著者
伊藤 邦彦 高橋 光良 吉山 崇 和田 雅子 尾形 英雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.387-390, 2004-06-15

症例は47歳男性, 住所不定者。4歳時肺門リンパ節結核で治療歴あり。特記すべき合併症なくHIV陰性。病型b II 2, 喀痰塗抹Gaffky 4号全剤感受性の肺結核の診断で複十字病院命令入所し標準的化学療法開始。治療開始2力月目に一度喀痰培養陰性化するも, 内服は規則的と考えられたにもかかわらずその約2週後の喀痰で再排菌し, それ以降治療終了後も喀痰培養が断続的に続いた。薬剤感受性試験では再排菌以降の菌が多剤耐性化していたことが繰り返し確認された。RFLP分析では再排菌時以降の多剤耐性菌と治療開始時から排菌停止までの菌で菌株が全く異なることが判明し, Double-strain infectionによる多剤耐性肺結核と判断された。
著者
大森 正子 和田 雅子 吉山 崇 内村 和広
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.435-442, 2003-06-15
参考文献数
19
被引用文献数
6

老人保健施設における結核の早期発見方策を検討する目的で, 1都4県358の老人保健施設にアンケート調査を実施し, 169 (47.2%) から回答を得た. 施設は併設病院あり36.1%, 診療所あり12.4%, どちらもなし51.5%で, 平均年齢は入所者83.2歳, 通所者79.6歳, 平均利用期間は入所者7ヵ月, 通所者13ヵ月だった. 施設利用時に胸部X線検査を実施していた施設は入所者42.6%, 通所者23.7%, 利用期間中に結核検診を実施していた施設は入所者45.6%, 通所者15.4%だった. 職員への定期結核検診は94.7%の施設で実施していた. 入所者の食欲低下や全身倦怠といった症状は, 67.5%の施設で毎日点検していると答えたが, 呼吸器症状は18.9%と少なかった. 2週間以上続く呼吸器症状で病院を受診させる際, 入所者では93.5%の施設が文書を持たせ, 63.9%が胸部X線と喀痰検査を依頼すると答えたが, 通所者では医療機関受診を勧めるだけで特に症状を説明する文書を持たせず結果を確認することもしないと答えた. 結核患者発生率は, 施設利用者10万対104.6で, 調査地域の一般住民 (同年齢) の結核発生率よりやや高かったが有意の差は見られなかった. 老人保健施設は医療機関とみなされ結核予防法で健診の対象にはなっていない. 法的措置の基に効果的な患者発見方策を確立する必要がある.
著者
佐々木 結花 倉島 篤行 森本 耕三 奥村 昌夫 渡辺 雅人 吉山 崇 尾形 英雄 後藤 元 工藤 翔二 鈴木 裕章
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.797-802, 2014 (Released:2016-09-16)
参考文献数
24

〔目的〕イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),エタンブトール(EB),クラリスロマイシン(CAM)について,薬剤アレルギーによって投与が中断された後,急速減感作療法(rapid drug desensitization: RDD)を用い再投与が可能となるか検討した。〔対象と方法〕対象は肺結核ないしは肺Mycobacterium avium complex症治療において,何らかのアレルギー反応を生じ治療中断となった13症例で,肺結核6例,肺M.avium症7例であった。RDDのプロトコールは,Hollandら,Cernandasらに準じ作成した。〔結果〕RDDの結果,INH2例,CAM2例は投与可能となった。RFP 12例では8例(66.7%)で,EBでは6例中4例(66.7%)で投与可能となった。〔考察〕ピラジナミド,EBは薬剤耐性結核症例で,EB,CAMは非結核性抗酸菌治療で各々主要薬剤であるが,従来のガイドラインには含まれておらず,結核および非結核性抗酸菌治療に用いる薬剤すべてに施行しうる減感作療法の確立および減感作療法の選択肢を拡大するために,RDDについて検討することは有用であると考えられた。
著者
伊藤 邦彦 吉山 崇 加藤 誠也 石川 信克
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.9-14, 2009 (Released:2012-02-21)
参考文献数
6

〔目的〕一般病院における結核診療の可能性と問題点を探索する。〔対象と方法〕結核モデル病床事業を運営する病院に対してアンケートを行う。〔結果〕アンケート対象75施設の回答率は57%(43⁄75)であった。モデル病床の運営状況はきわめて様々であった。大半の結核患者を一般病院で診療していくことは(条件さえそろえば)可能であると回答した病院は74%であった。モデル病床運営上の問題点としては,感染対策手技の手間(37%),高い空床率(30%),感染対策設備の問題(28%),結核患者診療への超過労働力や人件費(21%),低い診療報酬(16%),看護上の問題(16%),アメニティの不足(14%), 結核患者受け入れ態勢の問題(12%),看護職の知識面での負担増大(12%),診療の質確保(7%),感染のリスク(5%),その他(16%)であった。〔考察と結論〕今後本邦においても一般病院での結核入院診療を推進していかなければならないものと思われるが,これにあたっては未だ多くの解決すべき問題点がある。現在のようなモデル病床事業を拡大し,より広く経験を蓄積していくことが今後も必要と思われる。