著者
大黒 香 加藤 道久 當別當 庸子 箕田 直治 若松 成知 山中 明美 酒井 陽子 福田 靖 郷 律子 神山 有史
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.34-37, 2009-03-25
被引用文献数
1

当院は,平成18年5月に新病院に移転した.一般病棟は多床室がなくなり,個室と2床室のみとなった.院内の急変対応に関しては,コードブルー体制が運用されているが,新病院移転後の発生状況を検討し,問題点や今後の課題について検討した.平成17年から19年の3年間のコードブルー症例について診療録および看護記録からそれぞれ発生状況などの調査を行った.3年間の症例数はそれぞれ11,27,6例であり,平成18年の病院移転前後での発生が増加していた.平成18年では,発生場所は外来および中央診療部(透析室,CT室,内視鏡室)が10例,病棟17例であった.時間外が15例であった.心停止になりCPR を施行したものが18例(67%)あり,そのうちVFが3例あった.自己心拍再開率は39%(7/18)であり,心停止をきたした18例中で社会復帰症例は1例のみであった.新病院に移転した平成18年に,コードブルー件数が増加したことがわかった.病院移転や新しいシステム導入時には患者対応の遅れが危惧される.個々の症例について発生状況やその対応について十分検証していく必要性がある.
著者
福田 靖 中山 崇 矢野 勇大 加藤 道久 郷 律子
出版者
徳島赤十字病院
雑誌
徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal (ISSN:13469878)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.21-25, 2013-03-25

徳島県において,2008年8月1日より県消防防災ヘリコプター(以下防災ヘリ)のドクターヘリ機能運用が開始され4年あまりが経過した.医師が防災ヘリに搭乗し,現場に赴いて傷病者に救命処置等を行い,医療機関へ搬送するもので,運用は毎日,日中のみである.県全域が搬送可能な距離にあり,医師搭乗は当院へ要請される.2012年10月9日より徳島県ドクターヘリが運航開始となり,基地病院として徳島県立中央病院が指定された.当院における医師の休日ヘリコプター待機は終了し,平日の運用もドクターヘリが主になると考えられる.当院では,休日待機終了までの4年2か月間に計146回,147名のヘリ搬送を行った.1例を除く他の傷病者はすべて当院へ収容された.搬送依頼は,当初は他院からの転院搬送が大半であったが,次第に救急隊からの直接要請が多くなった.主な搬送地域は陸路搬送でも時間のかかる県南部及び山間部からであった.疾患別では外傷が37%,脳血管疾患が35%,循環器疾患が18%であり,15例(10%)が死亡した.今後もヘリコプターの重複要請や多数傷病者発生時などで防災ヘリの利用の可能性は残り,新たな運用形態の検討が必要である.