著者
八巻 慶汰 室井 智博 鈴木 智也 加藤 雅貴 佐藤 荘志
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 水文・水資源学会2016年度研究発表会
巻号頁・発行日
pp.138, 2016 (Released:2016-12-01)

海水で生きる硬骨魚類は、浸透圧の差から水分の吸収と塩類の排出とを常に行っている。この調節には多くのエネルギーを使っており、それは浸透圧ストレスとなっていると考えられる。好適環境水(塩分濃度が海水の約4分の1程度に調整された人工水)で飼育された魚の成長が早くなるのは、この浸透圧調整に使用されるエネルギーが必要なくなる分、成長に回されるためではないかと考えられている。しかし、実際に生理的観点からの研究はまだ行われていなかった。そこで私たちは、好適環境水飼育下での魚の生理学的な変化を研究し、魚の体内で何が起きているのかを明らかにすることを目的とした。結果として、好適環境水飼育下では浸透圧調節に対してのエネルギー消費量が大きく減少し、魚の受けるストレスも減少していることが明らかとなった。また、浸透圧調節を行う塩類細胞の開口部も閉じており、調節を行っていないことも証明できた。