- 著者
-
勇 秀憲
- 出版者
- 高知工業高等専門学校
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2011
地域における良好な景観形成のためには,その地域特性や地域住民の意向に合致した総合的な景観評価法の確立が急務である。特に橋梁景観においては,橋を含む景観の形状と色彩がその景観イメージ・感性に大きな影響を及ぼす。本研究は,橋梁景観の形状特性と色彩特性を相互に考慮し,橋梁新設・改修時や再塗装時などでの色彩評価・選定のための合理的で定量的な工学指標を含む景観評価法・設計法の確立を目標とするものである。平成25年度は,平成24年度に提案した橋梁景観を構成する背景と橋梁の形状に着目した橋梁景観評価法に関し,背景を含む橋梁景観のカラー画像・白黒画像および背景を取り除いた橋梁のみの白黒画像の3種類の画像を対象に,それぞれSDアンケート調査と因子分析の結果から,色彩の有無と背景の有無によるイメージの変化を多変量解析により定量的に調べた。因子分析とクラスター分析を用いてイメージの変化の分類を行い,数量化II類を用いてイメージの変化の分類と景観属性(構造形式,架設場所など)との相互関連性を調べた。色彩の有無や背景の有無によるイメージの変化は,ともにその景観要素(構造形式,架設場所など)に依存することが示された。また,平成23・24年度の研究で提案した色彩評価法の適用事例として,主な世界の絶景風景を対象に,それらの「美しさ」のイメージの分析を実施した。SDアンケートを実施し因子分析から,イメージ特性,主色彩および地域との相互関係を評価し,本色彩評価法の妥当性を示した。なお,主色彩は本経費によるカラーイメージ分析ソフトウェアと色彩色差計により測色し定量化した。本研究提案の色彩評価法,カラーイメージ評価法およびフラクタル解析を連携させることで,本研究を基にして,各種景観に対し色彩特性と形状特性を総合的に配慮できる新しい定量的な景観設計システムの構築を目指すことがきるものと考える。