約半数であり, コンドーム使用は生活習慣になっていないため, 性感染症や望まない妊娠のリスクが高い。しかし, コンドームキャンペーンへの反対運動や県の条例で少年 (18歳未満) に対するコンドームの販売を規制しているところもある。テレビ放送におけるコンドーム広告に関する自主規制が存在し, コンドームキャンペーンの手段として最も効果的だと思われるマスコミ関係の協力が得られない。その一方で, 中学校の教科書では「コンドームは, 直接の接触をさけることができるので, 性感染症の予防として有効な手段です」と, 高校の教科書ではコンドームの写真と一緒に「使用方法と留意点: 男性の陰茎が勃起状態になってから, 性交前に装着する。装着時には, 精液だめの空気を抜く。陰茎の勃起前に装着したり, 射精後すみやかに処理しなかったりすると, はずれて精液が膣内にもれることがある。袋の切り口や爪によってコンドームが傷つくと, 使用中に破れることがあるので注意する。比較的簡単に購入できる。価格も安価である」と紹介されている。コンドームキャンペーンではコンドームを印象付けるために感動と共感が得られることが重要であり, 男性用コンドームの購入・保存・携帯法, 正確な男性用コンドーム装着法を詳細に伝え, 「めんどう」, 「使い心地が悪い」, とコンドームを使わないパートナーはあなたの気持ちに無関心であることを, マザーテレサの言葉, 「愛の反対は無関心」を引用し紹介する。
著者
大石 正夫 宮永 嘉隆 大野 重昭 藤原 隆明 佐々木 一之 塩田 洋
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.313-322, 2005-07-20
参考文献数
5
被引用文献数
1

新規注射用カルバペネム系抗菌薬doripenem (DRPM) 250mg点滴静脈内投与時の本薬の眼組織 (前房水) への移行性を検討した。また, 眼科領域感染症として角膜潰瘍, 眼窩感染および眼内炎の患者へDRPM250mgを1日2回または3回, あるいは500mgを1日2回点滴静脈内投与した時の本薬の有効性および安全性の検討を行った。<BR>1. 組織移行性試験<BR>白内障手術施行患者へのDRPM点滴静脈内投与開始70~115分後の前房水中DRPM濃度は0.16~0.87μg/mL, またほぼ同時期の血漿中の本薬の濃度は6.86~12.9μg/mLであった。<BR>2. 第III相一般臨床試験<BR>1) 有効性<BR>評価対象は15例 (角模潰瘍10例, 眼窩感染4例, 眼内炎1例)。1日投与量別の症例数は250mg×2回投与が9例, 250mg×3回投与および500mg×2回投与が, おのおの3例で, 臨床効果における有効率は100.0%(15/15例) であった。<BR>投与前後で菌の消長が検討可能であった症例は8例 (角膜潰瘍4例, 眼窩感染3例, 眼内炎1例) であった。これら8例の内訳はα-<I>Streptococcus</I>感染例が1例, C<I>orynebacterium</I> sp.感染例が3例, <I>Pseudomonas aerugimosa</I>感染例が2例, <I>Propionibacterium acnes</I>感染例が1例および<I>Staphylococcus aurens</I>と<I>Prevotella intermedia</I>の混合感染例が1例であり, これら8例全例において原因菌はすべて消失した。また, 投与後出現菌は認められなかった。<BR>2) 安全性<BR>評価対象は本薬を投与した全症例の15例で, 主要評価項目として副作用 (症状, 臨床検査値) の有無を検討した。<BR>有害症状が4例 (8件) に認められたが, 軽度または中等度で, 副作用 (症状) と判定された症例はなかった。<BR>臨床検査値異常変動が5例 (5件) に認められ, これらすべては治験薬との因果関係が否定されなかった。このため, 副作用 (臨床検査値) は, 5例 (5件: アラニンアミノトランスフェラーゼ上昇3件, アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇, γ-グルタミルトランスペブチダーゼ上昇, 各1件) となり, 発現率は33.3%(5/15例) であった。程度はすべて軽度で, 転帰はすべて正常化であった。なお, これらの副作用 (臨床検査値) の多くは類薬での療法において認められている事象と同様の事象であった。
著者
尾熊 隆嘉 矢野 義孝 財前 政美 牡丹 義弘 伊賀 立二 全田 浩 奥村 勝彦 安原 眞人 堀 了平
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.987-994, 1997-12-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療時におけるバンコマイシンの有効性, 安全性に関与する要因を統計的に検討する目的で, Therapeutic Drug Monitoringの対象となった患者の背景, 病態, 投薬履歴, 血漿中濃度等の要因と, 有効性, 安全性の臨床評価のデータを集積した。有効性としては効果の有無を, 安全性としては副作用として比較的報告例数の多かった腎機能, 肝機能を対象とし, その検査値異常の発現を採用した。患者背景, 病態, 治療履歴, 体内動態の各要因について, さらに項目ごとに有効性, 安全性との関連性を直接確率計算法, ロジスティック回帰分析法にて検討した。有効性に関しては高齢患者におけるアミノグリコシドの先行投与が有効率の向上に対し, 有意な関連性を示した。安全性に関しては肝機能, 腎機能の検査値異常発現率に対する1日投与量の関連性が強いことが示された。特に, 高齢患者においては血清クレアチニン値, 重症度, 総ビリルビン濃度が影響要因になることが明らかとなった。さらに, 腎機能異常値発現率の影響要因となることが示されたトラフ濃度とその発現率についてノンパラメトリックな2値回帰分析により解析したところ, アミノグリコシドとの併用により発現率が高くなることが示されたが, いずれの場合においてもトラフ濃度を10μg/ml以下にコントロールすることにより, 発現率を15%以下に抑制できることが示された。バンコマイシンの適正使用を推進するうえで, 今回の検討において有効性, 安全性に関与する要因を明らかにできたことは意義深いものと考えられるが, 今回の検討によって, 必ずしも十分な結論が得られたとは言い難く, 今後さらに臨床データを蓄積し, より精度の高い検討をする必要があると思われる。
著者
正岡 徹 長谷川 廣文 高久 史麿 溝口 秀昭 浅野 茂隆 池田 康夫 浦部 晶夫 柴田 昭 齊藤 英彦 大熊 稔 堀内 篤 斎藤 洋一 小澤 敬也 宇佐美 眞 大橋 靖雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-217, 2000-03-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
29
被引用文献数
2 16

厚生省から再評価指定を受け, 重症感染症に対する静注用ヒト免疫グロブリン (以下MG) 製剤の抗生物質との併用効果を検証するため, 抗生物質単独投与を対照とした多施設共同非盲検ランダム化試験を実施した。広範囲抗生物質の3日間の投与において感染症の主要症状の改善が認められない無効例をmG群または対照群に無作為に割り付けた。割り付け日 (第1日目) より, いずれの群も抗生物質をimipenem/cilastatin (IPM/CS)+amikacin (AMK) に変更し, 7日間投与した。MG群のみにWIGを第1日目より1日59, 3日間連日併用投与した。効果は解熱に要した日数ならびに臨床症状の消失に要した日数を中心に判定した。有効性評価からの除外率は26.1% (178/682) であった。背景因子 (性, 年齢, 病態の区分, コロニー刺激因子 (以下CSF) 製剤投与の有無, 投与前アルブミン濃度, 投与前IgG濃度および好中球数の推移) に関してはすべての項目で両群間に偏りは認められなかった。Kaplan-Meier法にて推定した第7日目までの解熱率はmG群54.8%, 対照群37.2%で, IVIG群が有意に早く解熱した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。同様に第7日目までの臨床症状の消失率はIVIG群57.3%, 対照群39.4%で, IVIG群が有意に早く消失した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。客観的な半掟基準にもとつく「有効」以上の有効率はMG群61.5% (163/265), 対照群47.3% (113/239) でIVIG群が有意に優れていた (x2検定: p<0.001)。IVIG製剤は重症感染症に対し, 抗生物質との併用において有効であると考えられた。
著者
海老沢 功
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.351-357, 2007-09-10

4種類あるマラリア原虫のうち, 生命に危険のある熱帯熱マラリア原虫は世界中に広く分布し, かつ最も代表的な抗マラリア薬であるクロロキン, メフロキン. サルファドキシン+ピリメタミンの合剤ファンシダール<SUP>®</SUP>などに耐性を示し, マラリア研究者を悩ませてきた。これに対して中国の古墳, 馬王堆から発掘された古文書の解読により発見された漢方薬青高素 (チンハオス, アーテミシニン) の分析, 合成によって開発されたアーテメータ, アーテエータ, アーテスネイトなどを薬剤耐性熱帯熱マラリアの流行地, タイ, ミャンマー, アフリカなどで単独で使用した成績をまず紹介した。いずれも即効性があり熱帯熱マラリア原虫の速やかな消失が認められたが, 単独使用では数%の再燃例が認められることを確認した。<BR>次の段階で上記薬剤に補強的に作用するメフロキンとの併用療法あるいは補助的に作用するアモダイアキン, アトヴァコン, プログアニル, トリメトプリム, ルメファントリン, ダプソンなどとの併用療法あるいは合剤, 座薬の開発の現状を分析・報告した。患者が再感染しやすい環境にあり,「再燃」と分類される症例が必ず数%出てくる現状では, 新薬の効力が持続することを望んで止まない。<BR>日本国内でもアーテメータ+ルメファントリンの合剤 (リアメット<SUP>®</SUP>, コアルテム<SUP>®</SUP>) がマラリア研究班により輸入・保管されている。
著者
守殿 貞夫 松島 敏春 岡本 了一 青木 信樹 小田切 繁樹 荒川 創一 相川 直樹 岩田 敏 坂巻 弘之 石田 直文 池田 俊也 矢島 秀一 池上 直己 森 和彦 紺野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.517-553, 2002-08-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
28

過去5年間に当院で入院治療を行った市中肺炎, 院内肺炎の経験をふまえて, 呼吸器感染症 (肺炎) に対する抗菌薬治験の進め方について発表し, 以下の結論を得た。80歳以上の高齢者および重症感染症に対する抗菌薬の治験はまったく実施されていないといえるが, もっとも抗菌薬が必要とされる対象であり, 有効性安全性の検討が第III相までにある程度なされるべきであろう。市中肺炎のみの臨床治験の実施で薬剤が製造承認され, 院内肺炎に対して使用されている。院内肺炎に対する臨床治験も今後必要となろう。内服βラクタム薬の投与量は体内動態, ブレイクポイントMICなどを考慮し再考を要する。
著者
齋藤 玲 多羅尾 史明
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.44, no.Supplement1, pp.221-228, 1996-03-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
13

新規プロドラッグ型キノロン系抗菌剤NM441の吸収に及ぼす牛乳の影響について, 健常成人男性志願者6名を対象に検討した。NM441 200mg (活性本体NM394として200mg含有) 空腹単回投与時のNM394血清中濃度は, 水200mlでの服薬時および牛乳200mlでの服薬時で, それぞれCmaxが1.43±0.27μg/mlから1.00±0.26μg/mlに, AUC0~∞が7.60±1.47μg・h/mlから5.19±1.72μg・h/ml (平均値±SD) に, 約30%有意に低下した。24時間までの累積尿中排泄率も43.9±5.8%から30.8±5.4%と約30%低下した。Tmax, T1/2については大きな差は認められなかった。以上の結果より, 牛乳での服薬はNM441の吸収を低下させることが確認された。
著者
五十嵐 正博 中谷 龍王 林 昌洋 中田 紘一郎 粕谷 泰次
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.826-829, 2002-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
7
被引用文献数
1

Moelleringのノモグラム (ノモグラム) によるvancomycin (VCM) の初期投与設計は, 目標平均血中濃度が約15μg/mLとなるため, ピーク濃度が中毒濃度に達することはほとんどない。本研究では, ピーク濃度とトラフ濃度の2点およびトラフ濃度1点だけの測定値を用いたBayesian法の予測精度を比較し, 日常診療でのVCM血中濃度測定をトラフ濃度のみにすることが可能であるかを検討した。対象としたのは, 1995年4月から2000年7月までtherapeutic drug monitoring業務を行った30症例のデータである。トラフ濃度1点だけによる予測精度は, トラフ濃度 (n=12) においてmean prediction error (ME)=-4.08μg/mL, mean absolute prediction error (MAE)=4.44μg/mL, root mean squared prediction error (RMSE)=5.42μg/mL, ピーク濃度 (n=11) においてME=2.87μg/mL, MAE=7.04μg/mL, RMSE=8.89μg/mLであり, ピーク濃度とトラフ濃度の2点による予測精度は, トラフ濃度 (n=12) においてME=-3.30μg/mL, MAE=3.90μg/mL, RMSE=4.93μg/mL, ピーク濃度 (n=10) においてME=0.57μg/mL, MAE=5.03μg/mL, RMSE=6.74μg/mLとなった。この両者における予測精度の差はトラフ濃度で1μg/mL未満, ピーク濃度で3μg/mL未満とわずかで, 有意差はなかった。したがって, VCMの最大投与量が要求される重篤なMRSA感染症などの症例を除けば, 日常診療におけるVCMのTDMはトラフ濃度だけの測定により適切に実施できることが明らかとなった。
著者
國井 乙彦 齋藤 厚 熊澤 淨一 荒田 次郎 松田 静治 大石 正夫 馬場 駿吉
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.655-664, 1995

新しく開発された経口ペネム系抗生物質TMA-230を各科領域の細菌感染症を対象として, 100mg1日3回投与を中心に, 有効性・安全性を検討した。呼吸器感染症では, 100mg1日2回から200mg1日3回投与を行った (1日投与量200~600mg)。急性気管支炎では全例有効で, 細菌性肺炎では90%に近い有効率が得られたが, 慢性気道感染症での有効率は56.7%であった。また, 細菌学的効果では主要起炎菌のうち<I>Staphylococoamus</I>や<I>Streptococcus pneumoniae</I>では80%以上の菌消失率であったが, <I>Haemopmus influenzae</I>に対しては9.1%(1/11) と低く, 不十分な成績であった。尿路感染症および皮膚科, 産婦人科, 眼科, 耳鼻咽喉科領域感染症では100mg1日3回投与で満足できる臨床効果および細菌学的効果が得られた。自他覚的副作用発現率は13.2%(28/212) で, 特に下痢・軟便, 悪心・嘔吐など消化器症状の発現頻度が9.9%(21/212) と高かった。臨床検査値異常の発現頻度は8.0%(17/212) で, GOT, GPT, Al-P上昇の肝機能異常が主なもので, すべて一過性の変動であった。
著者
平井 敬二
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.349-356, 2005

ニューキノロン薬の先駆けとなったノルフロキサシンが臨床現場で使用され始めて20年以上が経つが, その後も数多くのニューキノロン薬が開発されてきている。これらの新薬の開発と並行してキノロン薬の作用機序, 耐性機構の研究も飛躍的に進歩してきた。本総説ではわれわれの研究内容も含め, キノロン薬の作用機序, 耐性機構研究の約四半世紀の歴史を紹介する。<BR>(1) 作用機序: 標的酵素 (DNAジャイレース, トポイソメラーゼIV) 研究: われわれがキノロン研究を開始した1975年当時ではキノロン薬の詳細な作用メカニズムはまだ不明であったが, ノルフロキサシンを発見したのと同時期にキノロン薬がDNAジャイレースに作用することが報告された。その後DNAジャイレースの研究が進み, 作用様式 (キノロン・DNA・酵素の3者複合体), 抗菌力との相関, 耐性化機構 (耐性決定領域での変異) などが明らかとなった、さらにDNAジャイレース以外に新たな標的酵素としてトポイソメラーゼWが1990年に見出され, その研究からグラム陽性菌に対する抗菌力, 高度耐性化との関連が明確となった。<BR>(2) 膜透過性 (排出機構) 研究: ノルフロキサシンを用いた研究から, 大腸菌をはじめとする腸内細菌では外膜のポーリンと呼ばれる透過孔を介してキノロン薬が菌体内に透過することを明らかにした。一方, 緑膿菌におけるノルフロキサシン耐性機構の解析から膜透過性に関与する<I>nfx</I>B, <I>nfx</I>C, <I>nal</I>B変異遺伝子を見出したが, この耐性機構についてはその後多くの研究者により精力的な研究が行われ, キノロン薬に限らず緑膿菌の薬剤耐性に排出ポンプが大きく関与していることが明らかにされた。<BR>最近, プラスミド性のキノロン耐性 (qnr遺伝子) が中国や米国で報告された。この発見は新たなキノロン耐性として今後の課題となりそうである。
著者
中島 光好
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.229-235, 2001-04-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
30

多くの抗不整脈薬がQT間隔を延長しそしてときにtorsades de pointesをおこすことはよく知られている。最近, 心臓疾患を対象としない治療薬が問様にQT間隔を延長し, torsades de pointesをおこすことが数多く報告されている。向精神薬, 抗高血圧薬, 抗ヒスタミン薬, 抗真菌薬, 抗菌薬などである。近年特に, キノロン薬に注目が集まっている。Torsades de pointesは多形性心室性頻拍を起こし, 死に至ることもある重大な副作用である。キノロン薬のなかではsparfloxacin, grepafloxacinで, 少ないがlevofloxacinでも報告されている。非心臓薬によるQTc延長は通常起こり得ない現象で, 特にtorsades de pointesのような致死的なものはまれである。わずかな人しか対象としない第I~III相試験ではおこりそうもない, しかし市販後多くのさまざまな病態の患者に使用されると出現する。これを開発段階でいかに早くみつけるかその努力が求められる。そのためにはQT間隔延長をおこすメカニズムを明らかにし特殊なイオンチャネルに作用する化合物の構造活性相関の研究を行うと共に, QT間隔延長作用を持つか否かを調べる非臨床試験のin vivo研究方法の標準化, このようなQT間隔延長作用があると非臨床試験でわかった薬については臨床第I, II, III相試験のデザインを慎重に行う必要がある。
著者
大黒 絹枝 分部 浩和 東 敦 向井 典江 今田 拓磨 米田 裕光 大西 久子 蔵本 美香 宮本 寿 大森 和則 玉岡 寿 菊地 幹雄
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.74-90, 1995-07-31
被引用文献数
4

ニューキノロン薬grepafloxacin (GPFX) の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌力について検討し.以下の結果を得た。<BR>1. GPFXは好気性菌及び嫌気性菌に対し幅広い抗菌スペクトラムと強い抗菌力を有していた。<BR>2. 臨床分離菌株に対するGPFXの抗菌力は, グラム陽性菌では比較薬剤中最も強い抗菌力を示し, グラム陰性菌ではCPFXに次ぐ抗菌力であった。<BR>3. GPFXは各種測定培地, 培地のpH, 接種菌量, 血清添加および金属イオンの影響をほとんど受けなかったが, 培地の酸性pHおよび高濃度の金属イオン存在下で, わずかに抗菌力の低下が認められた。<BR>4. GPFXはMIC以上の濃度で用量依存的に殺菌作用を示し, MICとMBCの差は小さく, 殺菌的に作用した。<BR>5. GPFXに対する自然耐性菌の出現頻度は低く, 継代培養による耐性も獲得しにくかった。<BR>6. GPFXは<I>Escherichia coli</I>由来のDNA gyraseにより, DNAから超螺旋型DNA生成する反応を強く阻害した。<BR>7. GPFXのpost antibiotic effect (PAE) は<I>Staphylococcus aureus</I> FDA 209Pで2時間, <I>E. coli</I> NIHJ JC-2 で1.6時間であり, CPFX同様に比較的長かった。<BR>8. マウス実験的感染症に対するGPFXの治療効果は, グラム陽性菌では比較薬剤のなかで最も強く, グラム陰性菌ではCPFXと同等もしくは優れた効果を示した。<BR>以上の<I>in vitro</I>および<I>in vivo</I>抗菌作用の検討成績より, GPFXは呼吸器感染症をはじめ各種細菌感染症に対して, 有用な薬剤であることが示唆された。
著者
李 秀華 五島 瑳智子 村井 貞子 小林 明子 辻 明良 高 細水 胡 尭蒙 〓 玉秀
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.611-618, 1999-10-25

中国の病院関係者における<I>Staphyloococcus auresus</I>の保菌状況を調べることを目的とし, 1996年, 1997年に中国4省4都市7病院で, 健康者25人と入院患者25人を対象に咽頭と鼻前庭粘膜から<I>S. aureus</I>を分離した。分離株の血清型別および薬剤感受性を調べ, 1996年に行った東京の1病院の成績と比較した。<BR>1) 中国7病院での<I>S. aureus</I>の分離率は4%~25%であり, 東京の1病院での41.2%に比べ有意に低率であった。<BR>2) 健康者からの<I>S. aureus</I>の分離率は入院患者よりも高く, 健康者では医療従事者の方が一般人に比較し高い分離率を示した。また, 咽頭からの分離率が鼻前庭に比較して高かった。<BR>3) 中国7病院で分離された<I>S. aureus</I>の血清型はコアグラーゼVII型がもっとも多く, エンテロトキシン型は一定ではなかった。これに対して日本の1病院から分離された<I>S. aureus</I>42株のうち12株がコアグラーII型, エンテロトキシンC型であり, これらはすべてMRSAであった。<BR>4) 抗菌薬感受性について, 中国7病院での分離株はimipenem, panipenemに対する感受性が高く, tetracycline, erythromycin, roxithromycin, azithromycin には低い成績を示したが, MRSAは分離されなかった。一方, 東京の1病院では42株中17株 (40.8%) がMRSAであったが, すぺての菌株がarbekacinに4.0μg/mL以下, vanoomycinに2.0μg/mL以下のMICを示した。<BR>中国7病院と東京の1病院で分離された<I>S. aureus</I>の各種抗菌薬に対する感受性パターンの相違は, これまでの両国における感染症と治療法の差および医療体制の違いによるものと考えられるが, 西洋医学が急速に導入されている中国において, 今後の薬剤耐性菌の推移を検討する基礎資料となるであろう。
著者
新井 武利 濱島 肇 笹津 備規
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.786-791, 1996
被引用文献数
9

黄色ブドウ球菌<I>Staphylococcus aureus</I> FDA 209Pに対するリノール酸, オレイン酸, 局方ツバキ油, 精製ツバキ油, オリーブ油, 精製ホホバオイル, スクワランおよび流動パラフィンの増殖抑制作用を検討した。これらの試料を培地に加え80μg/mlにしたものを標準液としてさらに培地を加え, 二段階希釈系列を作製した。一夜培養後の菌液を1.0×10<SUP>7</SUP>cfu/mlになるようそれぞれに加えた。光学的に菌の増殖を測定し, 試料による増殖抑制作用を測定した。その結果, リノール酸, オレイン酸および局方ツバキ油には強い増殖抑制作用が認められた。精製ツバキ油とオリーブ油には比較的弱い増殖抑制作用があった。精製ツバキ油の50%阻止率 (ID 50) を脂肪酸および他の植物油脂のID50と比較した。ID50の比較により精製ツバキ油にはオリーブ油よりも強い増殖抑制作用があることが明らかになった。精製ホホバオイル, スクワランおよび流動パラフィンは測定した濃度では増殖抑制は認められなかった。精製ツバキ油とオリーブ油はアトピー性皮膚炎の皮膚病変部のスキンケアに有用であろう。
著者
古久保 拓
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.462-466, 2008-07-10 (Released:2011-08-04)
参考文献数
9

ニューキノロン系合成抗菌薬のpazufloxacin mesilate (PZFX) の腎不全患者における体内動態に関する検討は十分でない。今回, のう胞腎感染症と診断された4名 (年齢65.3±9.7歳, 体重49.0±4.1kg, 男1名) の血液透析 (HD) 患者を対象として, PZFX 300mgを週3回HD後に投与し, 体内動態を評価した。初回投与時のPZFXのCmaxは10.47±2.19μg/mL, AUC(0-∞)は421±175μg・h/mLであり, 腎機能正常者に比べ消失の著しい遅延が認められた。一方で, 3回目投与時の投与終了2時間後の血漿濃度は11.12±2.30μg/mLであり, この値は健常成人に常用量を反復投与した成績と同レベルであり, 消失の遅延から予測される程度には上昇していなかった。HD除去率は4時間のHDによりみかけ上58.7±7.7%であったが, HD終了1時間後までに認められた平均13.5%のリバウンド現象を考慮すると45.2±5.9%と算出された。全例において治療期間内に血漿濃度依存的な毒性は認めなかった。以上より, HD患者におけるPZFXの消失は腎機能正常患者に比べ大幅に遅延しているものの, HD除去性が高いために血漿濃度の蓄積性は小さいと考えられ, 毎HD後の投与が合理的であると考えられた。
著者
斉川 茂樹 蟹本 雄右 村中 幸二 岡田 鎌一郎
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.250-255, 1995-01-25

新しい経口ペネム剤であるritipenem acoxil (RIPM-AC) について尿路感染症に対する臨床効果の検討, 腎障害例における体内動態の検討を行い以下の結論を得た。<BR>1) 本剤200mg単回投与後の血中, 尿中濃度の推移を評価可能な腎機能低下患者8名 (I群;60ml/min < Ccr≦90ml/min, n=3, II群: 30ml/min < Ccr≦60ml/min, n=2. III群: Ccr≦30ml/min, n=3) を対象に比較検討した。Tmax (1群: 1.58±0.42時間, II群: 3.50時間, III群2.67±0.33時間), Cmax (I群: 2.25±0.90 μg/ml, II群: 1.32 μg/ml, III群3.20±0.72μg/ml), T<SUB>1/2</SUB> (1群: 0.64±0.02時間, II群: 0.91時間, III群 4.26±156時間) であった。また尿中回収率 (0-12時間) は1群で20.5±9.2%, II群で26.0%, III群で11.8±2.2%であった。<BR>2) 慢性複雑性尿路感染症10例に1回200mgを, 1日3回, 5日間から14日間内服投与した。主治医判定で著効4例, 有効2例, やや有効1例, 無効3例で, 無効例は何れも緑膿菌感染であった。UTI薬効評価基準に従って判定可能の8例では, 著効4例, 有効1例で, 緑膿菌感染の3例では無効であった。また, 投与症例すべてについて本剤に起因すると思われる自・他覚的副作用は認められず, 臨床検査値の異常も認められなかった。