- 著者
 
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             勝川 秀夫
             
             硲 哲崇
             
             中島 清人
             
             江口 公人
             
             中橋 章泰
             
             小林 倫也
             
             杉村 忠敬
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 朝日大学
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.30, pp.277-289, 2004-11-20 
 
          
          
          
        
        
        
        ヒトをはじめ動物は食物中にしばしば含まれる毒物に対し,それを無害化する手段を進化の過程で獲得してきた.例えば,食物中のタンニンは動物に対しさまざまな有害作用をもたらすが,クマやヘラジカのようにタンニンを含む植物を常食とする動物は唾液の中にその毒性を低下させる高プロリン・タンパク(PRP)を持つようになった.また,ラットやマウスは本来このタンパクを持たないが,タンニンを含む飼料を数日間食べると唾液中にPRPが誘導され生存することができる.一方,このタンパクを誘導できないハムスターはやせ衰え死んでしまう.パパイン(システインプロテアーゼ)やカプサイシン(唐辛子の辛味成分)により誘導されるシスタチンも同じ範疇に属するペプチドと思われるが,PRPに比べ未だ情報量は少ない.本稿では,食物中の毒物・侵害物質の処理に関係すると思われる唾液タンパクについて解説する.