著者
勝山 真人
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.142, no.6, pp.285-290, 2013

NADPHオキシダーゼは食細胞において同定されたスーパーオキシド(O<sub>2</sub><sup>&minus;</sup>)産生酵素であり,感染微生物の殺菌に重要な役割を果たす.O<sub>2</sub><sup>&minus;</sup>は食細胞以外でもNADPH依存的に産生されるが,この十数年の間に,非食細胞型NADPHオキシダーゼが相次いで同定された.その触媒サブユニットNOXには,NOX1からNOX5までの5種類と,関連酵素であるDUOX1とDUOX2の計7種類のアイソフォームが存在する.各アイソフォームはそれぞれ活性発現に必要な共役サブユニットや組織分布が異なっており,遺伝子改変マウスを用いた解析の結果,それぞれ独自の生理機能をもつことが明らかとなりつつある.本総説では主に各NOXアイソフォームの発現調節機構について紹介し,薬物治療への応用の可能性についても言及する.