著者
北川 克己
出版者
大阪大学
雑誌
国際共同研究加速基金(帰国発展研究)
巻号頁・発行日
2018

セントロメア特異的なクロマチン構造とその機能を決定する重要な因子の一つに、ヒストンH3の一種であるCENP-Aタンパクがある。このCENP-Aがセントロメアだけではなく、染色体上のDNA損傷部位に局在することが報告された。我々のグループはCENP-AはDNA損傷部位の中でもDNA二重鎖が切断された部位に局在することを明らかにした。我々は、また、ヒト培養細胞を用いてCENP-Aの細胞内レベルを低下させると放射線感受性が上昇することを明らかにし、それにより、CENP-AがDNA損傷応答において重要な役割を果たしていることが示唆された。我々はCENP-AがDNA二重鎖切断部位に局在することによって特異的なクロマチン構造を形成し、ネオセントロメア様の複合体を形成し、スピンドルチェックポイントを活性化させるという仮説を検証するために、DNA損傷時特異的にCENP-Aに結合するタンパク質をIPマススペクトロメトリーにより同定した。