- 著者
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添田 大智
加幡 美音
開沼 泰隆
- 出版者
- Japan Industrial Management Association
- 雑誌
- 日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
- 巻号頁・発行日
- vol.66, no.1, pp.23-29, 2015
2011年3月11日,日本を大震災が襲った.震災を通し,今,日本では防災への意識が高まっている.ロジスティクス分野も震災時の救援物資の輸配送に関する検討が多くなされ,物資が被災者のもとに十分に届かないという事態に対する対策が課題とされていた.本研究では,東日本大震災の実際の物資の流れから避難所と市町村レベルの集積所の関係に着目し,ロジスティクス・モデルの提案を行っている.本研究の目的は,災害の混乱状態の中で被災者の物資に対する満足度の最大化を実現するロジスティクス・モデルの提案である.特に,避難所では様々な物資に対してニーズがありその需要に応えるべく,多品種ネットワーク・フローの考えを用いたモデルの提案を行った.また,被災者の需要量を平等に満たすべく,平等な供給に着目した目的関数を設定し,より現実的な災害時のロジスティクス・モデルの提案を行っている.最後に,東日本大震災で被害を受けた福島県相馬市を例として数値実験を行い,本研究で提案したモデルの有効性を検証している.