著者
青木 慎一 倉光 修 阪口 敏彦 石井 実
出版者
The Illuminating Engineering Institute of Japan
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.166, 2005 (Released:2007-07-01)

昆虫の誘虫性は松下電工カタログ照明設計資料 照C-31 p208に示されているものである。しかし、これらの方法では、同じ照度での誘虫性評価しか行えない。そこで、本報では実際の照明器具及び壁材等の昆虫の誘虫性を、定量評価する評価手法の研究を行ったので報告する。新しい誘虫性指数を検討し、実際の誘引実験で、検証を行った。その結果からも、今後、新誘虫性指数を用いることによって、昆虫の誘虫性を評価することが可能であると考えられる。
著者
池田 貴裕
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.35, 2010

近年、高輝度LEDが実用化され新しい固体光源として注目されている。一方、建造物や樹木等を特長的に明るく浮かび上がらせる従来のライトアップは、周辺に対する光害、高い消費電力とメンテナンスによる維持管理費の増大、発熱などによる安全性の確保などの問題がある。本論文では、高輝度LED本来の特長である高い指向特性を活用した高指向性LED照明装置「ホロライト」(英語表記HOLORER-it!)の新しい応用研究として、多数のホロライトを用いた遠隔ライトアップ実験を行った。本実験は、静岡県浜松市舘山寺町にある県立森林公園大草山の景観照明の一環で行われた。実施期間は、平成21年9月19日から11月23日の金土日祝の計34日間である。大草山は静岡県県営林であり、人工物を設置することが禁じられている。そこで、大草山から500m離れた対岸にホロライトを設置し、大草山を遠隔からライトアップする実験を試みた。結果して、500m遠方にある大草山を部分的にライトアップすることに成功した。高い安全性と環境性能、低消費電力、メンテナンスフリーのために維持管理費の低減、従来に無い新しいライトアップ方法として期待される。
著者
鈴木 敬明 易 強 櫻川 智史 田村 久恵 岡嶋 克典
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.101, 2002

若年者が適切な高齢者水晶体擬似フィルタ(以下、フィルタ)を装着した際の刺激色による反応時間の変化を測定し、色による反応時間の違いが高齢者と同じになるかどうかを比較·評価した。20代がフィルタを装着しないの場合、刺激色による反応時間の差が100ms程度であるのに対し、60代は20代と比べて全体的に反応時間が遅く、特に灰色と青色の刺激に対して他の色より200ms程度反応時間が遅くなる傾向が見られた。また、20代がフィルタを装着した場合には、灰色と青色の刺激に対して他の色より200ms程度反応時間が遅くなるという、60代と同様の傾向が得られた。
著者
森 星豪 岩井 彌 篠田 博之 古来 隆雄
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35, 2006

オフィス照明において、作業者の集中力を高めかつ省エネ化が期待できる照明方法にタスク&アンビエント(以下、T&A)照明がある。省エネに貢献するT&A照明の普及には省エネだけではなく快適性との両立が必要であり、そのためには明るさ感の低下を必要最小限に抑える技術の開発が不可欠となる。昨年度は明るさ感の低下を抑えるために、輝き感の感じられる発光部(スパークル照明)と壁面輝度を確保する照明機器の試作機を開発し、オフィス空間を想定した小規模な実験室に設置して視環境評価実験および作業性評価実験を実施した。今年度はタスク照明とスパークル照明の他に壁面照明に関してもLEDを用いた試作器を開発し、昨年度の約5倍の広さの実験室に設置して、実オフィスに近い環境にて評価実験を実施した。その結果、スパークル照明有・壁面照明上下方向のLED利用T&A照明は全般照明以上の視環境を実現でき、両者の作業性に差異は見られないことが分かった。
著者
梶山 重寿
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.185, 2005

LEDの自動車照明への応用は、1987年、ハイマウントストップランプの光源として初めて自動車に搭載されたことに始まる。その後、LEDの高輝度化が進展したことにより、1990年代後半からはテール&ストップランプを中心として採用が拡大しつつある。現在では、白色LEDを用いたヘッドランプの実用化への期待が高まっている。自動車照明器メーカー各社が、消費電力が少なく、従来にない魅力的なデザインのヘッドランプの実現を目指して開発を進めている。 しかしながら、LED式ランプは電球式ランプと比較すると高価であり、現時点のLED性能では、コストアップに見合った商品性を出しにくく、実用化されていない自動車用ランプもある。今後、自動車用ランプのLED化を促進する為には、LEDの更なる高輝度化、高効率化と低コスト化が課題である。また、ランプにおいては価格に見合った商品性(意匠性、低消費電力、奥行きの短縮等)を引き出すための技術開発が必要である。
著者
饗庭 貢 松枝 章 元林 進 坂谷 一夫
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.162, 2005

平成8年より人工照明の連続照射によるアメヤ科植物の植木槽の影響を、自然光のみの植木槽と比較して調べた。照度は2㏓、10㏓、50㏓の場合、人工照明は白熱電球、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプである。人工照明については、赤みの色、黄味の色、青味の色、白いランプを調べた。ところが、いずれの場合でも2㏓以上のものは(10㏓、50㏓の値の場合)花が咲かなくなった。 植物にも、人間と同様なメラトニンの働きがあると考え、(たとえば明るくて眠らない状態)平成12年より、メラトニンを与える治療方法を行ってみた。与えた量としては1_mg_、2_mg_、4_mg_の3種類を夫々の照度、夫々の人工照明の所に与えてみた。ところが平成16年度になっても回復の兆しが見られなかった。 今後は人工照明を止めて、自然回復をさせるのに何年かかるかを試みたい。
著者
加納 基喜 永井 俊介 加藤 未佳 関口 克明
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.114, 2005

現在、都市空間や建築空間には、記名・案内・誘導・説明・規制サインや商業目的の看板・広告塔・ポスター等、視覚表示が存在している。これらは大きく分類して文字情報と図形情報に分けることができる。商業建築企画設計資料集成には、正対視での視覚表示の大きさと可読距離の関係が示されており、文字と図形では、情報伝達距離に相違が見られ、双方の情報伝達特性が異なる可能性を示唆している。しかし、こうした既往研究の多くは、正対視に固定した評価のみを扱うに留まっており、実際に行動する際の状況判断が、正面のみならず様々な方向からの見えを伴うという事実を考慮していない。より現実的な知見を得るためには、人の移動に伴う視線角度の変化を踏まえた、見えの形の変形による情報伝達特性も考慮すべきである。そこで本研究では、人が移動をすることを前提に、視対象と観察者の位置関係つまり視線入射角を考慮した上で、文字情報と図形情報の伝達強度を比較する実験を行なった。これらから明らかとなった特性を利用して、道路案内標識等、人と正対方向に設置される視覚表示に対しては文字情報を、四方から観察することができる場所に公共サインを設置するなら、シルエット図を用いるなど、情報を使い分ける事も重要だと考える。
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 高橋 さえり
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.58, 2010

季節性感情障害(SAD)は、主に高緯度の地域で、冬に日照時間が減少することが原因となってうつ症状を発症する病気である。福井をはじめとする日本海側の地方は冬に日照時間が他の地域に比べて減少する気候特性を持っている。福井大学工学部の学生には、冬の日照時間が福井よりも長い地域を出身市に持つものが大きな割合を占めている。このため、冬の日照時間の減少が原因となって、体調に影響を受けている学生がいるのではないかと考えられる。学生の睡眠とうつの状態を把握し、それが季節や出身地から影響を受けているかを調べることを目的として、夏と冬の2回、アンケートを行った。内容は、睡眠時間とうつの状態で、うつ評価にはSDS(Self-rating Depression Scale)スコアを用いた。また、調査用紙には、学生の出身地、学年、氏名を記入させた。夏と冬両方で回答を得た117名について、うつ状態であると判断されたのは夏21名、冬20名であり、季節による差はなかった。そのうち、10名は夏冬の両方でうつ状態を示していた。また、睡眠時間も夏と冬で差はなかった。また、冬にのみうつ状態と判定された学生10名のうち、7名は北陸地方の出身であり、出身地域と冬のうつとの明確な関係性を見出すことができなかった。しかし、夏冬両方でうつ状態を示した10名のうち8名は1年生であった。学生のうつ状態には日照時間や季節以外の原因が考えられる。
著者
岩井 彌 坂井 忍 神農 悠聖
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.50, 2008

大阪地下鉄御堂筋線の9駅のホームの視環境に対し,大学生6名による心理評価実験を実施すると共に,照度分布ならびに輝度分布を測定した.ホーム床面平均水平面照度は,全ての駅がJIS照度基準を満たしていたが,満足度の低い駅がほとんどであった.床面平均照度よりも評価時の視野内平均輝度のほうがホーム全体の明るさ感との相関が高く,特に算術平均輝度よりも幾何平均輝度のほうが高い相関が得られた.評価結果に順序効果の影響が見られた.
著者
鎌田 基司 村上 克介 松本 隆仁 村瀬 治比古 諸見里 聰 増田 篤稔 洞口 公俊 向阪 信一
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.159, 2002

モズクは健康食品として消費が伸びてきている。モズク養殖生産の効率化と安定化を図る上で、光環境の作用&middot;効果の解明が必要である。そこで光環境の基礎的知見を得るため、モズク盤状体の光合成特性について実験検討を行った。培養には40W3波長形蛍光ランプを用いた。光合成特性は光合成有効光子照度(PPFD)を0&sim;1000&mu;mol m<SUP>-2</SUP>s<SUP>-1</SUP>として測定した。実験検討の結果、日数の経過とともに盤状体の濃度は高まり、光の透過率が低くなった。高濃度のモズクは低濃度のモズクより低いPPFDで酸素発生速度が速くなる結果が得られた。モズク盤状体の光合成における最適な光飽和点は150&sim;300&mu;mol m<SUP>-2</SUP>s<SUP>-1</SUP>であった。今後、モズクの光合成特性の測定&middot;把握と併せて、補光設備を配設した実験用人工採苗水槽試作機での実験を重ねていきたい。
著者
梶原 浩史 山口 浩司
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.78, 2002

豊田スタジアムは、収容人員45,000人を誇る、国際試合に対応可能な球技専用競技場である。照明設備は、大屋根に設置された222台の投光器によりFIFA(国際サッカー連盟)の基準である水平面照度1500lx以上を確保し、さらにJISのTV撮影の基準である鉛直面照度1000lx以上、均斉度0.3以上を満足している。光源には、演色性に優れる2kW高演色形メタルハライドランプ(ショートアーク形、平均演色評価数Ra90)が使用されハイビジョン放送のための要件(Ra80以上)を満足している。また、緊急時の照明として競技区域内で通常の2/3の照度を確保するため、150台の2kW投光器を瞬時再始動型とし、一瞬の電圧降下や停電によるランプの立ち消えによるパニックに対応している。
著者
菅原 喜行 斉藤 禎二 矢作 孔一 横山 淳一 青木 庸好 甘利 徳邦
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.35, pp.80, 2002

埼玉スタジアム2002は、アジア最大級のサッカー専用スタジアムである。それにふさわしいピッチ照明として(1)建築意匠との調和(2)FIFAの基準を満足する照度&middot;均斉度(3)ハイビジョン画像として優れた色再現を得る光源の採用(4)緊急時における試合続行可能な照度の確保を照明計画の要点とした。光源の選定にはユニフォーム着用の被写体をスチール&middot;TVカメラでの撮影による客観的評価とアンケートによる主観的評価を行ない最も評価の高い組み合わせを採用した。実際の設備では大屋根最前列と客席上部の2列に配置した2kW高演色ショートアークメタルハライドランプ152灯と同ロングアークランプ204灯により、水平面維持照度2000lxを確保している。相関色温度は5550ケルビン&middot;Ra89となっている。また、ショートアーク器具は全数瞬時再点灯形とし、選手&middot;観客に対して安全性を考慮している。
著者
神農 悠聖 岩田 三千子
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.79, 2003

本報では無彩色を対象とし、色票面の照度や色票と背景の対比が色彩の面積効果に及ぼす影響について明らかにするため、実験した結果を報告する。視標面照度は1000lxと100lxの2条件、背景はN2.0、N3.5、N5.5、N7.5、N9.5の5条件で、提示環境条件は計10条件である。実験色票はN3、N5、N7の3色、視角は2_から_10°の1°刻みと20°、30°の11種の円形色票を用いた。参照色票は、無彩色N1.5_から_N9.5の円形色票を、0.5間隔で明度順に並べた。実験方法として、実験色票と同じ色に見える色票を参照色票の中から選択させた。その結果、100lx、1000lxともに背景明度が実験色票の明度以上である場合、面積効果は認めにくく、逆に、背景明度が実験色票より低い場合面積効果が認められた。また1000lxに比べて、100lxの方がやや面積効果が低いことが分かった。
著者
顔 華 植田 慶幸 許 東亮
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.2, 2005

中国江蘇省常州市にある中華恐竜園は恐竜化石の展示を中心とした中国最大規模の恐竜テーマパークである。2003年中国江蘇省第3回園芸博覧会のために中華恐竜園内に建設された本施設は、当博覧会のメイン会場(植物館)として使用され、その後レストランなどのレジャー施設に転用される。この建築物を臨んで人造湖や古代をイメージさせる植樹計画が有機的に計画されており、これらの景観を通して「自然保護」や「地球を愛する」という概念を警示している。照明コンセプト_丸1_主導線の両側に発光を表現することで爬虫類の足跡をイメージさせる_丸2_「卵殻」の室内側底部に可変色LED投光器を設置して古代の神秘的な雰囲気を作る_丸3_梁に設置した投光器により「卵殻」全体が発光する効果を出し「殻を破って誕生する新しい生命」を象徴する_丸4_フィルター付投光器により避雷針を緑色に照明し、「生命の萌芽」を象徴する_丸5_景観全体により全地球的な環境意識を象徴する
著者
坂本 祐一 柳井 武志 高橋 賢一郎 中野 正基 福永 博俊 小笠原 宏 掛橋 英典
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.14, 2010

無電極放電ランプは,長寿命,高効率,比較的高い演色性,などの特徴を有しており次世代の光源として期待されている.無電極ランプの発光状態は,プラズマの状態に依存するため,プラズマ状態を把握することは,効率改善を検討する上で有効であると考えられる.本稿では,プラズマへの伝達電力に着目し,パナソニック電工社製の球状無電極放電ランプ(150 Wタイプ)内のパワーカプラに関する設計指針を検討した.プラズマ電力,Cu管およびAl土台で消費される電力に対するフェライトコアの位置依存性を検討したところ,フェライトコアの位置を市販のランプのコアの位置よりも上昇させることで,プラズマ電力が増加することがわかった.この原因は,フェライトコアを上昇させることにより,コア下端とアルミ土台の上端の距離が離れ,アルミ土台を流れるうず電流が減少するためであることがわかった.次に,パワーカプラ(コア+Cu管+Al土台)全体の位置を変化させて解析を行ったところ,パワーカプラの上昇に伴ってプラズマ電力が増加することが確認された.同様の実験を実機にて行い,光量を測定したところ,プラズマ電力と同様,パワーカプラの上昇に伴って光量が増加し,光束とプラズマ電力の増加の傾向は比較的良い一致を示した. 以上の結果より,パワーカプラの構造はプラズマ電力に影響を与え,プラズマ電力が増加すると光量が増加する傾向にあることがわかった.
著者
石村 友樹 高松 衛 中嶋 芳雄 中島 賛太郎 三間 賢一
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.108, 2005

近年の青色LED(Light Emitting Diode)実用化に伴い,LED表示板においてもフルカラー表示が可能となった.現在では様々な色表示による情報呈示が道路情報板においても急速に普及しており,ITS(Intelligent Transport Systems)の推進化の流れの中でその重要性はますます高まりつつある.一方,大勢の人が観測する道路情報板においては正確且つ短時間で情報収集できることが重要であり,フルカラーによる表示にはまだ様々な課題が存在する.さらにはLEDチップそのものの性能の問題もあり,特にある程度の表示輝度のばらつきが存在するのは避けられないというのが現状である. そこで本研究では,LED表示装置における輝度の変化と色の認識に及ぼす影響との関係について定量的に測定することをその目的とした. その結果より,輝度の変化に対して影響されにくい認識領域は紫が最も広く,次いでピンク,赤と青と緑と白,黄と黄緑とオレンジと水の順に範囲が狭くなる.すなわち紫,ピンクは輝度変化に対する視認性が安定しているということが示唆された.
著者
川越 進也 橋本 尚隆 小島 敏靖 池田 拓
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.9, 2008

110Vタイプのミラー付ハロゲン電球は、コンパクトで手軽な光源として、主として店舗において使用されているが、近年は住宅用としても普及し始めており、昨今のCO2排出量削減に向けた社会的な取り組みの中で、より一層の省電力化が求められている。110Vタイプのミラー付ハロゲン電球は、コイル形状をコンパクト化し、集光性を向上させることで高効率化(省電力化)が可能である。そこで従来品の消費電力40Wで得られる配光特性を25%省電力した30Wで実現可能かどうかを、2重巻きコイルと、今回新たに開発を行ったフラット形状のシングルコイルを用いて試作・評価を行った。その結果、2重巻きコイルでは従来品同等の配光特性が得られたものの、耐衝撃性能が極端に低下し、結果としてランプ短寿命が発生しやすいことが確認された。フラット形状にコイリングしたシングルコイルは、耐衝撃性能を従来品同等以上に確保しつつ、発光長を従来品約9mmから約5mmへと、従来比約55%にコンパクト化できたことで、集光性が向上し、消費電力40Wから30Wへの25%省電力を実現することができた。
著者
宇佐美 真弓 橋本 由貴 小野 桂輔 甲佐 清輝
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.73, 2005

小田急電鉄特急ロマンスカー7代目となる「VSE」は,2005年3月より新宿_-_箱根湯本間で運行を開始した.「VSE」は「Vault Super Express(ヴォールト・スーパー・エクスプレス)」の略で,「Vault(ドーム型の天井)」をイメージした天井形状を特徴とすることにより名付けられている.車体デザインを総合プロデュースした建築デザイナー岡部憲明氏(神戸芸術工科大教授)により,従来と比較し45センチ高い天井や,景観を十分に堪能できる境目のない約4メートルの連続窓,窓側に向かって5度傾けた座席,天然石やガラスクロスの内装など,随所に様々な工夫が盛り込まれ,"最高水準の居住性とホテルのロビーのような快適な空間"を創るというコンセプトに対応している.その中で "快適な空間"の共通コンセプトに合う車内照明として照明器具を納入したので報告する
著者
森 星豪 岩井 彌 篠田 博之 森村 潔 芝池 正子
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.57, 2005

オフィス照明において作業者の集中力を高めかつ省エネルキ゛ー化が期待できる照明方法にタスク&アンヒ゛エント(以下、T&A)照明があるが、単に周辺のアンヒ゛エント照明の照度を下げただけでは室内の印象が暗く陰鬱に感じられ、明るさ感が低下するという問題があった。省エネルキ゛ーに貢献するT&A照明の普及には省エネルキ゛ーだけではなく快適性との両立が必要であり、そのためには明るさ感の低下を必要最小限に抑える技術の開発が不可欠となる。本稿では本照明方法を実現する照明機器の試作機を開発し、オフィス空間を想定した実験室に設置し(スハ゜ークル照明とタスク照明に関してはLEDを使用)、視環境評価実験を実施した。<BR>実験結果よりLED利用T&A照明にて従来アンヒ゛エント照明と同等レヘ゛ルの視環境を実現できることが分かったが、今回の実験条件では両者の総消費電力がほぼ同等であった。しかし、今回用いたLEDの発光効率は約30lm/Wであり、発光効率が4倍になると20%の消費電力を削減できることより、今回開発したT&A照明は近い将来(2011年にLEDの発光効率が120lm/Wになると予測)、省エネルキ゛ーと快適性との両立が図れる照明方法として期待することができる。今後はよりサイス゛の大きなオフィス空間にてさらなる実用化検討を行う。
著者
伊東 勇人 久保木 仁敏 横山 昌仙 早川 正昭 柏木 祐幸
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.56, 2009

東海北陸自動車道は、愛知県一宮市を基点に岐阜県を経由して富山県小矢部市へ至る高速道路である。全長約185kmのうち、トンネル総延長がおよそ70km(約40%)を占める山岳道路で、約110kmの区間が暫定2車線の対面交通となっているが、利用者の利便性および定時性向上のために上り線が4車線化された。この東海北陸道の岐阜県郡上市大和町にある平山トンネルの入口照明に高効率セラミックメタルハライドランプを用いたトンネル照明設備を採用した。従来、入口照明の光源には、効率、寿命および経済性などを考慮して高圧ナトリウムランプが用いられてきたが、さらに高効率で演色性の高い、高効率セラメタ(ランプ効率130 lm/W[200W形]、平均演色評価数Ra65)を採用し、省電力化と視環境の改善を図った。ランプの発光部寸法が小さいことからグレアの抑制に配慮し、照明器具には走行方向と反対方向の光出力を抑えた反射板を用いた。また、比較的高い路面輝度を要する境界部には、2灯用の照明器具を採用し、設置台数の削減を図ると共に、順応輝度が高いトンネル接近中の運転者に対する光学的誘導効果を高めるために、2灯のうち1灯は走行方向と反対方向の光出力を高めた反射板を用いた。高効率セラメタを用いることによって、高圧ナトリウムランプよりも灯具台数を約10%削減、省電力化を図ることができた。