著者
原田 力 高畑 博樹 北原 弘志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.95, no.213, pp.51-58, 1995-08-23
被引用文献数
3

技術試験衛星VI型(ETS-VI)は、平成6年8月28日に種子島宇宙センターからH-IIロケットにより打上げられ、トランスファー軌道投入後「きく6号」と名付けられた。きく6号は、2トン級の静止三軸衛星として開発されたが、アポジエンジンの噴射異常により静止軌道に到達することができず長楕円軌道を周回することとなった。きく6号は衛星間通信用の機器を搭載しているが、地上との通信のためのアンテナは静止衛星対応で固定であるため、楕円軌道に置いては通信回線を確立することができないものであったが、搭載コンピュータのソフトウェアを書き換えることにより、楕円軌道上における通信を可能にした。本論文では、楕円軌道上における通信の問題点を明らかにし、それを克服し通信実験を実現するための方法を紹介し、併せて実験の評価結果を報告する。