著者
勝川 千尋 原田 七寛 津上 久弥 牧野 正直
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.1160-1166, 1993-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
10

皮膚科領域の各種感染症治療における, ホウ酸利用の可能性について検討を行った。この目的のため, 標準菌株および臨床患者から分離された病原微生物に対するホウ酸の抗菌力の測定を行い, 以下の成績を得た。1.検査したすべての細菌および真菌が, ホウ酸1%(wt/vol) の濃度で発育が阻止され, 高濃度のホウ酸に耐性の菌は認められなかった。2.ホウ酸の各種微生物に対する発育阻止濃度は0.125%-1%の範囲に分布し, 菌種毎に以下のような特徴がみられた。同一菌種間は似た発育阻止濃度値を示したが, 同じ属であっても菌種が異なると, 発育阻止濃度も異なった値を示した。総じてグラム陽性菌に対する発育阻止濃度が高く, グラム陰性菌に対しては低かった。しかし, ブドウ球菌属中のStaphyloooccus aureusだけは異なり, Staphylococcus epidermidis やStaphylococcus hominis などのコアグラーゼ陰性ブドウ球菌に対する発育阻止濃度が高いのに対して, S. aureusに対しては低かった。3.S. aureusは近年, 多剤耐性化が問題となっているが, ホウ酸の発育阻止濃度はmethicillin-resistant S. aureus (MRSA) およびmethicillin-sensitive S. aureus (MSSA) の間に差は認められなかった。また, 他の菌種もホウ酸に対して耐性化の傾向は認められなかった。今回検査したすべての細菌および真菌に対する発育阻止濃度が1%以下であることから, 2-3%の低濃度での安全性の高い利用方法を考案することにより, ホウ酸を再び活用できる可能性があると考えられた。特にMRSAに対して耐性化の傾向の認められない点はMRSA感染予防の1つの打開策となり得ることを示唆している。
著者
森川 宏二 橋本 繁輝 岩永 裕氏 山内 利栄 山崎 光雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement2-Base, pp.265-283, 1988-06-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
15

NY-198の中枢神経系および呼吸・循環器系に対する薬理作用を検討した。1. 100~1000mg/kgの経口投与でマウスは抑制症状を, 300mg/kg以上の経口投与でラットも抑制症状を示した。また, 300mg/kg以上でマウスの自発運動量の減少, hexobarbital睡眠時間の延長および協調運動抑制作用が現れたが, 懸垂抑制作用は認められなかった。2. 300mg/kg以上の経口投与でマウスおよびラットで鎮痛抗炎症作用, 300~1000mg/kgの経口投与でマウス, ラットおよびウサギの正常体温ならびにラットのyeast発熱体温を下降させた。3. 30mg/kgの静脈内投与でもウサギの急性脳波パターンに影響はなかったが, 30mg/kgの静脈内投与によりネコの脊髄単シナプス反射電位と後根反射電位は抑制された。4. 300mg/kg以上の経口投与でマウスの電撃およびpentetrazol痙攣は増強され, また100mg/kgの経口投与で無麻酔ビーグル犬の脳波に発作発射と間代性痙攣が発現した。5. 無麻酔ラットの血圧, 心拍数にほとんど影響はみられず, 麻酔イヌにおいて3mg/kg以上の静脈内投与で血圧の下降, 大腿動脈抵抗の減少が, 10mg/kg以上の静脈内投与で呼吸数の増加, 心拍数の増加あるいは減少が現れたが, 腎動脈抵抗には著明な影響を与えず, 摘出モルモット心房標本にも著明な影響は認められなかった。
著者
尾熊 隆嘉 矢野 義孝 財前 政美 牡丹 義弘 伊賀 立二 全田 浩 奥村 勝彦 安原 眞人 堀 了平
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.987-994, 1997-12-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症の治療時におけるバンコマイシンの有効性, 安全性に関与する要因を統計的に検討する目的で, Therapeutic Drug Monitoringの対象となった患者の背景, 病態, 投薬履歴, 血漿中濃度等の要因と, 有効性, 安全性の臨床評価のデータを集積した。有効性としては効果の有無を, 安全性としては副作用として比較的報告例数の多かった腎機能, 肝機能を対象とし, その検査値異常の発現を採用した。患者背景, 病態, 治療履歴, 体内動態の各要因について, さらに項目ごとに有効性, 安全性との関連性を直接確率計算法, ロジスティック回帰分析法にて検討した。有効性に関しては高齢患者におけるアミノグリコシドの先行投与が有効率の向上に対し, 有意な関連性を示した。安全性に関しては肝機能, 腎機能の検査値異常発現率に対する1日投与量の関連性が強いことが示された。特に, 高齢患者においては血清クレアチニン値, 重症度, 総ビリルビン濃度が影響要因になることが明らかとなった。さらに, 腎機能異常値発現率の影響要因となることが示されたトラフ濃度とその発現率についてノンパラメトリックな2値回帰分析により解析したところ, アミノグリコシドとの併用により発現率が高くなることが示されたが, いずれの場合においてもトラフ濃度を10μg/ml以下にコントロールすることにより, 発現率を15%以下に抑制できることが示された。バンコマイシンの適正使用を推進するうえで, 今回の検討において有効性, 安全性に関与する要因を明らかにできたことは意義深いものと考えられるが, 今回の検討によって, 必ずしも十分な結論が得られたとは言い難く, 今後さらに臨床データを蓄積し, より精度の高い検討をする必要があると思われる。
著者
正岡 徹 長谷川 廣文 高久 史麿 溝口 秀昭 浅野 茂隆 池田 康夫 浦部 晶夫 柴田 昭 齊藤 英彦 大熊 稔 堀内 篤 斎藤 洋一 小澤 敬也 宇佐美 眞 大橋 靖雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-217, 2000-03-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
29
被引用文献数
2 16

厚生省から再評価指定を受け, 重症感染症に対する静注用ヒト免疫グロブリン (以下MG) 製剤の抗生物質との併用効果を検証するため, 抗生物質単独投与を対照とした多施設共同非盲検ランダム化試験を実施した。広範囲抗生物質の3日間の投与において感染症の主要症状の改善が認められない無効例をmG群または対照群に無作為に割り付けた。割り付け日 (第1日目) より, いずれの群も抗生物質をimipenem/cilastatin (IPM/CS)+amikacin (AMK) に変更し, 7日間投与した。MG群のみにWIGを第1日目より1日59, 3日間連日併用投与した。効果は解熱に要した日数ならびに臨床症状の消失に要した日数を中心に判定した。有効性評価からの除外率は26.1% (178/682) であった。背景因子 (性, 年齢, 病態の区分, コロニー刺激因子 (以下CSF) 製剤投与の有無, 投与前アルブミン濃度, 投与前IgG濃度および好中球数の推移) に関してはすべての項目で両群間に偏りは認められなかった。Kaplan-Meier法にて推定した第7日目までの解熱率はmG群54.8%, 対照群37.2%で, IVIG群が有意に早く解熱した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。同様に第7日目までの臨床症状の消失率はIVIG群57.3%, 対照群39.4%で, IVIG群が有意に早く消失した (一般化Wilcoxon検定: P=0.002)。客観的な半掟基準にもとつく「有効」以上の有効率はMG群61.5% (163/265), 対照群47.3% (113/239) でIVIG群が有意に優れていた (x2検定: p<0.001)。IVIG製剤は重症感染症に対し, 抗生物質との併用において有効であると考えられた。
著者
堀 誠治 川村 将弘
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.460-463, 2002-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
9
被引用文献数
1

われわれは, 非ステロイド薬 (NSAIDs) とキノロン薬の薬物相互作用の強さを, mouse脳室内投与によるnorfloxacin (NFLX) およびgatinoxacin (GFLX) の痙攣誘発作用を指標として検討した。NFLXおよびGFLXの脳室内投与によりmouseに投与量依存的に痙攣が誘発され, その痙攣誘発作用はNFLX<GFLXであった。NFLXの痙攣誘発作用は, biphenylacetic acid (BPA), flurbiprofenの同時投与により増強された。Indomethacin, ketoprofenでは中等度の, loxoprofen,(-)-naproxenでは軽度の痙攣誘発作用増強が認められたが, ibuprofen, sodium diclofenac, mefenamic acid, tenoxicam,(+)-naproxen, aspirinおよびacetaminophenでは変化が見られなかった。一方, GFLXの痙攣誘発作用は, BPAで軽度増強されたものの, 他のNSAIDsでは変化を認めなかった。以上の成績より, NSAIDsによりキノロン薬との薬物相互作用の強さに違いがあり, さらに, キノロン薬との組み合わせによっても差のあることが明らかとなった。
著者
堀 誠治 川村 将弘
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.460-463, 2002-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
7

われわれは, 非ステロイド薬 (NSAIDs) とキノロン薬の薬物相互作用の強さを, mouse脳室内投与によるnorfloxacin (NFLX) およびgatinoxacin (GFLX) の痙攣誘発作用を指標として検討した。NFLXおよびGFLXの脳室内投与によりmouseに投与量依存的に痙攣が誘発され, その痙攣誘発作用はNFLX<GFLXであった。NFLXの痙攣誘発作用は, biphenylacetic acid (BPA), flurbiprofenの同時投与により増強された。Indomethacin, ketoprofenでは中等度の, loxoprofen,(-)-naproxenでは軽度の痙攣誘発作用増強が認められたが, ibuprofen, sodium diclofenac, mefenamic acid, tenoxicam,(+)-naproxen, aspirinおよびacetaminophenでは変化が見られなかった。一方, GFLXの痙攣誘発作用は, BPAで軽度増強されたものの, 他のNSAIDsでは変化を認めなかった。以上の成績より, NSAIDsによりキノロン薬との薬物相互作用の強さに違いがあり, さらに, キノロン薬との組み合わせによっても差のあることが明らかとなった。
著者
高橋 昌巳 一幡 良利 吉田 英一 佐々木 千鶴子 与那覇 朝英
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.779-786, 1988

HeLa細胞の形成したmonolayerに肺炎桿菌を含む培養液を重層し, 菌の細胞吸着条件を求めた。その結果, 106CFU/ml以下の菌を含む培養液では3時間後の細胞吸着菌数が10<SUP>4</SUP>~10<SUP>6</SUP>CFU/mlに達した。肺炎桿菌を10<SUP>6</SUP>CFU/ml含むこの条件下で, AMKの<I>in vitro</I>のMIC濃度の10倍から100倍濃度を作用させ, 菌のHI寒天培地に発育できなくなる作用時間は10MICで18時間, 100MICで6時間後であった。しかしながら, L-プロス中では100MIC18時間作用後もなお48時間後に菌の発育が認められた。5種類の抗生物質の<I>in vitro</I>でのMICの100倍濃度を6時間作用させた結果では, DOXYがAMKと同様の結果を示したが, β-lactam系抗生物質ではHI寒天培地で10<SUP>2</SUP>~10<SUP>3</SUP>CFU/ml発育し, L-プロス中では10<SUP>-4</SUP>~10<SUP>-6</SUP>希釈管まで菌の発育が認められた。形態像はAMK100MIC作用後の光学顕微鏡的変化は認められなかったが, 走査電子顕微鏡的にはHeLa細胞と菌の両方が障害を受け, AMK除去後では細胞と菌の両方の回復してきた像が認められた。β-lactam系抗生物質では菌の伸長と内容物の吐出が光学顕微鏡下で認られた。
著者
保田 隆 渡辺 泰雄 四辻 彰 林 敏雄 南 新三郎 岡本 世紀 山城 芳子 荒木 春美 伊東 優子 本村 桂子
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement9-Base, pp.95-109, 1988-12-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

新ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤T-3262のin vitroおよびin vivo抗菌活性をnorfloxacin (NFLX), ofloxacin (OFLX), ciprofloxacin (CPFX) を対照薬剤として比較した結果, 以下の成績を得た。1) T-3262はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して広い抗菌スペクトラムを有していた。グラム陽性菌に対しては, すべての対照薬剤より強い抗菌力を示し, またグラム陰性菌に対しては CPFXとほぼ同程度, NFLX, OFLXより優れた抗菌力を示した。2) T-3262はPseudomonas aeruginosaを含むブドウ糖非醗酵菌, Bacteroides fragilisを含む嫌気性菌に対しても強い抗菌力を示した。3) T-3262はmethicillin耐性ブドウ球菌およびnalidixic acid耐性グラム陰性菌に対しても強い抗菌力を示した。4) T-3262の抗菌力に及ぼす諸因子の影響では培地の種類, ヒト血清添加の影響はほとんど受けず, 培地pHがアルカリ性側のとき抗菌力が強まった。5) T-3262の作用は殺菌的であった。6) グラム陽性菌およびグラム陰性菌を用いたマウス実験的全身感染症でT-3262は優れた治療効果を示した。特にグラム陽性菌においてすべての対照薬剤より優れた治療効果を示した。
著者
川原 富美男 大家 毅 永津 芳雄 内田 広
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Supplement2, pp.122-134, 1990-11-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

Fleroxacinの代謝物をイヌ及びウサギの尿から単離, 同定した. また, 第1相臨床試験で得られた血清及び尿を用いてfleroxacinの代謝を検討し, 以下の知見を得た.1.イヌ及びウサギの尿からは未変化体, デメチル体, N-オキシド体が, ウサギの尿からはこれら以外にもデメチルオキソ体, ホルミル体の合計5個が単離, 同定された.2.ヒトの血清中では大部分が未変化体として存在し, 代謝物として検出されたデメチル体及びN-オキシド体濃度はピーク時でいずれも未変化体の約1%であった.3.ヒトの尿中には72hまでに服用量の83%が回収され, 未変化体が約90%を占めていた. 4つの代謝物, デメチル体, N-オキシド体, デメチルオキソ体及びホルミル体が尿中から検出され, それぞれ服用量の5%, 5%, 0.3%, 0.2%であった.4.Fleroxacinはウサギを除いて生体内では代謝を受けにくく, 大部分が未変化体として挙動するものと思われた. また, fleroxacinは各種実験動物と比較するとヒトにおいて最も代謝的に安定であることが示唆された.5.Fleroxacin服用後の抗菌活性のほとんどは未変化体によるものと考えられた.
著者
平井 敬二 青山 博 庭田 寧 安江 徳太郎 福田 秀行 鈴江 清吾 入倉 勉
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.Supplement2, pp.1-10, 1990-11-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
7

新キノロン系抗菌剤であるfleroxacinのin vitro抗菌力について検討した. FleroxacinはEnterobacterimeae, Neisseria spp.及びHaemophilus influenzaeに対し強い抗菌力を示し, また, staphylococci, Pseudomonas aeruginosa及びBranhamella catarrhalisに対しても良好な抗菌活性が認められた. 臨床分離株に対するfleroxacinの抗菌力はnornoxacin及びofloxacinと同程度であったが, ciprofloxacinよりは幾分劣っていた. なお, fleroxacinはmethicillin耐性Staphylococcus aureus及びgentamicin耐性P.aeruginosaに対しても優れた抗菌活性を示した. Fieroxacinの抗菌力は, 培地の種類, 培地のpH, 接種菌量, 金属イオンの添加及びヒト血清の添加による影響をほとんど受けなかった. MICとMBCはほぼ一致していた. Fleroxacinは他のキノロン剤同様Escherichia coli及びP. aeruginosaから分離したDNA gyraseのスーパーコイリング活性を強く阻害した. Fleroxacinは大腸菌, 緑膿菌, ブドウ球菌に対し良好なpost antibiotic effect (PAE) を有していた.
著者
竹尾 剛 渋谷 統寿 本村 政勝 金沢 一 宍戸 春美
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.1154-1159, 1989-09-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
8

ニューキノロン系抗菌剤と消炎鎮痛剤の併用により痙攣と高CK血症を来した症例を経験した。症例は64歳女性。膀胱炎のためエノキサシン (ENX) 300mg/日とフェンブフェン (FBF) 1,200mg/日を4日間服用中に突然意識消失し, 痙攣を来した。強直性痙攣と不穏状態が間歇的に3回繰り返し起こったが, 約4時間後には意識清明となった。入院時の心電図, 頭部CTスキャンは正常範囲であった。入院後著明な高CK血症 (第5病日に最高17,712IU/1と最高値) を認めたが第13病日には正常化した。CKアイソザイムはすべてMM型であったが, 針電極筋電図, 筋生検に異常はなかった。次に, マウスを用いてニューキノロン系抗菌剤による痙攣の発症に関する基礎実験を行なった。その結果ENXのみならず, シプロフロキサシンもFBFとの併用により痙攣を発症することがわかったが, オフロキサシンとFBFの併用では痙攣は発症しなかった。痙攣の予防に抗菌剤とFBFの投与前にあらかじめバルプロ酸ナトリウム, γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸, プロスタグランディンE2, ジアゼパム, およびフェノパルピタールを投与したがいずれも痙攣の発症を抑えることはできなかった。ENXとFBFの併用による痙攣は現在まで7例が報告され, その主因はENXであろうと推定されているが, その機序は不詳である。
著者
長手 尊俊 杉田 和彦 宮地 純子 宮崎 真奈美 竹市 千恵 小野 武夫 大竹 盾夫 大村 貞文
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.170-191, 1988-07-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
11

新規マクロライド系抗生物質TE-031の体液内濃度測定法について検討した。検定菌としてMicrococcus lutescs ATCC 9341, 検定培地としてHeart infusion agar (栄研; pH8.0) を用いたペーパーディスク法が最適であった。血中濃度測定には, その標準液としてヒトプール血清 (Consera) を, 尿中濃度測定には, メタノール・リン酸塩緩衝液 (メタノール: 0.02Mリン酸塩緩衝液, pH7.4=4:1) と一部には1/15Mリン酸塩緩衝液を, 組織内濃度測定にはメタノール・リン酸塩緩衝液を用いTE-031の定量が可能であった。各サンプルの調製は各々のサンプルに応じた希釈液を用いて行った。また, TE-031ヒト主要代謝物で最も強い抗菌力を有するM-5も上記と同様の方法にてその定量が可能であり, TE-031とほぼ同様の検量線が得られた。TE-031の測定範囲は0.025~100μg/ml (但し1/15Mリン酸塩緩衝液; 0.2~100μg/ml) であった。また, これらbioassay法は高速液体クロマトグラフィー (HPLC) を用いるchemical assay法と良好な相関性を示した。
著者
長手 尊俊 杉田 和彦 沼田 和生 小野 武夫 宮地 純子 森川 悦子 大村 貞文
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.Supplement3, pp.129-155, 1988-07-30 (Released:2011-08-04)
参考文献数
12

TE-031のin vitroおよびin vivo抗菌力をErythromycin (EM), Josamycin (JM) および他の抗生剤と比較検討し, 次の結果を得た。1. TE-031は, EMと同様の抗菌スペクトルを有し, 好気性グラム陽性菌, 好気性グラム陰性菌の一部 (B. catarrhalis, N. gonorrhoeu, H. influenzae), 嫌気性菌, L型菌およびマイコプラズマに対して優れた抗菌活性を示した。2. TE-031は臨床分離株388株に対して, EMと同等ないしやや強く, JMより強い抗菌力を示した。3. TE-031はEMと同様H.influenzaeに対して殺菌的に作用した。4. TE-031はマウス実験的全身感染症, 皮下感染症および呼吸器感染症に対してEM, JMよりも優れたin vivo抗菌力を示した。
著者
四辻 彰 伊東 優子 保田 隆 才川 勇 大角 誠治 矢野 三郎 上田 泰
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.294-303, 1988

Compromised host の対象として高齢者を取り上げ, その血清中での β-lactam 系抗生剤の sub-minimum inhibitory concentration (sub-MIC) シこおける抗菌作用を調べた。各血清60μl に薬液10μl を加え, それに菌懸濁液10μl を接種し 37℃ 4時間培養後, 生菌数の増減を測定した。高齢者の血清殺菌力は健常者に比べ <I>Escherichia coli</I> および <I>Klebsiella pneumoniae</I> に対しては弱まっている例が多かった。<I>Proteus</I> <I>mirabilis</I> T-277 株に対しては約半数例で高齢者の血清殺菌力は強まっていたが, T-250株 に対しては強まっている例はなかった。また<I>Proteus vulgaris</I>。<I>Pseudomonasaeruginosa</I> および<I>Staphylococcus aureus</I> に対しては健常者と同等の殺菌力であった。この殺菌因子として非働化で弱められる易熱性物質やペントナイト処理で除かれるリゾチームの関与が推定された。次に高齢者血清中での beta-lactam 系抗生剤の sub-MIC での殺菌作用をみると, pipera-cillin, cefoperazone および cefbuperazone は nutrient bmth (NB) 中でも高齢者血清中でも殺菌的または静菌的に作用した。一方 carbenicillin, cefazolin および cefmetazole は NB 中では菌の増殖を阻止したが高齢者血清中ではほとんど抗菌作用を示さなかった。
著者
大石 明 勝 正孝 坂内 通宏 仲村 秀俊 石井 昌俊 井上 亨 福井 俊夫 青崎 登 吉松 博 奥井 津二
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.327-332, 1992

ME 1207の基礎的および臨床的検討を行い以下の知見を得た。基礎的検討での本剤の抗菌力はグラム陽性菌 (<I>Staphylococcus aureus, Staphylococcus epidermidis, Streptococcus pyogenes, Streptococcus pneumoniae</I>等6菌種) およびグラム陰性菌 (<I>Escherichia coli, Citrobacter freundii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens</I>等11菌種) に対してcefteramと同等またはそれ以上の抗菌力を示した。臨床的検討では急性咽頭炎6例, 急性気管支炎5例 (男4人, 女7人, 年齢24~82歳) に対し本剤を1日600mg分3で2~13日間投与し, 著効3例, 有効6例, 無効1例, 不明1例であった。副作用として嘔吐が1例, 臨床検査値の異常変動としてGOT・GPTの上昇が1例で認められた。
著者
椎尾 剛
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.500-504, 1988-07-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
9

レンチナンとサイクロホスファマイドをsarcoma-180担癌マウスの初期に併用した場合には, 例外なく, 両薬剤を単独投与した場合よりも強く腫瘍を阻害した。しかしながら, 定着癌系ではレンチナンとサイクロボスファマイドの効果は薬剤の併用タイミングに依存した。定着したsarcoma-180固型癌担癌マウスにサイクロボスファマイドをレンチナン投与に先立って投与した場合には併用効果が認められなかった。定着固型癌系においてレンチナンとサイクロホスファマイドを同時併用した場合には両薬剤の単独投与群に比べより強い腫瘍阻害が認められた。併用した場合にはサイクロホスファマイド投与による遅延型皮膚反応や白血球数の抑制をレンチナンが有意に防止した。レンチナンはシスブラチン, アドリアマイシン, カルポコン, UFT, テガフールおよびブレナマイシンとの間においても併用効果を示した。