著者
加納 亜由子
出版者
神戸大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究の目的は、近世後期豪農の非相続人(当主の弟)の家族役割を再検討することである。先行研究で「一人前として扱われない」ながらも「当主の代理・補佐」的な立場であった可能性があると指摘されている点に着目し、一次史料に基づいて再検討を行った。その結果、当主の弟は、「家」内部では「当主の代理・補佐」的な役割を果たすことが可能であったが、公的行為の主体になることはできないかったことを明らかにした。近世社会における非相続人の家族役割とその限界を具体的に明らかにし得たことで、これまで当主を中心に語られてきた近世の家族役割の見直しが進むことが期待される。