著者
大和田 猛 加賀谷 真紀
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.109-121, 2008-12

福祉系4年制大学の学生が特別養護老人ホーム等の配属実習先において、遭遇した実習現場職員の利用者との関わり場面の自由記述から、レジデンシャルワーカーとしての専門職資質、特に利用者の権利擁護や虐待予防の問題を中心に若干の課題を検討した。その結果、社会福祉施設という対人援助の実践現場においても、良質なサービスの提供、利用者の尊厳の保持、利用者の意向の尊重、権利擁護、虐待防止などの基本的に職員に求められる行動規範について問題のある職員が存在することが示唆された。特に、施設の利用者は心理的虐待やネグレクトを受けやすく、自己尊重と尊厳を維持する権利、適切な介護を受ける権利、質の高いサービスを受ける権利、人格が尊重される権利などについて、権利侵害が多いことが類推される。したがって、レジデンシャルワーカーを養成する教育組織における人権教育の必要性が求められ、施設においても倫理綱領の作成と職員の行動規範の確立、人権意識啓発のための研修、職場内のスーパービジョン体制の整備などを通して、真の意味で利用者の快適なソフト面での生活環境を整備することが集眉の課題である。
著者
大和田 猛 加賀谷 真紀
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-28, 2008-06

本研究は、青森県内のホームヘルパーを対象に対人援助におけるコミュニケーションスキルの活用の現状を調査し、その実態を明らかにすることにある。その結果、(1)ヘルパー業務の中で身体介護や家事援助と並んで、相談業務という心理社会的業務を行っているヘルパーが50%にのぼる、(2)何らかの形でコミュニケーションスキルを活用しているものは、79%存在する、(3)最も多く活用されている技法は、うなずき・相槌・共感・明確化・繰り返しなどである、(4)利用者との信頼関係や親密性を維持するためのコミュニケーション効果については、情緒的・精神的・心理的に安定する、ことや行動障害の軽減・性格が穏やかになる・存在認知が出来るなどが挙げられている。これらの結果から、対人援助の専門職としてのホームヘルプサービス業務の確立のためには、コミュニケーションスキルが不可欠なものとして活用され、利用者の精神的・心理的・情緒的支援に活用されなければならない。