著者
硲 哲崇
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-8, 2009-06-20

私たちは、今身体が必要としている栄養素をどう瞬時に見分け、選択し、摂取しているのであろうか。あまたある物質の中には、食物のようなフリをしているが、毒物を含んでいるものもあるかもしれない。その毒物を避けるためには、新奇性恐怖や食物嫌悪学習が役にたつだろう。さらには、味覚では検知できないような、非常に微量であるが生体にとって必要な栄養素をどのように検知しているのであろうか。本総説では、普段何気なく行っている食物選択行動が、体内の不足栄養素を勘案しながら非常に精密に行われていること、さらには、いわゆる「食わず嫌い」や「食べ物の好き嫌い」が極めて合理的な脳での判断のもとに行われている現象であることなどを、筆者らの研究成果を中心に解説する。
著者
勝川 秀夫 硲 哲崇 中島 清人 江口 公人 中橋 章泰 小林 倫也 杉村 忠敬
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.277-289, 2004-11-20

ヒトをはじめ動物は食物中にしばしば含まれる毒物に対し,それを無害化する手段を進化の過程で獲得してきた.例えば,食物中のタンニンは動物に対しさまざまな有害作用をもたらすが,クマやヘラジカのようにタンニンを含む植物を常食とする動物は唾液の中にその毒性を低下させる高プロリン・タンパク(PRP)を持つようになった.また,ラットやマウスは本来このタンパクを持たないが,タンニンを含む飼料を数日間食べると唾液中にPRPが誘導され生存することができる.一方,このタンパクを誘導できないハムスターはやせ衰え死んでしまう.パパイン(システインプロテアーゼ)やカプサイシン(唐辛子の辛味成分)により誘導されるシスタチンも同じ範疇に属するペプチドと思われるが,PRPに比べ未だ情報量は少ない.本稿では,食物中の毒物・侵害物質の処理に関係すると思われる唾液タンパクについて解説する.
著者
硲 哲崇
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.417-423, 2006 (Released:2007-09-06)
参考文献数
22
被引用文献数
1

摂食行動は,化学感覚である嗅覚・味覚の他に,食物の温度や硬さ,さらにはテクスチャーといった物理的な刺激を受容する体性感覚が存在しなければ円滑に行われることができない.本論文では,摂食行動に関与する口腔体性感覚の役割を概説し,さらにこれら体性感覚と化学感覚に優先性をもたせて動物が摂食行動を調節している様子について,筆者らの研究知見も踏まえて概説する.