著者
加藤 寛久 小倉 紀雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水質汚濁研究 (ISSN:03872025)
巻号頁・発行日
vol.13, no.7, pp.449-455,430, 1990-07-10 (Released:2010-01-22)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

東京北多摩地区の地下水(湧水,深井戸)中の揮発性有機塩素系化合物濃度について2年間測定した。そのうち湧水1地点については1週間に1回の短間隔で採水,分析を行った。その結果,テトラクロロエチレン濃度が減少する傾向を示したが,トリクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタンはほとんど変化をせず,また,トリクロロエチレンを除いて季節変化を示さなかった。次に,近接する湧水について調べたところ,他の化学成分についてはほぼ同じ値を示しているのにもかかわらず,揮発性有機塩素系化合物濃度はそれぞれの湧水で異なった値を示した。一方,2カ所の深層地下水(深井戸)については1カ月に1回の間隔で採水,分析を行ったが,トリクロロエチレンが2カ所の井戸水とも最も高く,飲料水水質基準を超過したものもあった。しかし,季節変化は認められず,検出されない化合物もあった。また,豪雨後の湧水中の揮発性有機塩素系化合物濃度の変化について調べたところ,降雨に伴う湧出水量の増加にかかわらず,ほぼ一定の濃度を示した。