- 著者
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北島 純
- 雑誌
- 社会構想研究 = Journal of Social Design (ISSN:2433670X)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, no.1, pp.35-44, 2022-09-30
本論文は,広告をはじめとする表現活動が「文化の盗用」の非難を浴びせられるリスクを回避するために必要な考慮要素を,ジェームズ・O・ヤングの文化的盗用論,文化的植民地主義論及び無形文化遺産保護条約制度を参考にして検討したものである。伊ヴァレンティノのCMが非難を浴びた事案等の検討を通じて,無形文化遺産保護条約の規定する無形文化遺産一覧表の該当性,広告内容の強度性,不当な危害・不快感の有無,強者の視点への偏り(少数者への配慮),広告市場の客観的状況と歴史的コンテクスト,広告当事者の「声」の想起(対話性)という要素が,伝統文化に関わる広告等の表現活動の適切性を事前判断する基準になりうることを論じた。