著者
加納 純也 張 其武 齋藤 文良 加納 純也
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

自動車のマフラーに使用される触媒は,自動車が寿命になると,白金などの貴金属を回収するために,積極的に回収される.しかしながら,その中から貴金属のみを効率的に回収する方法は,いまだ確立しておらず,その効率的な回収法の開発が望まれている.マフラーの中にはアルミナに白金などの貴金属が担持されており,そのアルミナから貴金属のみを分離するのが回収の重要な鍵を握る.そこで本研究では,メカノケミカル法を利用して自動車廃触媒からの貴金属を分離し,回収技術の開発を行う.すなわち,メカノケミカル法により,自動車廃触媒を微粉化し,活性化状態にし,その後,抽出処理により,貴金属のみを回収する.メカノケミカル法では,転動ボールミルあるいは遊星ボールミルを使用し,自動車触媒を粉砕し、得られた粉砕産物に対し王水を用いて抽出処理を行った。王水に溶解した貴金属をICPで濃度を測定し,評価した。自動車廃触媒中の白金などの貴金属はメカノケミカル法を適用しなくてもある程度は王水により抽出できる.ただその回収率は極めて低い.そこで、貴金属の回収率を向上するために抽出処理を行う前に転動ミルを用いて粉砕処理を行い、粉砕産物をいくつかの粒径ごとに分級処理を行った。その結果,粒径の小さなグループほど貴金属の回収率が高まることが確認された。このことを利用すれば、白金族金属の回収がより効果的に行えると考えられる。また、他の粒子サイズのグループにも貴金属が含まれているので,そのグループからも金属を回収する技術が今後の課題である.