著者
山下 剛範 加藤 俊宏 磯貝 珠美 具 然和 馬 寧
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.32-34, 2018 (Released:2019-11-11)

がん治療や原発事故は放射線被ばくの危険につな がる。電離放射線への曝露は照射された細胞で ROS とフリーラジカルを生成し、フリーラジカル生成は 酸化的ストレスにつながる。電離放射線への曝露は、 放射線誘発細胞傷害を引き起こす可能性がある。放 射線誘発細胞傷害の原因は、サイトカインと ROS に関連した炎症過程が関与しているとの報告がある。 タウリンは、抗酸化活性、抗炎症活性および細胞 内カルシウムレベルの調節を含む、いくつかの重要 な生理学的機能を有する硫黄含有有機酸である。タ ウリンは、放射線防護剤および放射線緩和剤として 使用するための魅力的な候補であるように思われる が、現時点では放射線誘発細胞傷害をどのように保 護するかは知られていない。 今回は、放射線による細胞傷害とタウリンの放射 線防護効果および放射線緩和効果について我々自身 の知見を含めて説明する。