著者
谷 峰人 林田 拓也 友川 浩一郎 水戸 康明 舩越 大資 谷 千賀子 北原 豪 上村 俊一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.194-197, 2010-03-20

西南暖地の低地(標高38m)に位置するA酪農場(飼育経産牛117頭、夏季の平均気温27.5℃)と同・山地(標高795m)に位置するB酪農場(77頭、同23.2℃)について、季節、気温湿度指数(THI)および泌乳時期が受胎率に及ぼす影響を2001年4月〜2009年3月の8年間にわたり、のべ3,581頭について調査した。年間発情発見率の平均は、A、B酪農場それぞれ39.1%、40.9%で差はなかった。受胎率はA酪農場ではTHIが72を越えると20%以下となり、夏季に泌乳時期が51〜110日のもので14.2%となり、秋〜春季の32.8%より有意(p<0.01)に低下した。しかし、B酪農場では夏季と秋〜春季による違いは認められなかった。以上のように、西南暖地の低地に位置する酪農場においては夏季に泌乳時期が51〜110日のものでは受胎率が低下し、暑熱が繁殖成績の低下する大きな要因であることが判明した。