- 著者
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加地 喜代子
瀬山 義幸
山下 三郎
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.4, pp.325-329, 1984 (Released:2007-03-07)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
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抗高脂血症作用を有するヨード卵について,その有効画分は卵黄脂質画分であり,高コレステロール血症低下作用が特に著しいことが知られている.そこで今回はヨード卵卵黄脂質画分をさらに,中性脂質画分(IEY-NL)と極性脂質画分(IEY-PL)に分画し,得られた画分を収量に応じて,実験的食餌性高コレステロール血症を起こさせたラットに投与し,その有効画分を検索した.また,同時に各画分のヨウ素含量と抗高脂血症作用との関係を調べた.実験の結果,ヨード卵卵黄のIEY-NL群が高コレステロール飼料飼育群(Ch群)に比して血清コレステロール値が70%に低下したが,IEY-PL群にはこの様な作用は認められず,IEY-NLが有効画分であることが明らかになった.また,IEY-NLの1目投与量当たりのヨウ素含有量を換算すると,他の画分に比して低い31ngであり,これはラットの1日当たりのヨウ素要求量の1/50という僅かな量であるにもかかわらず,この画分が最も強い血清コレステロール低下作用を有していた.肝総コレステロール量は血清コレステロール量と異なり,Ch群に比しIEY-NL群では変化しないか,もしくは若干増加する傾向が認められた.以上から,ごく少量のヨウ素を含むIEY-NLが血清コレステロール低下作用を有し,この際,肝コレステロールは減少させないことが明らかになった.