著者
宇佐美 英治 水野 政義 瀬山 義幸
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.173-178, 1998 (Released:2011-08-11)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

The superoxide anion scavenging activity of traditional Chinese medicines (Kampo) was estimated by the nitrate and nitrobluetetrazolium methods. No.15 and 34 revealed a strong superoxide anion scavenging activity and No.1, 7, 19, 25 and 45 revealed a relatively strong superoxide anion scavenging activity by nitrate method. On the other hand the nitrobluetetrazolium method revealed a relatively strong activity in No.1, 15, 25, 45 and 96. In particular, both methods denoted a relatively strong superoxide anion scavenging activity in No.1, 15, 25 and 45. These results suggest that the superoxide anion scavenging activity of each component accumulatively contribute to those Kampo medicines and might play an anti-inflamatory effect and “Ku-Oketsu” (improved blood circulation) effect in these medicines.
著者
加地 喜代子 瀬山 義幸 山下 三郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.325-329, 1984 (Released:2007-03-07)
参考文献数
14
被引用文献数
5 2

抗高脂血症作用を有するヨード卵について,その有効画分は卵黄脂質画分であり,高コレステロール血症低下作用が特に著しいことが知られている.そこで今回はヨード卵卵黄脂質画分をさらに,中性脂質画分(IEY-NL)と極性脂質画分(IEY-PL)に分画し,得られた画分を収量に応じて,実験的食餌性高コレステロール血症を起こさせたラットに投与し,その有効画分を検索した.また,同時に各画分のヨウ素含量と抗高脂血症作用との関係を調べた.実験の結果,ヨード卵卵黄のIEY-NL群が高コレステロール飼料飼育群(Ch群)に比して血清コレステロール値が70%に低下したが,IEY-PL群にはこの様な作用は認められず,IEY-NLが有効画分であることが明らかになった.また,IEY-NLの1目投与量当たりのヨウ素含有量を換算すると,他の画分に比して低い31ngであり,これはラットの1日当たりのヨウ素要求量の1/50という僅かな量であるにもかかわらず,この画分が最も強い血清コレステロール低下作用を有していた.肝総コレステロール量は血清コレステロール量と異なり,Ch群に比しIEY-NL群では変化しないか,もしくは若干増加する傾向が認められた.以上から,ごく少量のヨウ素を含むIEY-NLが血清コレステロール低下作用を有し,この際,肝コレステロールは減少させないことが明らかになった.
著者
小俣 武志 井上 肇 瀬山 義幸 山下 三郎
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.93, no.3, pp.113-118, 1989 (Released:2007-02-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ラットの胃に酢酸潰瘍を作製し,2,10,40,80,180,365日目の時点で,その治癒過程における潰瘍部位と非潰蕩部位について,各種アミン含量とヒスチジンデカルボキシラーゼ(HDC)活性を比較検討した.その結果以下のことが明らかとなった,1)潰瘍部位のヒスタミン(HA)含量は非潰瘍部位と比較し,2,10日目で減少後,40日目で差がなくなり180日目で潰瘍部位ばかりでなく非潰瘍部位も正常対照群より増加した.2)セロトニン(5-HT)含量の変動はHAと同様であった.3)潰蕩部位のノルエピネフリン含量は非潰瘍部位と比較し,2,10,80,180日目で減少していた.4)潰瘍部位の HDC 活性は非潰瘍部位と比較し,2,10,40日目で減少し,180日目では正常対照群より減少したままであった.5)365日目に肉眼的に再燃,再発を確認したラットの潰瘍部位と非潰瘍部位のHA,5-HT含量は治癒したラットのその含量と差がなかったが,180日目と同様に高値を示していた.以上,胃粘膜中のHA,5-HT,HDC 活性の変動は慢性胃潰瘍の再燃,再発に係わる一因子となる可能性が推測された.