著者
邵 仁哲
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.2-7, 2017-12

男性更年期障害は、加齢、ストレス、男性ホルモン(アンドロゲン)低下などが原因で生じる。その内、加齢に伴う男性ホルモンの減少によって生じる病態は近年、加齢男性性腺機能低下症候群Late-onset hypogenadism(LOH症候群)と呼ばれており、当科では2004年3月より男性更年期外来を開設し、診療にあたっている。LOH症候群の本質はアンドロゲン低下に伴う多臓器機能障害である。男性において、アンドロゲンは多くの重要な生理的役割を担っており、筋・骨・中枢神経系・前立腺・骨髄・皮膚・性機能への影響がある。しかし、いわゆる「男性更年期障害」の症状は大きく精神症状・身体症状・性機能症状の3つに分類され、当科では男性ホルモン補充療法を中心に治療を行っている。ただし、その症状のほとんどが「うつ病」などの精神神経科疾患と重なる場合が多く、症状からだけでは、はたして本当に「男性ホルモンの低下=LOH症候群」が主要な原因であるのかどうかの鑑別は難しい。そのため患者の状態により適宜、精神神経科との連携を密に行うことが必須である。