著者
加藤 正嗣
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.161-167, 2002-05-31
被引用文献数
1 2

20世紀最後の2年間で, 名古屋市民はごみ量を23%, 埋立量を47%削減した。次期最終処分場計画の断念を契機に, ごみ非常事態宣言, そして容器包装リサイクルに取り組んだ成果だ。文字通りの背水の陣で, 市は矢継ぎ早に新ルールを提起した。市民は, 一方的となりがちな進め方に不満を持ちつつも, 危機感を共有したがゆえに積極的に協力した。「成功させなくては」という市民の思いが強かった分だけ, 容器包装リサイクル法の不備による混乱も大きかった。われわれも「苦情こそ最大の情報源」と受け止め, 不行き届きながらも誠意をもって臨んだ。真剣なぶつかり合いの中で, 市民と市の距離は縮まった。成果を踏まえ, (1) 分別・リサイクルから発生抑制へ, (2) 本音で持続させる取り組みへそのための (3) 率直でオープンなごみ行政 (市民と行政の合意形成) , (4) 市民相互の合意形成, (5) 市民と事業者の合意形成という課題と, 正面から向き合うべき段階に入った。