著者
岩本 テルヨ 山田 美幸 加瀬田暢子
出版者
山口県立大学学術情報編集委員会
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.2, pp.8-14, 2009-03

特別養護老人ホーム在所者の最期の場に関する意思決定とターミナルケアの現状を明らかにすることを目的として、2002,2003年に特別養護老人ホームの看護職を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。 2002年は433施設(回収率43.3%)、2003年は233施設(回収率29.1%)から回答を得た。特別養護老人ホームにおける年間死亡者数(2001年)は10.3±5.9(うち特養内死亡4.3±5.2)人であった。ターミナルケアへの対応は約7割が「希望があれば最期まで看取る」と回答した。最期の場の決定(複数回答)については、「家族・後見人」(38.3%)、「医師」(16.8%)、「状態が悪化した時の本人の希望」(14.9%)、「入所時の本人の希望」(13.3%)、「ホームの方針」(8.3%)、「看護職」(5.0%)、「介護職員、生活相談員」(2.7%)、[その他](0.9%)の順で行われていた。在所者の希望が優先されない理由に、「認知症があり本人の希望がよくわからない」(27.2%)、「本人からの意思表示が特にない」(20.8%)、「家族・後見人が本人は高齢でもありこの事態に対処することは難しいと考えている」(13.8%)、「家族・後見人が本人の希望というより自分たちの希望を優先することを求める」(12.1%)などがあった。 特別養護老人ホーム在所者の最期の場への意思尊重に向けて、認知症問題への方策とともに、特別養護老人ホームのターミナルケアへの体制整備が示唆された。