著者
劉 軼 榎本 圭孝 加藤 伸隆 馬目 知徳 伊丹 誠 伊藤 紘二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.985-994, 1997-04-25
被引用文献数
8

本論文では, 学習者に状況と機能に応じた日本語表現を広く体系的に学習させるために, 編集者の用意する状況・機能手掛りが学習者と誤り診断パーザの双方に制約として用いられるシステムを提案し, 試作結果を報告している. このシステムは, 対話例のデータベースをもち, その各々について, 状況・機能的に重要な部分を空白部として, その部分の状況と機能を手掛りインデックスとして編集しておき, 学習者にはそれ (一般にはその一部) を伝えた上で, 作文を行わせる. 学習者は, 自立語については与えられた語いを用い, 活用と機能的語いを考えて補い, 入力文を作成する. システムは, 作成された入力文を, 誤り診断機能をつけた汎用のパーザによって解析し, 構文・意味的に誤りがあったり, そのときの状況にそぐわなかったりした場合には, 誤答部分の表層表現をもつ例文あるいは正解に対応する手掛りインデックスをもつ例文を対話例データベースから検索して学習者に提示しその手掛りを空白部の手掛りと比較させ,学習者の答と対話例の表現とを比較させた上で, 学習者に改めて作文させる. これらのガイダンスにもかかわらず正解に至らない場合は, 誤答に最も近い正解とのずれについてバグ仮説に基づいたコメントを提示する.