著者
勝部 愛美
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.24, pp.181-194, 2014 (Released:2014-11-21)
参考文献数
7

これまで,文構造の記述には,主に語からのアプローチと型からのアプローチが用いられてきた.しかし,これらの方法には問題も見られる.語からのアプローチの記述法は,当該の語がどのような型で用いられるのか,どのような意味で用いられるのかを示す点では優れている.しかし,他のどのような語が同じ型をとるのかはわからない.他方,型からのアプローチの場合,どのような型がどのような語に対応するのかを示す点では,優れている.しかし,その語のグループが,他にどのような型をとることができるのかは示されない.本稿では,このような問題を打破すべく,ハイブリッド文法を提案する.ハイブリッド文法は,語と型からのアプローチの利点を組み合わせた枠組みである.資料はコーパスの資料と母語話者による判定を利用する.コーパスの資料のみを利用する場合,問題がある.コーパスは豊富なデータを供給するという利点を持つ一方,文法的か非文法的かという判定はできない.ハイブリッド文法では,コーパスから抽出したデータを基に,母語話者に判定を依頼し,その結果を資料として利用する.ハイブリッド文法は,コーパスと母語話者による判定の利点を組み合わせている点でもハイブリッドである.本稿では,同じa + 動詞的名詞を従える軽動詞have / takeにハイブリッド文法を適用し,その有用性を例証する.