著者
加納 基喜 永井 俊介 加藤 未佳 関口 克明
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.114, 2005

現在、都市空間や建築空間には、記名・案内・誘導・説明・規制サインや商業目的の看板・広告塔・ポスター等、視覚表示が存在している。これらは大きく分類して文字情報と図形情報に分けることができる。商業建築企画設計資料集成には、正対視での視覚表示の大きさと可読距離の関係が示されており、文字と図形では、情報伝達距離に相違が見られ、双方の情報伝達特性が異なる可能性を示唆している。しかし、こうした既往研究の多くは、正対視に固定した評価のみを扱うに留まっており、実際に行動する際の状況判断が、正面のみならず様々な方向からの見えを伴うという事実を考慮していない。より現実的な知見を得るためには、人の移動に伴う視線角度の変化を踏まえた、見えの形の変形による情報伝達特性も考慮すべきである。そこで本研究では、人が移動をすることを前提に、視対象と観察者の位置関係つまり視線入射角を考慮した上で、文字情報と図形情報の伝達強度を比較する実験を行なった。これらから明らかとなった特性を利用して、道路案内標識等、人と正対方向に設置される視覚表示に対しては文字情報を、四方から観察することができる場所に公共サインを設置するなら、シルエット図を用いるなど、情報を使い分ける事も重要だと考える。