著者
加藤 誠也 須田 礼仁 玉田 嘉紀
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.5, pp.1-11, 2012-05-25

近年 GPU は計算能力において目覚しい発展を続けており,NVIDIA の CUDA C に代表される演算用の言語の導入などによって,科学技術計算分野において重要な役目を担うようになっている.その一方で,CUDA のプログラミングモデルである SIMT (Single Instruction Multiple Threads) の特徴として,ダイバージェンスと呼ばれる問題があり,GPU の実行率が低下するため,GPU は CPU に比べると条件分岐の影響を受けやすい.そのため,条件分岐の最適化がより重要になっている.本論文では,GPU のダイバージェンスを削減し,実行率を向上させるための手法として,動的割り付け・分岐統一化の 2 つの手法を提案する.動的割り付けは主にデータごとに長さの異なるループが実行されるカーネルに対して適用可能である.これは,CUDA におけるブロック単位でデータを割り当て,ブロック内で各スレッドに動的にデータを割り当てることで,各スレッドに割り当てられるデータの処理量を均等にし,GPU の実行率を高める手法である.分岐統一化はデータに応じた条件分岐によって処理の大半が分かれているカーネルに対して適用可能である.これは,各スレッドに複数のデータを割り当てて,ある分岐方向の処理を行う際に,各スレッドが自分の持つデータの中からその方向に分岐するデータを選んでそれに対して処理を行うようにすることで,各スレッドに各条件分岐の実行中に実行するデータがあるようにして,GPU の実行率を上げることができるという手法である.これらの手法の有効性は,サンプルコードを用いた実験によって確認した.Recently, GPUs have progressed tremendously in computational power. Thus, the role of GPUs has become important in the field of computational science with the introduction of programing languages for GPU computation such as NVIDIA CUDA C. On the other hand, a problem called branch divergence has appeared as the feature of the programming model of CUDA called SIMT (Single Instruction Multiple Threads). Because of this, GPUs are more likely to be affected by conditional branch instructions than CPUs. Therefore, optimization of conditional branch is very important on GPUs in order to utilize the entire computational power. This paper proposes two techniques for reducing branch divergence on GPUs. Dynamic work assignment is applicable when almost every part of the kernel is a loop whose number of iterations is different with respect to input data. This technique increases the GPU execution rate by assigning data to each CUDA block and assigning data to each thread dynamically in the block so that the amount of computation of each thread becomes equal to others in the block. Branch path unification is applicable when almost every part of the kernel executes the different branch path by a conditional branch depending on data. This technique increases the GPU execution rate by assigning multiple data to a thread and exchanging the order of data assigned to threads so that the same branch path is executed by as many threads as possible and all the branch paths are executed one after the other. The effectiveness of these techniques has been confirmed by the experiments with the sample codes.
著者
大角 晃弘 吉松 昌司 内村 和広 加藤 誠也
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.657-663, 2015

<p>〔目的〕わが国における2011年の潜在性結核感染症(latent tuberculosis infection: LTBI)登録者数は10,046人で,前年4,930人の約2倍になり,2012年には減少して8,771人であった。LTBI登録者数増加および減少の要因について推定することを目的とした。〔対象・方法〕2012年と2013年に,計2回の全国495カ所自治体保健所を対象とする,半構造式調査票を用いた横断的・記述的調査を実施し,2009年以降の接触者健診対象者数・interferon-gamma release assay(IGRA)検査実施状況・IGRA検査で偽陽性と考えられる事例等について情報収集した。〔結果〕IGRA検査実施者数・割合は,2009年から2012年まで増加傾向を認めたが,IGRA検査陽性者数・割合と同判定保留者数は,2011年に増加傾向を認め,2012年には減少していた。IGRA検査結果の信頼性に問題がある事例の発生を回答したのは,2012年調査で34保健所(8%)であった。〔考察〕2011年における接触者健診に関わるIGRA検査実施者数・同検査陽性者数は,より高齢者における増加傾向が大きく,LTBI検査対象者の年齢制限撤廃が影響したと考えられた。2011年のIGRA検査陽性者割合・判定保留者割合増加の理由として,医療従事者や高齢者等のより結核既感染率が高いと推定される集団に対して同検査を実施するようになったことや,IGRA検査法の変更により感度が上昇したこと等の可能性が考えられた。2012年におけるLTBI登録者数減少要因として,集団感染事例の減少等が推定された。〔結論〕2011年におけるLTBI登録者数増加要因として,IGRA検査実施者数増加・QFT検査法変更による陽性結果者や判定保留結果者増加等が推定された。2012年におけるLTBI登録者数減少要因として,集団感染事例の減少・感染性結核患者数の減少等が推定された。</p>
著者
加藤 誠也
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.809, pp.18-20, 2016-08
著者
伊藤 邦彦 吉山 崇 加藤 誠也 石川 信克
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.9-14, 2009 (Released:2012-02-21)
参考文献数
6

〔目的〕一般病院における結核診療の可能性と問題点を探索する。〔対象と方法〕結核モデル病床事業を運営する病院に対してアンケートを行う。〔結果〕アンケート対象75施設の回答率は57%(43⁄75)であった。モデル病床の運営状況はきわめて様々であった。大半の結核患者を一般病院で診療していくことは(条件さえそろえば)可能であると回答した病院は74%であった。モデル病床運営上の問題点としては,感染対策手技の手間(37%),高い空床率(30%),感染対策設備の問題(28%),結核患者診療への超過労働力や人件費(21%),低い診療報酬(16%),看護上の問題(16%),アメニティの不足(14%), 結核患者受け入れ態勢の問題(12%),看護職の知識面での負担増大(12%),診療の質確保(7%),感染のリスク(5%),その他(16%)であった。〔考察と結論〕今後本邦においても一般病院での結核入院診療を推進していかなければならないものと思われるが,これにあたっては未だ多くの解決すべき問題点がある。現在のようなモデル病床事業を拡大し,より広く経験を蓄積していくことが今後も必要と思われる。