著者
田中 愛子 市村 孝雄 岩本 テルヨ
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.121-125, 2003-03
被引用文献数
2

本研究は,お笑いビデオによって笑いを誘発し,笑うことによって免疫機能等を高めることを実証する目的で行った。大学3年及び4年生の女子学生10名を対象に,お笑いビデオを視聴してもらい,その前後に質問紙調査と採血を実施した。その結果,ビデオ視聴後に,被験者の気分は5名が良好に変化した。また,NK細胞活性は被験者の5名が上昇を示し,CD4/CD8も,正常化される傾向を認めた。β-エンドルフィンは5名の上昇が見られ,そのうち3名はNK活性の上昇を認めた。以上の結果から,お笑いビデオ視聴によって笑ったことが,免疫機能等に良好に影響していることが示唆されたされた。
著者
岩本 テルヨ 山田 美幸 加瀬田暢子
出版者
山口県立大学学術情報編集委員会
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
no.2, pp.8-14, 2009-03

特別養護老人ホーム在所者の最期の場に関する意思決定とターミナルケアの現状を明らかにすることを目的として、2002,2003年に特別養護老人ホームの看護職を対象に郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。 2002年は433施設(回収率43.3%)、2003年は233施設(回収率29.1%)から回答を得た。特別養護老人ホームにおける年間死亡者数(2001年)は10.3±5.9(うち特養内死亡4.3±5.2)人であった。ターミナルケアへの対応は約7割が「希望があれば最期まで看取る」と回答した。最期の場の決定(複数回答)については、「家族・後見人」(38.3%)、「医師」(16.8%)、「状態が悪化した時の本人の希望」(14.9%)、「入所時の本人の希望」(13.3%)、「ホームの方針」(8.3%)、「看護職」(5.0%)、「介護職員、生活相談員」(2.7%)、[その他](0.9%)の順で行われていた。在所者の希望が優先されない理由に、「認知症があり本人の希望がよくわからない」(27.2%)、「本人からの意思表示が特にない」(20.8%)、「家族・後見人が本人は高齢でもありこの事態に対処することは難しいと考えている」(13.8%)、「家族・後見人が本人の希望というより自分たちの希望を優先することを求める」(12.1%)などがあった。 特別養護老人ホーム在所者の最期の場への意思尊重に向けて、認知症問題への方策とともに、特別養護老人ホームのターミナルケアへの体制整備が示唆された。
著者
岩本 テルヨ 田中 愛子 小田 日出子 梶原 江美 小野 聡子 末光 順子
出版者
西南女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、看護師の日常の看護ケアに潜む「やわらかい暴力」の顕在化を目的に、入院経験のある53名と看護師19名を対象に看護師の対応に関する思いや考え方について語ってもらい、質的帰納的に分析した。入院経験者は傷つけられた、不愉快等の対応として、看護師としての【節度がなく上から目線】、一人一人に配慮しない【組織優先で、決まりきった対応】や【気持を配慮しない】関わり、【未熟な技術】、看護師からの【言葉や説明がない】ことをあげた。さらに看護師の【関わりが少ない】状況で、看護師が【ニーズに気づかない】ために自分でなんとかするしかないとの思いを抱いていた。これらのカテゴリーは看護師自身がよくないと考える対応とほぼ重なり合っており「やわらかい暴力」の具体が示唆された。