著者
加茂 薫 大庭 哲治
出版者
一般社団法人 日本在宅薬学会
雑誌
在宅薬学 (ISSN:2188658X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.41-53, 2023 (Released:2023-04-28)
参考文献数
12

要旨:本論文は,日本政府・厚生労働省が検討している調剤の外部委託化解禁とそれに伴う対人業務強化について,薬局現場で勤務している薬剤師の受容意識を明らかにすることを目的に,インターネットによる全国規模の意識調査を実施した.具体的には,勤務先薬局の規模・場所のほか,性別・年齢・臨床経験・雇用形態・1日の患者接触時間等を基本属性情報として尋ねると共に,厚生労働省ワーキンググループの会議資料1)を提示した上で,外部委託化解禁の是非,懸念点,外部委託化解禁により捻出される時間の活用方法,かかりつけ薬剤師や在宅医療等の対人業務への関与に対する意識について尋ねた.その結果,薬剤師より得られた1,069件の回答サンプルを分析したところ,外部委託化解禁に対する受容意識として,賛成・やや賛成の回答が524件であり,反対・やや反対の回答175件を大きく上回っていることを明らかにした.これは,日本政府・厚生労働省が意図している対人業務強化につながる可能性が高いことを示唆しているが,一方で,どちらともいえないの回答も370件あり,政策に対する内容の不明確さや薬剤師の理解の不十分さが課題であることも浮き彫りにした.