著者
黒田 知宏 佐藤 純三 矢崎 晴俊 竹村 匡正 長瀬 啓介 加藤 康之 吉原 博幸
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.157-164, 2010

電子カルテ上で定型データの入力を行う際のツールとして,テンプレート機能が広く利用されている.テンプレート上で入力された情報をカラムに切り分けしてデータベースに蓄積すれば,電子カルテ利用の向上と臨床研究の効率改善に寄与することが期待される.<br/> 京都大学病院では,電子カルテ導入時に,電子カルテ上にテンプレートを用いて入力された情報をデータベース化する仕組みの導入を行った.導入の結果,がん登録や臨床研究データ入力などに加え,医事会計算定のための情報検索など広くテンプレートが利用され,多くの情報が蓄積された.一方,臨床研究などのための出力作業は,人手による情報出力サービスを提供していることなどもあり,広く利用されるには至らなかった.今後,利用を拡大するためには,各研究者が有する既存のデータベースとの相互接続性を高めたり,アクセスを容易にしたりするなどの工夫が必要であることが示唆された.