著者
松岡 慶弥 川ノ口 潤 長岡 伸征 有馬 寧
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.26, 2021 (Released:2022-09-04)

高血圧をはじめとする生活習慣病は現代社会において大きな問題となっている。厚生労働省が発表した2019年の我が国における死因では、心血管疾患や脳血管疾患の占める割合は20%を超えている1。近年、このような動脈硬化病変を含む循環器疾患や血管機能に対して、タウリンが多彩な作用を示すことが明らかになっている。 ヒトの生体内に豊富に存在する遊離アミノ酸であるタウリン(2-アミノメチルスルホン酸)は魚介類に多く含まれており、摂取したタウリンはタウリントランスポーターにより細胞外から細胞内に取り込まれる2。生体内におけるタウリンの作用は多岐にわたるが、近年の研究では抗癌作用や抗癌剤の副作用も明らかになってきている3,4。 本稿では、先行研究による文献的調査をもとに、現時点でわかっている血管機能に対するタウリンの影響についてまとめたので報告する。
著者
大西 志保 馬 寧 平工 雄介 川西 正祐
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

大気中浮遊微粒子はヒトに発がん性があり、粘膜付着や肺への進入により炎症を起こす。本研究では、黄砂を曝露したマウスの肺に炎症が認められた。また、酸化DNA損傷マーカーの8-oxodGの増加や、ニトロ化DNA損傷マーカーの8-ニトログアニンの増加が示された。プロテオーム解析では、黄砂曝露により発現量の増減がみられるタンパク質が見つかった。抗酸化および抗腫瘍に関わるタンパク質のひとつが増加傾向、癌抑制に関わる可能性とヒト肺腫瘍での減少が報告されているタンパク質のひとつが減少傾向にあることが分かった。以上、黄砂曝露によって炎症と酸化ニトロ化DNA損傷が起こる可能性が示された。
著者
山下 剛範 加藤 俊宏 磯貝 珠美 具 然和 馬 寧
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.32-34, 2018 (Released:2019-11-11)

がん治療や原発事故は放射線被ばくの危険につな がる。電離放射線への曝露は照射された細胞で ROS とフリーラジカルを生成し、フリーラジカル生成は 酸化的ストレスにつながる。電離放射線への曝露は、 放射線誘発細胞傷害を引き起こす可能性がある。放 射線誘発細胞傷害の原因は、サイトカインと ROS に関連した炎症過程が関与しているとの報告がある。 タウリンは、抗酸化活性、抗炎症活性および細胞 内カルシウムレベルの調節を含む、いくつかの重要 な生理学的機能を有する硫黄含有有機酸である。タ ウリンは、放射線防護剤および放射線緩和剤として 使用するための魅力的な候補であるように思われる が、現時点では放射線誘発細胞傷害をどのように保 護するかは知られていない。 今回は、放射線による細胞傷害とタウリンの放射 線防護効果および放射線緩和効果について我々自身 の知見を含めて説明する。
著者
馬 寧 杜若 大樹 山田 泰己 柴田 史久 木村 朝子
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.93-94, 2019-02-28

本研究は仮想物体の色彩刺激が実物体の硬軟感に与える影響を分析することを目的とする.具体的には,仮想物体の明度,色相,彩度を変えることで,実物体の硬さ知覚にどのような錯覚が起きるかを実験,分析した.実験では,実物体の下部に感圧センサを設置し,体験者が実物体を押下することで,その圧力に応じてHead Mounted Display上に提示された仮想物体が変形する.既存研究では,赤色のような暖色は軟らかく,青色のような寒色は硬く知覚され,明度が高いほど軟らかく知覚するといわれていた.しかし,本実験を通して,人間が知覚する明るさが硬軟感に影響を与えていることが示唆された.
著者
須藤 研太郎 山口 武人 中村 和貴 原 太郎 瀬座 勝志 廣中 秀一 傳田 忠道 三梨 桂子 鈴木 拓人 相馬 寧 中村 奈海 北川 善康 喜多 絵美里 稲垣 千晶 貝沼 修 趙 明浩 山本 宏 幡野 和男 宇野 隆 多田 素久 三方 林太郎 石原 武 横須賀 收
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.656-662, 2012 (Released:2012-11-28)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

近年,化学療法および化学放射線療法の進歩により局所進行膵癌の治療成績は向上している.切除不能症例を対象とした臨床試験で生存期間中央値15ヶ月を超えるものも報告される.また,非切除治療が奏効し根治切除可能となった局所進行例も報告され,conversion therapyとしての役割も注目される.一方,局所進行膵癌に対する治療はエビデンスの乏しい領域であり,化学放射線療法の意義についても未だcontroversialである.今回,われわれは化学放射線療法82例(S-1併用56例,その他26例)の成績を供覧し,非切除治療の現状と意義について考察を行う.全82例の生存期間中央値15.4ヶ月,3年生存率17.5%,5年生存率6.7%と化学放射線療法のみでの長期生存例も経験された.さらなる成績向上のためには外科切除との連携に期待されるが,本稿ではわれわれの経験を供覧し,今後の展望について考察を行う.