著者
加藤 伸悟 増田 貴則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.III_389-III_401, 2014 (Released:2015-03-05)
参考文献数
69

水界の食物網モデルには,栄養塩濃度の違い(栄養塩段階)によって異なる食物網動態の変化を表現しうることが求められる.また主要な分解者・基礎生産者である細菌は,食物網全体に影響をおよぼすものと考えられる.本研究では,観測事象による検証を踏まえた食物網モデル構築と,それを用いて細菌が食物網動態におよぼす影響を示すことを目的とした.本モデルは,栄養塩段階ごとの食物網動態を表現しうるものであることが示された.細菌はリン再生を変化させ,水界バイオマスに影響をおよぼした.また,細菌を出発点とする微生物食物連鎖は,下位生産者への捕食圧,上位捕食者へのエネルギー伝達の面で重要な役割を果たし,食物網動態の適切なモデル化に寄与している.細菌を出発点とするインパクトは食物網全体に影響を与えるものであることを示した.